ASUS JAPANは5月15日、ゲーミングスマホ「ROG Phone 8」シリーズを日本向けに正式発表しました。その最上位モデル「「ROG Phone 8 Pro Edition」を試用することができたので、レビューをお届けします。
最高のゲーミングスマホが初の防水対応
「ROG Phone」シリーズは、ゲームを快適にプレイすることに特化したAndroidスマートフォンです。スマホゲームの最高峰のタイトルを安定してプレイし続けられる高性能と、ゲームを快適に遊ぶための便利機能を搭載しています。
最新モデルの「ROG Phone 8」シリーズでは、画面サイズは前世代と同じ6.78インチを維持しながら、上下左右のベゼルがスリムになり、画面占有率は94%にスケールアップしました。
また、シリーズとして初のIP68相当の防水防塵に対応。日常の生活シーンで“普通のスマホ”として使いやすくなっています。
「ROG Phone 8 Pro」は背面でドット絵を表示できる
デザインは、従来の「ROG Phone」シリーズのSFらしさ全開のテイストから、シックな中に遊び心も秘めたようなデザインに刷新されました。
背面は「ROG Phone 8」と「ROG Phone 8 Pro」で大きく異なります。「ROG Phone 8」は、従来のAura RGBロゴを踏襲し、背面のロゴマークを虹色にキラキラ光らせることができます。
そして「ROG Phone 8 Pro」はというと、磨りガラス調のマットブラックのシンプルなバックパネルで、斜めに入ったスリットがアクセントになっています。
「ROG Phone 8 Pro」の目を引く仕掛けは、電源をオンにすると現れます。「Anime Vision」という341個のLEDでドット絵を表示するパネルが仕込まれていて、ゲーム開始時や着信時にアニメーション表示をして和ませてくれます。
「ROG Phone 8 Pro」はメモリ8GB/ストレージ512GBという構成。上位モデルの「ROG Phone 8 Pro Editionは、メモリ12GB/ストレージ1TBと容量アップしており、さらに「Aero Active Cooler X」を同梱しているというのが相違点です。
長時間プレイのキーアイテム「Aero Active Cooler X」
外付け冷却ユニット「Aero Active Cooler X」は、ROG Phone 8シリーズに必携のアイテムです。ペルチェ素子と空冷ファンの超強力な冷却機能により、ゲームのパフォーマンスを最大限に引き出します。
今回採用されているハイエンドチップセットのSnapdragon 8 Gen 3は、処理性能が高い分、排熱も多くなります。発熱が進むとCPUのパフォーマンスを落として対処することになるため、高負荷のゲームを快適に遊び続けるには冷却の工夫が必要です。
「ROG Phone 8」シリーズでは、本体内部に熱がこもらないように、ベイパーチャンバーや2分割のバッテリー、2枚のグラファイトシートなどを多層的に組み合わせた放熱構造を採用しています。それでも、3Dゲームを30分もプレイしていると、本体が全体がほんのり熱くなってきて、あまり快適ではない状態になります。
そうしたシーンで、「Aero Active Cooler X」による冷却は実に効果的です。
クーラーの回転速度は、ゲームプレイ中に表示される「GAME GENIE」のコントロールパネルから制御できます。ファンの回転はスマホの状況にあわせて自動で制御されますが、ファンの高速回転や熱電素子のオンオフを自動で切り替えることも可能です。
給電中のみ選択できる最高設定の「フローズン」モードでは、ファンを全力で回転させて、最大36度の冷却効果を引き出すことが可能。このモードではファンの回転音も気になるため、ヘッドホンの併用をおすすめします。
この状態で負荷の高いゲームをいくつか試してみましたが、快適に遊べることが分かりました。『原神』や『崩壊:スターレイル』を最高画質の60fps設定で1時間以上遊び続けても、操作がフリーズすることは一切ありませんでした。
シューティングゲーム『CALL OF DUTY: MOBILE』では、4分間のプレイ中、常に120fpsを維持しつづけながら、端末の表面温度を上昇させることなく快適プレイできました。
Aero Active Cooler Xはロゴを虹色に光る機能もあります。「ROG Phone 8 Pro」をゲーミングPCのように怪しく輝かせたい人は、ぜひ併用してみてください。
「物理ボタン」を追加して快適なゲームプレイ
スマホゲームで使える「物理ボタン」が追加できるのは、ゲーミングスマホならではの要素です。本体側面にはAirTriggerという触覚センサーを備えていて、スマホをグッと握るとボタンとして機能します。つまり、ゲーム機の「Lボタン」「Rボタン」に相当するボタンを追加できるということです。
「Aero Active Cooler X」も肩の部分に物理ボタンを備えています。こちらはゲームのコントローラーのように押し込み式になっているので、より自然な感触で押し込むことができます。
AirTriggerのボタンと「Aero Active Cooler X」装備のボタンは、タッチパネルの任意の場所をタップする操作に割り当てられます。例えば『PUBG Mobile』のようなシューティングゲームなら、射撃操作にRボタン、スコープのオン・オフにLボタンを割り当てみると、エイムが高速になり、射撃操作も快適でした。
