住友商事、阪急電鉄、JICAは、フィリピン・マニラ首都圏の都市旅客鉄道「LRT1号線」の運営・保守事業に協同して取り組むことで合意したと発表。住友商事が間接保有するLRT1号線の運営・保守事業を行う企業「LRMC」の株式の一部を阪急電鉄とJICAに譲渡する契約を締結した。
マニラ首都圏はASEAN諸国の中で最も渋滞が深刻な都市のひとつとされ、新規路線を含む鉄道インフラの整備が進められている。LRT1号線は約20kmの路線長を持つマニラ首都圏の重要な交通網のひとつで、2015年に旅客鉄道事業に参画したLRMCが、より質の高い鉄道運行や輸送力の拡充に取り組んできた。年内に約7kmの南部延伸区間が開業し、5つの新駅が設置される予定。マニラ首都圏南部からのアクセス向上が期待されている。
住友商事は2020年にLRT1号線に出資参画し、LRMCの安定的な経営に資する取組みやスペアパーツ調達支援などを通じ、LRMCの価値向上に取り組んできた。一方、阪急電鉄は日本の大手民鉄として初めて海外鉄道事業に本格参入する。将来的には、フィリピン市場で阪急阪神ホールディングスグループの他事業との連携を模索するという。
JICAはおもにフィリピン政府に対する円借款の供与と技術協力を通じ、長きにわたってマニラ首都圏の鉄道整備を支援してきた実績を持つ。現在も円借款「マニラ首都圏大量旅客輸送システム拡張事業」で車両の調達や車両基地の整備を実施しており、豊富な実績で培ったフィリピン政府との良好な関係を通じ、LRT1号線の円滑な運営をサポートする。
3者はそれぞれの強みと知見を生かし、LRMCやLRMCの他の株主とともにLRT1号線のさらなる利便性・安全性の向上に取り組み、マニラ首都圏の交通ネットワークの強化をめざす。