舞台『千と千尋の神隠し』がイギリス・ロンドン ウェストエンドのロンドン・コロシアムにて本初日を迎えた。
同作は宮崎駿監督の名作『千と千尋の神隠し』の舞台化作。少女・千尋(橋本環奈/上白石萌音/川栄李奈/福地桃子)が引っ越し先に向かう途中で八百万の神々の世界へ迷い込み、様々な出会いを経て、人間の世界に戻るため生きる力を呼び醒ましながら奮闘する。英国ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーの名誉アソシエイト・ディレクター ジョン・ケアードが翻案・演出を手掛け、2022年に世界初上演された。
■舞台『千と千尋の神隠し』ロンドン・コロシアムで歓声
日本人キャストによる日本語での海外上演としては演劇史上最大規模、また東宝主催公演としても史上初の試みとなる今回のロンドン上演は、ウェストエンド最大級となる約2,300席の客席数の劇場、ロンドン・コロシアムにて4月30日にプレビュー上演を開始し、5月7日に本初日を迎えた。現在、千尋役の橋本環奈/上白石萌音、ハク役の醍醐虎汰朗、カオナシ役の山野光、リン/千尋の母役の妃海風、釜爺役の田口トモロヲ、湯婆婆/銭婆役の夏木マリ/朴ロ美、兄役/千尋の父役の大澄賢也、父役の吉村直、青蛙役のおばたのお兄さんらが現地で公演を行なっている。
2月に行われた制作発表でも「これまでのロンドンで記録にないほどのセールス」と前評判の高かったという同作。現地では『千と千尋の神隠し』ラッピングの2階建てバスも運行された。開幕すると、冒頭では引っ越し先の風景に千尋が「ベー」と舌を出すと、映画を思い出させる演技に観客は嬉しそうな反応を示していたという。
神さま達が油屋を訪れる場面では、グランドサークル(客席内)に設置された提灯が点灯するなど、日本の劇場では見られない、ロンドン公演ならではの光景も。カオナシの登場には感嘆の声、ボイラー室での“ススワタリ”の様子には笑いが起こり、「おしらさま」「頭」も人気の様子。
また、床を這う黒いネトネト(タタリ虫)を千尋が踏み潰し、釜爺が「エンガチョ! 千! エンガチョ」と言ってエンガチョを切った後、2人が喜び合う場面では歓声が。ハクの名前を思い出す、大きなハク竜と千尋のシーンは、映画同様クライマックスの象徴的なシーンとなり、劇場中の観客が見入っていたという。カーテンコールになるとすぐスタンディングオベーションが起こり、割れんばかりの拍手と歓声、指笛で盛り上がった。
現地では「宮崎駿は伝説です。英国の子どもにとって思い出の一部です。宮崎さんの世界をこうして見られて最高です」(女性)、「何度見ても新しい発見があるでしょう」(男性)と絶賛の声。「号泣しました。魔法のようでした。何もかもが素晴らしかったです。また泣きそう。ハクが竜にから元に戻った時、最高でした。千尋が背中に乗って飛んだ時、良く出来ていると思いました」と称え、日本語で「ありがとうございました!」とコメントする母娘も。
「人生で初めて見た世界でした。日本語で見れたのが何より良かったです。日本の文化のエッセンスを感じました」(女性)、「竜が飛んだところが好き」「大きな竜が好き」(幼児姉妹)、「(橋本環奈について)千尋を演じる子に才能を感じました。彼女を見にもう一度行きたい。湯婆婆が大きくなったところが怖かった」(女性)と好評の様子だった。
ロンドン公演はロンドン・コロシアムにて4月30日〜8月24日。日本では現在福岡・博多座にて5月19日まで上演されており、さらに大阪公演は梅田芸術劇場メインホールにて5月27日〜6月6日、北海道公演は札幌文化芸術劇場 hitaruにて6月15日〜20日。