Google Pixelシリーズが日本に上陸してから5年半が過ぎ、ここ1~2年ほどはメーカー別シェアで見ても上位に入り、街中で老若男女問わず幅広い層のユーザーを見かける機会も増えてきました。
その背景としては、取扱キャリアのうち特にソフトバンクやauが割引など販売に力を入れているということや「消しゴムマジック」を軸に一般層への認知を格段に広げたCMの効果もありますが、純粋に端末そのものを見ても、特に廉価版のAシリーズは価格競争力の高い内容となっています。
そんな普及機の最新版にあたる「Pixel 8a」が5月14日に発売されるということで、一足先にお借りして数日使ってみました。
上位機種より4万円も安い「お買い得なPixel」が今年も登場
はじめに概要をお伝えしておくと、Pixel 8aはPixel 8/8 Proと同じ「Tensor G3」チップを搭載しており、画面サイズはPixel 8より0.1インチ小さい6.1インチ。バッテリー容量は4,492mAhで、前世代のPixel 7aに続きワイヤレス充電に対応。防塵・防水性能はIP67準拠、eSIMやFeliCaにも対応します。
広角6,400万画素+超広角1,300万画素のデュアルカメラを搭載し、消しゴムマジックをはじめとするAI編集機能や各種撮影モードはもちろん上位機種と同じように使えますし、発売から7年間のOSアップデートおよびセキュリティパッチが配信されることも同様です。
Google ストアでの価格は72,600円で、上位機種のPixel 8(112,900円)より定価ベースでも4万円ほど安い設定です。
なお、一部報道では「Pixel 7aから1万円値上げ」という言い方もされていますが、これは正確ではありません。たしかに先代のPixel 7aは昨年5月の発売時点では62,700円でしたが、実は今年2月に為替レートの影響を受けてか69,300円に値上げされていました(7a・8aともに米国価格は499ドル)。実質的にはモデルチェンジのタイミングでの値上げは3,300円に留まっています。
発売に向けてキャリア版の価格や割引も予告されています。なかでもソフトバンクは、これまで一部の家電量販店などで見られた「実質24円」施策をオンラインショップなどにも拡大しており、22歳以下または他社からの乗り換えであれば、2年間使って返却すれば本体代金の負担がほぼ生じないようになっています(※関連記事)。
Google ストアで端末のみを購入する場合は、5月21日までの注文であれば恒例となっている20,000円分のストアクレジットがもらえるほか、Pixel 7aやiPhone SE(第3世代)などからの買い替えで最大32,800円での下取りが可能です。いずれにせよ、例年通りお得な買い方をしやすいモデルといえます。
外見はPixel 8似、丸く手に馴染むフォルム
Pixel 8aのカラーバリエーションはAloe、Bay、Porcelain、Obsidianの4色。このうちPorcelain(磁器)とObsidian(黒曜石)は最近のPixelシリーズによく登場する色名でそれぞれ白と黒を指し、BayはPixel 8 Proにもある青系のカラーです。初登場となる緑系のAloeは、Pixel 8の追加カラーとして1月に発売されたMintとは違った鮮やかな色味となっています。
なお、Pixel 8aのAloeは数量限定色という扱いですが、Pixel 7aで同様に限定扱いだったCoralのような特定の色だけの追加特典は設けられていないため、気にせずお好みの色を選びましょう。
Pixel 8aの外装は、ディスプレイのカバーガラスが「Corning Gorilla Glass 3」、側面のフレームはマット仕上げの100%リサイクルアルミ、バックパネルはリサイクルプラスチック76%使用の複合素材という構成です。
廉価版のAシリーズの背面はプラスチックというのは従来通りですが、Pixel 6a/7aでは光沢仕上げでガラスの見た目に寄せていたのに対し、8aではむしろ素材を生かしたサラッとした仕上げに変わっています。
Pixel 6以降のアイデンティティとなっている「カメラバー」の突起は6aや7aと同様に、より高性能なカメラを積む上位機種と比べると小さめ。ボディ全体のフォルムはPixel 8や8 Proと同様に前世代までよりも丸みが強くなっており、素材感の違いやカメラバーの低さも相まって、より手に馴染む印象です。
外観で気になる点としては、ディスプレイのベゼルが最近のスマートフォンとしては太め。野暮ったいと感じるか、ポップなキャラクターに合っていて可愛らしいと感じるかは人それぞれでしょう。
Pixel 8とPixel 8aはどこが違うのか
Pixel 8aとPixel 8には4万円の価格差がありますが、実のところ、さほど決定的な差があるわけではなく、言い換えれば廉価版のPixel 8aを選んでもほとんどの人は変わらず満足できると思います。
まず動作に関しては、同じTensor G3チップに8GBのLPDDR5Xメモリ、ストレージはUFS 3.1という構成で遜色ないものです。ただ、アメリカではシリーズ初の256GBモデルが追加されたものの、日本では引き続き128GBモデルのみとなっているため、大容量のゲームを複数プレイしている人などは上位機種を選ばざるを得ないでしょう。
カメラのセンサーサイズなどは異なりますが、定評のある「夜景モード」などコンピュテーショナルフォトグラフィーの部分では差を付けられていないので、実際の写りが大きく劣るわけではなくPixelらしい品質を保っています。
細かな違いを挙げれば、ディスプレイの強化ガラスがPixel 8aはGoriila Glass 3でPixel 8はGoriila Glass Victusであったり、急速充電の上限や防水等級(IPX8対応の有無)に差があるものの、4万円の差額を払うに値するほどのインパクトはなさそうです。
前世代のPixel 7aでは、ワイヤレス充電に対応したことが上位機種との差を縮めたポイントでした。私見ですが今回はディスプレイの進化がそれにあたると感じており、Pixel 8aでは120Hz対応かつ最大輝度もPixel 8と同じ1,400ニト(HDR輝度)/2,000ニト(ピーク輝度)の「Actuaディスプレイ」となりました。
世代を重ねるごとに無印とAシリーズの性能差は縮まっているにも関わらず、Pixel 7/7aの価格差が昨年5月時点で約2万円だったのに対し、今回のPixel 8/8aは繰り返しになりますが4万円差です。ますますお買い得感は増したと言えるのではないでしょうか。