第37期竜王戦(主催:読売新聞社)はランキング戦ほかが進行中。5月7日(火)には4・6組の計2局が行われました。このうち関西将棋会館で行われた6組の古森悠太五段―藤本渚五段の一戦は千日手指し直しとなった対局を藤本五段が75手で勝利。難解な中盤戦を抜け出して本戦入りまであと1勝としました。

千日手も戦型変わらず

今期の6組ランキング戦は70名からなるトーナメントを勝ち抜いた1名が本戦に進出するもの。本局はその準決勝にあたります。振り駒が行われた対局は先手となった古森五段が三間飛車に誘導するも主導権を握るには至らず、55手で千日手が成立しました。

後手番で迎えた指し直し局で古森五段は同様に三間飛車を採用。先手の藤本五段が右桂を跳ねての早仕掛けを見せたのは1局目と類似の進行で、ここから角交換が行われたことで局面が動き出します。お互い角を自陣に据え、飛車先突破をめぐる攻防戦が始まりました。

急転直下の結末

飛車を取り合いが発生して局面は一気に終盤へ。先に一分将棋に入った古森五段のほうに失着が出ます。桂取りを手抜いて攻め合ったのがそれで、ここは苦しくても桂を守って辛抱すれば息の長い展開が予想されました。実戦は直後に厳しい反撃が待っています。

持ち時間を2時間近く残す藤本五段は冷静でした。右辺での二枚換えを甘受しつつ、手番を握って香を敵陣に突っ込んだのが美濃崩しの決め手。終局時刻は19時48分、この局面がそのまま投了図となり藤本五段が勝利。古森五段は1局目での時間消費に泣いた形です。

勝った藤本五段はランキング戦決勝に進出するとともに5組昇級を確定。次戦で決勝トーナメント進出を懸けて井出隼平五段ー山下数毅三段戦の勝者と対戦します。なお山下三段が仮に井出五段、藤本五段を破って決勝トーナメント進出を果たすと、規定により次点を獲得、四段昇段の権利を獲得することになります。

水留啓(将棋情報局)

  • 藤本五段は初の決勝トーナメント進出まであと1勝とした

    藤本五段は初の決勝トーナメント進出まであと1勝とした