ビザ・ワールドワイド・ジャパンは5月21日、桜の開花シーズンと観光および決済額の増加との間の深い関連性を明らかにする、VisaNetデータに基づく分析結果を発表した。

桜の開花と消費・訪日観光客数

2024年には、桜の開花期間中に、17の都道府県のうち13の都道府県で支出や訪日観光客数の顕著な増加が観察された。この傾向は、桜の開花前線、つまり南から北への移動とも関連性が見え、桜の開花の世界的な魅力とそれが世界中の観光客を引き寄せる魅力を効果的に示している。

  • 桜シーズンの旅行客数と支出額の増加

桜のシーズン(3月~4月)の影響は都道府県の特性によって大きく異なると思われ、例えば、文化体験や自然志向の観光で人気のある京都、奈良、石川、山梨、三重などの県では、桜のピーク週には通常期間と比較して週間訪日観光客数が2倍に増加した。一方、商業と観光の主要ハブである大都市の大阪や東京などは、訪日観光客数の増加と桜の開花期間との直接的な相関関係は少ないものの、これらの都市では桜のシーズン中に週間訪日観光客数が60-70%増加した。

  • 山梨県、石川県、京都府、奈良県、三重県は旅行者数と支出額に明らかに増加がみられた

Visa Destination Insights (VDI)による分析で、訪日観光客の興味深い人口統計が明らかになった。特にシンガポール、インドネシアおよび香港からの旅行者は、桜のシーズン中、最も出費が多く見られた。さらに、ドイツやイギリスを含む長距離路線からの旅行者による総支出は大幅に増加したことがわかり、総支出は約95%から110%増加といった驚異的な結果が明らかになった。これは、旅行者数が70%から90%増加し、旅行一回あたりの支出が約15%増加したことに起因していると思われる。

  • 日本の桜シーズンの旅行と消費傾向

桜の開花とタッチ決済

桜が徐々に開花していくかのように、タッチ決済への移行も、滞在期間中、使用率が平均14%も上昇するという結果が出ている。この上昇傾向は、旅行の初日と7日目またはそれ以降の日のタッチ決済の浸透度を比較して計算され、訪日観光客が滞在する期間が長いほど、タッチ決済を利用する可能性が高くなることを示している。アメリカ、タイ、カナダ、フランスなど、タッチ決済成熟度が高い国や地域からの訪日観光客は、初日からこの支払方法をすばやく採用し、タッチ決済利用の増加傾向を大いに推進している。しかし、タッチ決済成熟度が低い国や地域からの訪日観光客は、4日目以降のタッチ決済使用率に目立った変化は見られないことがわかった。これは、典型的な旅行期間が短いためと考えられる。

桜のシーズンに訪れる旅行者の支払いパターン

今回データから、支出行動の違いも明らかになった。例えば、桜のシーズンでは、タッチ決済の利用率がそれ以外のシーズン(非桜シーズン)に比べて高いことがわかる。このことは、タッチ決済決済を使い慣れた訪日観光客が世界中から訪れる桜のシーズンは、タッチ決済によって経済的成長を大幅に牽引する可能性を示唆している。そして、タッチ決済が観光シーズン中にレジ処理を簡素化し、顧客体験を向上させるだけでなく、採用する加盟店にとって、大きな変革の可能性があることがわかる。

  • 日本の桜のシーズンの旅行と消費傾向:非桜シーズン

  • 日本の桜のシーズンの旅行と消費傾向:桜シーズン

実際、2023年の桜のシーズンと2024年の桜のシーズンを比較すると、タッチ決済対応の加盟店は、決済金額が53%、決済件数が58%も増加しているという結果がでており、タッチ決済の対応とその効果を示していると考えられる。

データによると、欧米などのアジア以外からの長距離旅行者は通常、予算の20~36%を高級な宿泊施設に費やし、東南アジアの旅行者の2倍の期間、滞在している。これは、より没入型の旅行体験を好む傾向を示しているといえる。一方、東南アジアの旅行者は旅行中にショッピングに強く傾倒しており、特に最終日には、支出の60%をショッピング関連に費やしていることがわかった。

  • 日本の桜のシーズンの旅行と消費傾向:アジア外からの訪日観光客

  • 日本の桜のシーズンの旅行と消費傾向:アジアからの訪日観光客

また、東京や大阪などの都市部への旅行者は、消費の50%以上をショッピングと飲食体験に費やしていることが明らかになり、多種多様な料理とショッピングが彼らの旅行体験を一層豊かにしていると考えられる。地域への訪問者は、予算の20%以上を宿泊に費やしている傾向が見えた。これらの地域では飲食やショッピングの選択肢が都市部に比べて限られている場合もあり、旅行者は、よりさらにリラックスした体験を求め、ホテルや旅館で提供される食事を好んでいる可能性がある。

  • 日本の桜のシーズンの旅行と消費傾向:都市部

  • 日本の桜のシーズンの旅行と消費傾向:非都市部

上記のような分析を通して、「桜の開花は日本の美しさを引き立てるだけでなく、観光業と経済にも大きく貢献していることがわかった」と同社。