第50期棋王戦コナミグループ杯(共同通信社と観戦記掲載の21新聞社、日本将棋連盟主催)は予選が進行中。5月13日(月)には第4ブロックの高見泰地七段―谷合廣紀四段の一戦が東京・将棋会館で行われました。対局の結果、得意の居飛車穴熊を駆使した高見七段が101手で勝利。爽快な四間飛車破りで予選突破まであと1勝としました。

高見七段の松尾流穴熊

本予選は20名前後からなる山を勝ち抜いた8名が本戦に進出するもの。高見七段は金井恒太六段に、谷合四段は八代弥七段に勝っての登場です。振り駒が行われた本局はオーソドックスな対抗形に進展。後手・谷合四段の四間飛車に先手・高見七段は居飛車穴熊で対抗します。

居飛車穴熊が金銀4枚の堅陣になったところで谷合四段が動きます。9筋の歩を突っかけたのは玉側の端攻めを見せてプレッシャーをかける意図ですが、本局は高見七段の秀逸な対応が光りました。右金を連続で寄せて端の弱点を補強したのが強く戦うための準備です。

一度も王手許さぬ快勝

右辺の折衝が一段落したところで高見七段は好手を用意していました。1筋に据えた端角で銀に狙いを定めたのがそれで、角銀交換の駒損を覚悟で飛車の成り込みを優先したのが好判断に。実戦も右辺で飛車交換が行われて居飛車穴熊の堅さが生きる終盤となりました。

高見七段の指し手は冴えわたります。9筋に放った垂れ歩は後手の香が攻撃に出払っているのをとがめた格好。こうなると裏をかかれた谷合玉に受けはありません。終局時刻は16時19分、最後は攻め駒をきれいにさばいた高見七段が後手玉を寄せきり勝利を決めました。

敗れた谷合四段は「穴熊の暴力をくらってしまった」と振り返りました。勝った高見七段は次戦で挑戦者決定トーナメント入りを懸けて小山直希四段と対戦します。

水留啓(将棋情報局)

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