今回は検証することができませんでしたが、別売オプションとして外付けコントローラー「ROG Tessen Mobile Controller」も提供されています。A/B/X/Yのキーやジョイスティックなどを備えたコントローラーをスマホに外付けできるようになっているもので、Nintendo Switchの携帯モードのような形状で持ち歩きできます。
AIがゲーム中の作業を効率化する「X Sense」
ゲームプレイ中に利用できる便利なランチャー「GAME GENIE」には、実用的なアシスト機能がまとめられています。例えばプレイ中の画面の録画や、リフレッシュレート設定の変更もワンタップで行えて、ボタンのマッピングや冷却ファンの回転設定もこのランチャーから開けます。
この「GAME GENIE」には、AIを用いた試験的な機能が追加されました。特定のゲームタイトルでよく行う操作を自動化する「X Sense」機能です。
「X Sense」のアシスト機能はタイトル毎にチューニングされています。例えば『原神』向けなら、アイテムを拾うタップ操作や、会話シーンでのページ送りを自動化できます。フィールド操作が格段に快適になるため、原神をプレイするなら「ROG Phone」を選びたいと思わせる機能でした。
「X Sense」の対応タイトルは現状では『アリーナ・オブ・ヴァラー』と『原神』、それに『崩壊:スターレイル』の3作品のみになっています。自動化のために画面のUI要素を学習させるため、対応ゲームを増やすのが難しそうな機能ではありますが、ぜひ対応作品を増やしてほしいところです。
ゲームを支える画面・音響・急速充電
ゲームを快適にプレイするために、ディスプレイとオーディオもこだわって設計されています。
まず、ディスプレイはリフレッシュレート1~120Hzの可変駆動に対応。165Hzという高リフレッシュレートも選択できます。反応性に優れたサムスン電子製の有機ELディスプレイで、当然HDR再生もサポートしています。画面輝度は通常1,600ニトで、HDR再生時は2,500ニトで、日中の屋外でも見やすくなっています。
オーディオは、システムレベルのノイズキャンセリング機能が注目です。ゲームの通話相手のノイズを省いて、さらにこちらから話す声も聞き取りやすくします。スマホ本体で実行するため、イヤホンにノイズキャンセリングが装備していなくても活用できるのがよいところ。有線・無線、内蔵スピーカーやマイクの入出力を問わず、クリアな音声で出力できます。
そして筆者が気に入ったのが、内蔵スピーカーの音の迫力です。まず、本体スピーカーはデュアルスピーカー搭載でスマホとしては大音量を再生できます。Diracの空間オーディオ技術に対応していて、立体感のある音響になります。
立体音響はヘッドフォンでも利用できます。BluetoothではaptX AdaptiveやaptX Lossless規格をサポートしており、有線イヤホンも3.5mmジャックとUSB Type-Cの両方に対応。あらゆるヘッドフォンを使えるようになっています。
急速充電は65Wで、USB-PD規格に準拠しています。同梱のACアダプターとUSB Type-Cケーブルで急速充電が利用できます。0%から充電する場合は、約40分で満充電になります。ここでUSB Type-Cポートが底面と側面の2箇所に設置されているのもポイントです。横向きに持った時に、下に位置する側面からケーブルを垂らせるため、長時間のゲームも快適にプレイできます。
ゲーム以外の機能も充実
「ROG Phone 8」シリーズはゲーミングスマホでありつつ、日常生活の中での用途も対応できる柔軟性を備えています。
カメラは今回、望遠機能を高めています。広角5,000万画素、超広角1,300万画素、望遠3,200万画素という構成で、広角には6軸ジンバル、広角と望遠には光学式手ブレ補正を備えています。望遠レンズは3倍ズームに対応し、被写体検出による画素補完で10倍ズームまでは画質劣化を抑えた画像を撮影できます。
撮影例
このほか、おサイフケータイに対応。マイナンバーカードの搭載も可能です。Qi充電器によるワイヤレス充電もサポートしています。
通信機能は5GのSub-6とミリ波にともに対応。なお、SIMスロットはnanoSIM×2で、eSIMには対応しない点は注意が必要です。Wi-Fi 6Eもサポートしています。
このスマホで遊べないゲームはない
「ROG Phone 8」シリーズは、このスマホで遊べないAndroidゲームをは想像しえないほど、最高峰のハードウェアを詰め込んでいます。
チップセットはクアルコム製の最上位ラインSnapdragon 8 Gen 3(3.3GHz、オクタコア)を搭載。メモリは構成により、12GB/24GBで、他社ハイエンドスマホ並みか、その2倍近い容量となっています。
OSは最新のAndroid 14を搭載。メーカーは2回以上のOSバージョンアップと発売から4年間のセキュリティ更新を保証しています。
これだけのスペックを備えていれば、少なくとも発売時点でこのスマホで快適に遊べないゲームは存在しないことでしょう。実際のスマホゲームのほとんどは幅広いスペックのスマホで動作するように制作されているため、性能の陳腐化を見越しても、向こう4年は快適に遊べるのは間違いないでしょう。