インターネット上で「最恐」と噂される都市伝説「スレンダーマン」を喜ばせるために、12歳だった当時、友人を刺し殺そうとした米ウィスコンシン州のモーガン・ガイザーが、収容中の精神病院からの退院申請を却下された。ニューヨーク・タイムズ紙が報じている。
ウィスコンシン州の判事は、現在21歳のガイザーを引き続きウィネベーゴ精神病院に収容するべきだと判断したが、一部の医師は条件付きで退院させてもよいとの考えを示していた。だが別の医療専門家が退院に反対。ウォーキショー郡地方検事局の検事補と被害者家族も以前から退院に反対していた。
最終的に判事は、ガイザーが自身や他人を傷つける可能性がいまだ高いとの判断を下した。ガイザーの弁護士は、半年のうちに条件付き退院をあらためて申請するつもりだと述べた。
ガイザーは2017年に殺人未遂事件で有罪を認め、翌2018年に精神病院での40年間の収容処分を言い渡された。2014年、ガイザーは友人のアニサ・ワイアーとともに同級生のペイトン・ロイトナーさん殺害を計画。3人とも当時12歳だった。ガイザーとワイアーはロイトナーさんを19回刺した後、そのまま森の中に放置し、最終的にサイクリング中の通行人がロイトナーさんを発見した。
ガイザーとワイアーは警察当局からの尋問で、スレンダーマンから家族が傷つけられると信じ込み、スレンダーマンを喜ばせて「お近づき」になるためにやったと供述した(ワイアーは第2級殺人罪で有罪を認め、ガイザーと同じ精神病院で25年間の収容を言い渡された。2021年に条件付き退院が認められ、現在は父親の家で在宅拘禁中)。
ガイザーは今年1月に早期退院を申請。2日間にわたる審問では、複数の専門家がガイザーの幼少期のトラウマに言及し、本人も2023年に他界した父親から性的暴力を受けていたと主張した。ガイザーを精神病院からグループホームに移してもよいと言う医師の1人は「目覚ましい改善」が見られたと述べ、「社交性、教育、独立を促すサポート」といった必要な支援を精神病院で「効果的に提供することはもはや不可能だ」と発言した(AP通信の報道より)。
精神病院の院長もガイザーを「コミュニティに戻しても安全だ」という考えを示し、「セラピーや投薬治療、あらゆる治療に積極的に参加している」と述べた。
だが早期退院に反対する精神科医は、ガイザーが2021年10月に首を吊ろうとし、2022年には向精神薬の服用を止めるなど、引き続き懸念があると強調した。ガイザーはセラピストに対し、精神病を装っていたこと、ロイトナーさんを襲ったのも暴力的な父親から逃れるためだったことを語っており、判事もこうしたガイザーの信憑性に対する疑念に賛同した。
「これは1人の人間に対する残忍な襲撃事件です」と判事。「さらに言うなら、自ら手を下した身の毛もよだつ残虐な事件です。こうした危害を加える行為はまさに危険です」。さらに判事はこう続けた。「彼女は意見を変えました……信頼が回復するまでは非常に危険です」。