第37期竜王戦(主催:読売新聞社)はランキング戦が進行中。5月22日(水)には1組決勝の佐藤康光九段―山崎隆之八段戦が東京・将棋会館で行われました。対局の結果、相掛かりのねじり合いを抜け出した山崎八段が113手で勝利。力戦派同士の一戦を制して自身初の1組優勝を果たしました。
スーパーシードはどちらに
勝ったほうがいわゆる「スーパーシード」を獲得する一戦。1組優勝者は決勝トーナメントで1勝すれば挑戦者決定戦に手が届きます(1組2位からは2連勝が必要)。振り駒が行われた本局は先手番を得た山崎八段が相掛かりに誘導、後手の佐藤九段もこれを堂々と受けて立ちます。
後手の角頭に歩を打ったのは山崎八段の趣向。早くも実戦例の少ない力戦に突入した盤上は一手のミスが命取りで、ともに慎重に時間を使います。右辺の端攻めから手を作ったのは佐藤九段が見せた鋭手。手順に先手の飛車をへき地に追いやってペースをつかみました。
山崎八段が逆転勝ち
主導権を譲った形の山崎八段ですが、のらりくらりの指し回しで決め手を与えません。自陣に打ち込まれた角で飛車を狙われれば飛車を浮き、銀取りをかけられれば金引きでこれを守る要領。しびれを切らした佐藤九段が飛車を切った瞬間がギアチェンジの合図でした。
ピンチの自玉を省みず、金を取って寄せに出たのが山崎八段読み切りの決め手。飛車さえ渡さなければ自玉に詰みがないのを見越しています。終局時刻は21時23分、最後は自玉の詰みを認めた佐藤九段が投了。勝って1組初優勝を決めた山崎八段は「チャンスを生かせるよう頑張りたい」と意気込みを語りました。
水留啓(将棋情報局)