マイナビは5月9日、「マイナビ2025年卒大学生Uターン・地元就職に関する調査」の結果を発表した。調査は2024年3月21日~4月5日、2025年3月卒業見込みの全国大学生、大学院生(調査開始時点の大学3年生、大学院1年生)3,017名(文系男子573名、文系女子1,270名、理系男子596名、理系女子578名)を対象にインターネットで行われた。
25年卒学生の地元就職意向
25年卒の学生が地元就職(Uターン就職を含む)を希望する割合は、62.3%(前年比0.3pt減)だった。23年卒以降3年連続で6割を超えており、大手企業志向の傾向と比較すると、17年卒から24年卒まで反比例の関係にある。また、地元就職を希望する理由では「両親や祖父母の近くで生活したいから(47.2%)」や、「実家から通えて経済的に楽だから(37.5%)」「地元(Uターン先)での生活に慣れているから(36.5%)」が上位に挙がった。
コロナ禍前は大手企業志向の高まりから、地元就職意向は減少傾向だった。しかしコロナ禍以降、就職活動の厳しさや経済状況への懸念から、地元を離れて都市部で独り立ちすることへの不安が増し、地元就職意向が高まった。一方、25年卒では大手企業志向の学生が増えているが、引き続き地元就職意向も6割を維持している。昨今就職先を選ぶ際、経済的な不安や将来のライフスタイルの変化を想定し、福利厚生などの制度面の充実を求めて大手企業志向が高まっているが、それと同時に、慣れ親しんだ地元での生活や経済的に不安のない実家での生活など、安心感のある環境で社会人生活を始めたい学生が一定数いるために地元就職意向の割合は維持されていると推察できる。
地元就職を希望する理由は?
地元就職を希望する人に、その理由について自由回答で聞くと、「何かあった場合に誰も頼ることができないのは心細い」、「実家から職場に通えば最初は仕事のことに集中できそう」などの声が挙がった。社会人生活という新しい環境への不安から、頼れる存在が身近にいる地元や実家で暮らすことで、生活面や経済面、さらには精神面の負荷を減らしつつ、仕事に集中したいという思いが読み取れた。また、「子育てを両親に手伝ってもらったり、両親の介護が必要になった際に手助けをしやすい」「実家から通って老後に向けてお金を貯めたい」などのコメントもあり、将来のライフイベントについても想像した上で就職先を検討している学生がいることも分かった。
Iターン就職に興味がある学生は44.4%
地元以外の地方で働いてみたいと思うかについて聞いたところ「働いてみたい」と回答した学生は44.4%だった。その理由については「趣味と仕事のバランスをとりたい」が最多で36.0%、「見聞を広げたり、新たな発見ができるから(29.3%)」、「住む場所には特にこだわりがないから(28.2%)」「新たな人々との出会いが生まれるから(28.0%)」が続いた。地元以外の地方で働いてみたいと思ったきっかけを聞いたところ、「インターンシップで訪れてその場所での生活や仕事に興味を持った」「(その地域に大学があり)大学近くに住んで良さを知った」「旅行で訪れて住みたいと思った」などのコメントが見られた。