金相場の高騰に沸く金融市場。「金なんて所有していないし、自分には関係ないか……」と思っている人も多いかもしれないが、実はシルバーのほうも価値が上がってきているのだとか。
シルバーでもいいなら、もしかして家を探せばあるかも……? ということで、今回も大手買取専門店の「買取大吉」新宿本店を訪問。鑑定士の木村健一さんに、シルバーの買取相場について話を聞いた!
■シルバーの価値も上昇中! ここ数年で2倍に
――まず、シルバーの買取相場について教えてください。
今は1gあたり120円前後が相場となっています。金とはゼロの数が2つ違うので、がっかりされるかもしれませんが、シルバーも1990年代は20円前後でしたし、2019年あたりもまだ60円前後だったので、この3〜4年で2倍になった計算になります。やはり需要が高まっているんですね。
みなさん、シルバーはアクセサリーに使われているというイメージが強いと思います。しかし実は、シルバーは熱伝導率が一番高い素材としても知られていて、医療機器や電子機器、太陽光発電などの分野でも使われているんですよ。
むしろ、シルバー全体を見れば大部分がこちらの工業方面で使われていて、アクセサリーなどで使われているのはごく一部。アクセサリーでは“何g”という単位ですが、工業方面では“何t”という量のシルバーを使いますからね。
つまり、工業需要が増してくるとシルバーのニーズも増え、価格も上がりやすいという傾向にあります。
――ここにあるようなシルバー製品は1gあたり120円前後で買い取ってもらえるんですか?
「シルバー925」だと94円になりますね。純度100%だと120円ですが、シルバー925は純度が92.5%であることを意味するので、そのぶん差し引く必要があるんです。
――では、シルバー製で何万円もするようなアクセサリーは……。
シルバーという素材の価値ではなく、大半がブランド料とデザイン料になると思います。
――某有名ブランドのシルバーネックレスなんて数十万円はしますが……。
30〜40万円するシルバーアクセサリーでも、原価だけなら1万円もしないかもしれませんね。ただ、銀の場合は銀の価値そのものを重視して買い求める人はほとんどいないので、そこはファッションと同じですね。結局は「そのブランドだから」という理由で布製品に何十万円という金額を支払うように、シルバーも資産性で買い集めている人はかなり少ないんじゃないかと思います。
■インディアンジュエリーやエルメスのバングルも高騰中!
――なるほど、言われてみればそうかもしれません。
ただ、最近だとナバホ族のインディアンジュエリーなどの人気もかなり上がってきているので、数年前に買った人は、購入時よりもだいぶ金額が上がっているかもしれません。素材の価値というより、品物自体の人気が上がっているという感じですね。
エルメスのヴィンテージのバングルも、数年前まで3〜4万円で二次流通していたものが30万円まで上がっていますよね。シルバーという素材としての価値より、ブランド的価値、デザイン的価値の変動に応じて金額も大きく変わります。
――シルバーを投資としての視点で見た場合、どのようなアプローチがおすすめですか?
シルバーのインゴットもありますし、シルバーの価値がゼロになるということはこの先もないので、現金をインゴットに変えるのもありかもしれません。また、エルメスやクロムハーツ、インディアンジュエリー系の人気ブランドのヴィンテージアクセサリーを買っておけば、さらに価値が上がっていく可能性もあります。
ただ、シルバーのヴィンテージアクセサリーの価値はかなり上がりきっている印象もあるので、今後の変動についてはわかりません。シェーヌダンクルなどは今後もあまり値段は落ちなさそうですけどね。
このあたりはファッションのトレンド的な影響が強く、たとえば海外セレブや人気インフルエンサーが紹介した途端に価値が上がる場合もありますから、アンテナを張っておくといいかもしれません。
■食器類やボールペン……売れそうなシルバー製品と注意点
――ちなみに、現在だとどんなシルバー製品が売却しやすいですか。
一般的に家庭にあるものだと、お皿やカトラリーなどの食器類、アクセサリーなどでしょうか。他にも、マネークリップやカフス、ネクタイピン、ボールペン、あとは記念メダルなどもシルバー製品が多いですね。家中のシルバー製品を集めれば、意外に数万円の価値がつく可能性もあると思います。今日、ここにあるものだけでも合計すれば10万円は超えますしね。
――金ばかりが注目されますが、シルバーも侮ってはいけませんね。高く売るコツなどはありますか?
シルバーは研磨すると体積が減ってしまうので、あまり磨かないほうが高く売れるということは覚えておいてください。お売りいただく場合も磨かず、そのまま黒ずんだ状態でお持ちいただければ大丈夫ですので、ぜひお持ち込みいただければと思います。
金はなかなか難しくても、シルバーなら身近にあるかも? さっそく家の中にあるシルバー製品を見てもらってはどうだろうか。