東京・六本木の東京シティビューで、「創刊50周年記念 花とゆめ展」が始まりました。創刊50周年を迎えるこの少女まんが誌は、少女まんがの王道にとらわれない、個性的で幅広いテーマの作品を掲載し続けてきました。このほど50周年を記念する「パーティー」をキーワードに、歴代の作家74名の原画約200点が初めて一堂に集結、『花とゆめ』のオンリーワンの世界観が体感できるスペシャルな展覧会となっています。

『花とゆめ』は1974年5月、「でたゾ、でたゾ、新しい雑誌だゾ!」というキャッチコピーで、白泉社から創刊されました。少女まんが雑誌に後発で参入した同誌が連載する作品は、王道の少女まんがの枠から飛び出したような異色テイストで個性派ぞろい。1976年1号で同時に連載開始された2つの作品、“千の仮面を持つ少女”北島マヤが演劇界で才能を開花させていく『ガラスの仮面』(美内すずえ)と、札付きのスケバン・麻宮サキが学生刑事として事件に挑む『スケバン刑事』(和田慎二)は、「花とゆめ」ならではの世界観を象徴する初期の名作。山岸凉子『アラベスク 第II部』、三原順『はみだしっ子』、魔夜峰央『パタリロ!』、日渡早紀『ぼくの地球を守って』、佐々木倫子『動物のお医者さん』、山内直実・氷室冴子『なんて素敵にジャパネスク』、高屋奈月『フルーツバスケット』、中条比紗也『花ざかりの君たちへ』……語りだしたらキリがありません。

そんな『花とゆめ』の半世紀のあゆみを祝う“パーティー”をテーマに、レジェンド作家から連載中の人気作家まで、総勢74名による約200点の原画が初めて一堂に会する、『花とゆめ』史上最大規模の同展。エントランスでは、歴代名作のバナーと巨大なアニバーサリーケーキタワーが来場者をお出迎え。人気キャラクターの等身大パネルや、コミックスの表紙に入り込めるフォトブースで撮影が楽しめるスポットも用意されています。

原画は『ガラスの仮面』と『スケバン刑事』の記念すべき連載第1回目の扉用イラストや、『ぼくの地球を守って』連載開始時の巻頭カラーが出品。『フルーツバスケット』からは最終話掲載時の表紙を飾ったイラストが、草凪みずほ『暁のヨナ』からは、今年の雑誌ふろく用に描きおろされたばかりのカラーイラストが展覧会に初出品。豪華な晩餐会のようなテーブルに飾りつけされた、懐かしい付録やグッズの数々もみどころです。

また、アナログで作品を制作する草凪みずほ先生と、早い時期からデジタルに移行したという福山リョウコ先生の、2人の作家のデスクを精巧に再現した、「作家の仕事場再現」コーナーは、アナログとデジタルの創作現場の対比から、50年のまんがの歴史がひとめで感じとれる貴重な展示。

「初代編集長以来の『おもしろければなんでもあり』という精神に共鳴してくださった作家さんのバラエティ豊かな強い個性が、『花とゆめ』を作ってきてくれた」と、開催前日のトークショーで語っていた『花とゆめ』元編集長で現編集部長の高田英之さん。“読者の心の栄養剤”になればという思いで作家さんとともにまんが作りをしているといい、「編集部で既に見たことのある原稿のはずなのに、こうやって額装されると改めて生原稿の持つ力ってすごい、と思わされる」と、この希少な機会に感慨深げ。

  • 高田英之編集部長(右)、長谷川貴広編集長(左)

また現編集長の長谷川貴広さんは、「印刷された雑誌で読むものとは、迫力が違います。みなさん本当に魂をこめて描かれているものばかり。世代を乗り越えた50年分の作品が揃っていますので、自分が知らなかった作品に触れてもらえたら」と語り、展示のみどころのひとつに、黄金のパタリロ像から「パタリロ!」の名言を引用したおみくじがひける、「パタリロ殿下のおみくじ」を挙げていました。

不朽の名作から人気の連載中の作品までの貴重な原画で、『花とゆめ』の半世紀をたどる展覧会「創刊50周年記念 花とゆめ展」は、6月30日まで開催です。

■information
「創刊50周年記念 花とゆめ展」
会場:東京シティビュー
期間:5月24日~6月30日(10:00~122:00)
料金:一般:平日2,200円・土日祝2,400円/学生:平日1,600円・土日祝1,700円/シニア:平日1,900円・土日祝2,100円/子ども(4歳〜中学生)/平日900円・土日祝日1,000円/障がい者手帳をお持ちの方とその介助者1名まで無料