第一三共ヘルスケアが運営する「健康美塾」と、「陣痛きたかも」「ステップ離乳食」などのアプリサービスを展開する「カラダノート」が、『産後ママのためのスキンケア』をテーマにイベントを開催。2歳の子どもをもつモデル・美容研究家の有村実樹さんをゲストに迎え、時間がなくてもできるスキンケア方法のレクチャーや座談会などが行われました。

■産前産後で肌質は変わる

出産経験のある方は、産後に乾燥や肌荒れなどの肌変化を感じた方も多いのではないでしょうか。皮膚科医によれば、産前と産後では肌質が変わるといいます。その原因は出産や授乳による貧血や寝不足、ストレス、ホルモンの変化など多岐にわたり、子育てに追われて自分のお手入れに時間を取れなくなることも関係しています。

産後に起きやすい肌トラブルとして、乾燥やシミ、抜け毛などが挙げられます。母乳は血液から作られるので、授乳をしていると貧血になりやすく、貧血やホルモンバランスの崩れがシミや抜け毛につながります。

■30秒あれば最低限のスキンケアができる

イベントの前半では、モデルで美容研究家の有村実樹さんが自らの体験も踏まえて産後ママに嬉しい肌ケアテクニックをレクチャー。2021年に出産した有村さん自身も、妊娠中からニキビができやすくなり、産後は睡眠不足や疲労から、かぶれや赤み、かゆみなどのトラブルに悩まされたそうです。

「一番目が離せない時期は、自分のスキンケアよりも子どもの世話を優先して、入浴後何も塗らずに過ごしてしまったこともあります。でも、数日経つとかゆみが出てきてしまったので、何かしらを自分の肌に塗ってから子どものケアをするようにしました」(有村さん)

  • モデルで美容研究家の有村実樹さん

時間がないときはミストタイプの化粧水も重宝しますが、せっかく水分を入れても油分でフタをしないと乾いてしまうので、入浴後すぐに化粧水を塗って、乳液でフタをするといいそう。化粧水と乳液の後、最後にクリームでフタをするのが理想的だといいます。

有村さんは自身の経験から、出産を控えていた親族に「特に月齢が低いうちは赤ちゃんを第一優先にしてしまいがちだけど、お風呂上がりに赤ちゃんをバウンサーに乗せて、目を離さないようにすれば30秒、1分待たせても大丈夫だから」とアドバイスしたそうです。

ゆっくりと浸透させながらケアする時間はなくても30秒あれば化粧水と乳液のツーアイテムが塗れて、1分あれば化粧水、乳液、クリームのスリーアイテムが塗れるといいます。

「赤ちゃんを30秒、1分待たせることに罪悪感を持たなくても大丈夫。たったそれだけのことでも肌が大きく変わります。どうしても時間がないときは、お風呂上がりの肌にサッと乳液だけ塗って、時間が取れたときに改めて化粧水からスキンケアステップを始めてもいいと思います。肌が荒れると、鏡を見るたびにどんどん自信がなくなっていってしまいます。お母さんが笑顔でいられることが大事なので、自分のケアも大切にしてほしいです」(有村さん)

■産後のスキンケア、塗り方や塗る量のポイントは?

イベントでは、有村さんが実演を通して時間がない中でも効果的にお手入れをするためのコツを披露。スキンケアをする際は、次のことを意識しながら、一品を丁寧に使うことが大切だといいます。

【1】スキンケアアイテムはたっぷりの量を使う

ミストタイプの化粧水なら顔全体にぐるっと3周分、乳液なら3プッシュ、クリームなら大きめのパール粒よりもひとまわり多い量を使用する。夜のスキンケアでしっかりと潤っていれば、朝のメイク前はこれより少なくても大丈夫。

【2】スキンケアアイテムを手のひら全体にのばしてから塗る

顔を洗うような感覚でぐるぐると手をあててOK。ただし塗るときは力を入れずに、するするとなめらかに表面をなでる感覚で。肌が引っ張られて伸びるようでは力が入りすぎているので、寝ている赤ちゃんを起こさないようやさしく触れるようなイメージで。

【3】手をクロスさせて細部までしっかり塗る

まっすぐ手をあてるだけでは塗り漏れが出るので、手をクロスさせて首まで塗る。色々な角度から手を当てることを意識して鼻の下やこめかみ周り、フェイスラインもしっかりと。横にシワが走る首は縦塗りだけでは溝まで入っていかないので、横にも手をすべらせる。

【4】塗った後に手でなじませる

各アイテムを塗った後、じっくりと肌に浸透させる時間がとれなくても大丈夫。そのかわり、手でしっかりとなじませることを意識する。

「あれこれ使うよりも一品一品を丁寧に使うことが大切です。手の動かし方や力加減は、身に付くまでは難しく感じるかもしれませんが、毎日意識しながらやっていると自然と手が覚えていくので、手を育てる気持ちで動かし方や力加減を意識してみてください。しっかりと潤わせるとお肌は輝きます」(有村さん)

■アイクリームで1年後、2年後の目元が変わる

有村さんが、基本のアイテムにプラスして「絶対に使ったほうがいい」と強調するアイテムがアイクリーム。使うと使わないとでは、将来の目元が大きく違ってくるといいます。

「目元のシワは目頭からできます。なので、アイクリームを使うときは、目頭からすっと伸ばして、目じりはこめかみまで塗ります。年齢を重ねると表情ジワが長くなってくるので、表情ジワが本格的なシワになる前にこめかみまでアイクリームを塗ってケアをすることが大切です。まぶたや眉毛の下にもしっかりと。過酷な夏を経た秋口にシワやシミが出てきやすいので、いまのうちからケアを始めてください」(有村さん)

■万能オイルで乾燥やごわつきをケア

化粧水、乳液、クリーム、アイクリームに加えて、さらにもう一品プラスするなら、有村さんはオイルをおすすめするといいます。

「夏のあいだも意外と乾燥しがち。肌のごわつきが気になるときは洗顔後すぐの肌につけてもいいですし、乾燥によるかゆみや肌荒れが気になるときは、化粧水の後に美容液感覚で使うのもおすすめです。化粧水の後にオイルを塗ればフタができている状態なので、一旦そこでスキンケアを切り上げて、寝る前に改めてクリームを塗ってもいいと思います。朝のメイク前は、化粧水の後にオイルだけ塗って、日焼け止めやメイクに進んでもいいですね」(有村さん)

■30秒でも1分でも、自分を大切にする時間を

育児や家事などで忙しい子育て中は、目についたとき、すぐにちょっとしたスキンケアができる状態を作っておくことが大切です。有村さんは、自宅でも乳液やオイルなどの保湿アイテムをリビング、寝室、脱衣所、玄関など色んなところに置いておき、気軽に保湿ケアができるようにしているといいます。

有村さんは最後に、「お母さんたちには、1日の中で少しでも時間を作って『私は私』という時間を忘れないようにしていただきたいです。30秒でも1分でもいいので、自分のケアを大事にすると、より笑顔の多いお母さんとして、1人の女性として日々を重ねていけるのではないかと思います」と、日々奮闘するママたちにエールを贈りました。


筆者も産前産後で肌状態が変わった一人。育児に追われる中、あわただしくスキンケアをしているとつい手に力が入ってしまいますが、一度深呼吸して、自分の肌をわが子のように慈しむ時間を持ちたいものです。