昨年予定されていたモンレリ・サーキットでのカフェ・レーサー・フェスティバルは急遽中止となった。そして今年のカレンダーにはその名前もない。モンレリ・サーキットではオートバイの姿を見る機会が減ってしまったが、今回は違う!サーキット走行に70台のオートバイが登録され、その数倍のオートバイが会場に集まっていると感じるのだ。今回はVintage Revivalからの2輪参加車両を見ていこう。
【画像】レアで個性的な戦前のオートバイがモンレリ・サーキットに集結(写真24点)
サーキット走行は2つのカテゴリーに分かれており、1919年以前と以降だ。また、エンジンが付いていればオートバイでも車でも走ることができる走行枠もある。これは内側のすり鉢コーナーのみを走る完全なオーバルコースを使用する。これには1919年以前のmotocyclettes(自転車オートバイ)が参加した。小排気量の2輪がメインだが、派生した、3輪や4輪も参加した。
空冷のシングルやツインの歯切れの良いサウンドに紛れて、2ストロークのScottなども走っている。コーナーを如何に走り抜けるか、などと考慮されず設計されたオートバイは、コーナーでマフラーを擦り、火花を散らすなど、どのバイク(ライダー?)も活気に溢れていた。1919年以降のバイクの大半は30年代以降のもの。この時代になると、シングル・エンジンは完成に近づき、そのパワフルなオートバイの走りは本格的。
オートバイは車以上に乗り手が露出しているため、そのスタイルもよく見える。安全性が重視され、フルフェイスのヘルメットを着用しているため、乗っているオートバイとのバランスが取れないのが残念だ。これは4輪でも3輪でも同じだが、オートバイはより目立つため、寂しさが募る。それでも、久しぶりに観る戦前のオートバイの走行には興奮した。
パドックに戻り、オートバイ・エリアを散策。オランダやベルギーからの参加車が目立つ。特にオランダからの参加は素晴らしいと感じる。フランス国内からは、かつて存在したフランスのオートバイメーカーを保存するクラブなどが出展しており、興味深い。フランスも車同様に古くからオートバイ・メーカーが存在したが、現存するのはMIDUALくらい。パリにはかつてNew Motorcycleというブランドがあった。1925年から30年のわずか5年間だけ存在したが、2気筒のエンジンを覆うようなプレス加工のボディに覆われている。それをデザインしたのはジョージ・ロイ。その後も、プレス加工のシャーシにプレス加工のカウルというよりもボディを持つオートバイを製造し続けた。4気筒エンジンをそのボディで完全に覆う奇妙なスタイルのオートバイがマジェスティックだ。そのような個性的なVintage Revivalに参加した戦前のオートバイをじっくりと写真でご覧頂きたい。
写真・文:櫻井朋成 Photography and Words: Tomonari SAKURAI