―6月8日に単独ライブ「銀河ゆめゆめ」(ヨシモト∞ホール)を開催されます。
坂田:僕らは「日常を切り取る」みたいなシチュエーションのコントが多いんですけど、今回は発想を飛ばすというか、もうちょっと派生して世界を広げるというか。簡単に言うと、好きにやろうかと(笑)。
これまでは賞レースのことを考えて、かなりそちらに意識を向けたネタが多かったんですけど、そこを一旦フリーにするというか、思い切ってやってみようかと。
のぶきよ:これまで以上にあらゆる広がりがあるようにという思いも込めて、タイトルにも「銀河」の文字を入れてみました。
―単独の前に5月24日にはユニットライブ「Tokyo Emotional Conte」(恵比寿・エコー劇場)も開催されます。
坂田:これももう5年くらいですかね、それくらいはやっていて「エモい」という言葉が流行るかどうかくらいのところからエモーショナルという言葉をつけてました。流行ってからの後付けではなく、一応、先取りでやっていたことだけ付け加えさせてもらいます(笑)。
同じ吉本興業の「そいつどいつ」、そしてプロダクション人力舎所属の「トンツカタン」、マセキ芸能社所属の「かが屋」と一緒にやらせてもらいます。
事務所にこだわらず、僕たちがものすごく好きで、めっちゃ好きなコント師に参加してもらってのイベントなんですけど、それぞれ色が違う組が集まって切磋琢磨できたらなと考えています。
―違う事務所の人から受ける刺激もあるでしょうしね。これまでやってこられた中で、影響を受けた先輩の存在なんておありでしょうか。
のぶきよ:まだ芸歴1~2年目の時のことなんですけど、東京・ルミネtheよしもとで「ロバート」秋山さんが「インパルス」板倉さんがライブをされる際に、エキストラ的な役割で僕ら二人が出していただいたんです。
「打ち上げにもおいでよ」と誘っていただいたんですけど、大先輩ですし、僕らはまだこの世界に入りたてだし、ものすごく緊張していたんです。
お店に入っても所在なげにするしかないというか、どこに座っていたらいいかも分からないくらいだったんですけど、秋山さんがものすごくやさしくしてくださいまして。
人数が結構いたので、何テーブルかに分かれての場だったんですけど、秋山さんがいらっしゃるテーブルで盛り上がった話題をこちらに振ってくださったり、こちらの飲み物をイジってやわらかい空気を作ってくださったり。
第一線で活躍されている方が超若手にこれだけ気を遣う。逆に言うと、それができる方だからこそ、第一線で活躍できているのか。それを幾重にも考えさせられたくらい、人としての姿勢として強烈に刺激を受けた場でしたね。
のぶきよ:自分がだんだん先輩になってきても、なるべく後輩に緊張させない。気を遣わせない。もっと言うと、なんならなめられる(笑)。それくらいのトーンでいることがちょうど良いんだろうなとは思っています。
坂田:本当にすごい方ほどやさしいというか、笑福亭鶴瓶師匠からも心底勉強させていただきました。
鶴瓶師匠が出てらっしゃる公演で何回か前説をさせてもらったりもしていて、その度に一緒に飲ませていただいたりもしたんですけど、あえて“隙(すき)”を作られる。自分からとんでもない下ネタの話をしてつっこまれたり、自分から下に入っていくというか。そうやってみんなをくつろがせるというか、すごい方ほどそうなんだなと痛感します。
僕が自伝的な小説を書いた時がありまして、本が出たタイミングで鶴瓶師匠にごあいさつにうかがったんです。そこで「ほんまにおめでとう。そして、これからより一層、ネタも大切にせなアカンし、相方も大切にせなアカンで」と熱のこもったお言葉もいただきました。
さらに、鶴瓶師匠から「本にサインを書いて」とリクエストまでいただきまして。師匠に対してサインをするなんて夢にも思っていなかったんですけど、そのお心遣いもうれしい限りというか。
光栄の極みながらサインを書き始めて“笑福亭鶴”まで書いて、ハッとしました。“瓶”の字が分からんと(笑)。
瞬時に「やばい」と思ったんですけど、周りに結構な数のスタッフさんもいらっしゃったので、それがまたプレッシャーにもなって全く字が思いつかない。“鶴”から“瓶”に移る時の時間が永遠に思えるくらい特殊な時の流れだったんですけど(笑)、もうダメだと思って「スミマセン、“瓶”が分かりません」と正直に言ったんです。
すると、そこで最高のタイミングと声量で「なにしとんねん」と言っていただいて、周りがドッと爆笑したんです。師匠のやさしさとすごさ、そして、笑いのやさしさと楽しさと尊さが詰まった瞬間を経験させてもらった気がしました。
全部がプラスになる。そして、人を幸せにする。その笑いの世界で何十年も日本中の人に愛される鶴瓶師匠の懐の深さを感じましたし、僕もさらに愛しました(笑)。
―10年先、こうなっていたいというビジョンは?
のぶきよ:僕は釣りとソフトバンクホークスが好きなんですけど、そういう趣味が仕事としてできてたらいいなとつくづく思います。
そんなことをするためには、本業でこれでもかとしっかり売れないといけませんからね。賞レースはもちろん、あらゆる結果を出していないとできることではない。逆に言うと、趣味が仕事になっているということは、あらゆることができているということ。なんとか、その領域まで進めるよう、積み重ねをしていきたいと思っています。
坂田:僕らにとって「博多華丸・大吉」さんが地元のスーパースターなんです。お二人が永遠の目標だとも思っています。ネタも、お人柄も、地元への貢献度も。
―今年2月に福岡PayPayドームで超大規模イベント「華大どんたく」もされましたし、これでもかと人気芸人さんも集まりましたものね。
坂田:あんなことができたら、それこそ本望ですし、少し前に大吉さんと僕ら二人で飲ませてもらう機会があったんです。すごく緊張したんですけど、お酒も進んでいく中で、悩みも話させてもらいました。
僕らは同期がものすごく優秀で「霜降り明星」、「コロコロチキチキペッパーズ」、「ビスケットブラザーズ」ら既に大きな大会でチャンピオンになっているコンビがいる。さらに注目度が急上昇している「男性ブランコ」や「マユリカ」もいる。そんな中で自分たちがどうしていけばいいのかみたいなことを話させてもらったんです。
すると、大吉さんが「いや、大丈夫。オレらの同期は『ナインティナイン』だから。もっと半端じゃなかったから。それでもオレらもやってきたし、お前らは絶対に大丈夫だから」と言ってくださいまして。
さらに、今でもいろいろと悩みながらやっているというお話もうかがい、これだけ売れまくっている方でもそうなんだというのも学ばせてもらいましたし、ただただありがたさしかない場でした。
のぶきよ:大吉さんでも今もあれこれ考えに考えてバチバチにやってらっしゃるのに、僕らはもっとやるしかないですから。それも強く感じる時間でしたね。
―お世話になっている方々への恩返しがあるとすると、なんでしょうかね?
坂田:絶対に大きな賞レースは取らないといけない。先輩方に対してもですし、ライブを見に来てくださっているお客さんに対してもですし、結果を残すしかないと思っています。
僕らは本当にネタが好きですし、劇場が好きなんです。だからこそ、それをずっと続けることができるようにするためにも、結果を残すしかない。そこを追い求めたいと思います。
…なんだかまじめな話になってしまってスミマセン。ただ、本当に自分たちが思っていることばっかりなんで、少しでもそこに力づけるように頑張りたいと思います。
■サンシャイン
1987年8月4日生まれでツッコミの坂田光と87年12月9日生まれでボケ担当ののぶきよ(本名・信清淳)のコンビ。ともに福岡県出身。福岡大学で出会い、NSC東京校16期生を経て2011年に「サンシャイン」を結成する。主にコントを行い、東京・ヨシモト∞ホールを中心に活動している。5月24日には恵比寿・エコー劇場でユニットライブ「Tokyo Emotional Conte」を開催。6月8日にはヨシモト∞ホールで単独ライブ「銀河ゆめゆめ」を行う。