ZINUS JAPANはこのほど、精神科医の芦澤裕子先生監修による5月病対策を公開した。

やる気や気力が低下し、ひどい場合には深刻なうつ病につながることもある5月病。生活リズムも変わり、心身にストレスがかかる新しい環境では、睡眠の質の低下を実感する人も少なくない。

  • 5月病対策にやるべきことは?

精神科医・市川メンタルクリニック院長の芦澤裕子先生によると、5月病のリスクと睡眠の間には密接な関わりがあるという。今回は、5月病にならないための対策として、良質な睡眠を確保する方法について紹介する。

◼睡眠の習慣で心掛けること

起床時刻を一定にする

人間の生体リズムは約25時間と、1日の24時間より1時間ほど長いのだそう。この差を修正するためには、朝の起床時刻を一定にし、朝、光を目の中に入れることで24時間周期にリセットできるとしている。午前中に光を一定時間浴びることによって、自律神経や脳神経を正常化するのに役立つホルモン、セロトニンの正常な分泌にも役立つとのこと。

睡眠の質をあげる食生活を意識する

睡眠の質の改善に必要な栄養素は主に、ビタミンB6、ビタミンB12、鉄、GABA、グリシンなどの6つ。肉や魚は日々の主菜にきちんと取り入れ、ビタミンB12が豊富なしじみやあさりなどの貝類、グリシンが豊富なエビやウニ、トリプトファン豊富な豆腐や納豆も積極的にとると良いのだそう。主食には、GABAが豊富な発芽玄米がおすすめとのこと。

また、睡眠の質の改善に役立つ栄養素を含むといわれるユーグレナは、59種類もの栄養素を含んでおり、一般販売されているドリンクやタブレット型のサプリメントなどで取り入れることができる。

お酒は控え、カフェインは夜眠る5時間前まで

飲酒は睡眠の質を下げる要因に直結し、また、アルコールの利尿作用で就寝中に目をさませてしまうことも睡眠の質の低下につながる。神経を覚醒させるカフェインも、就寝時間の5時間前までと決めるのがおすすめとのこと。

ぬるめの半身浴を

体の内部の温度(深部体温)が下がるときに副交感神経が優位になり、入眠しやすくなるという。眠るタイミングで深部体温の低下を下げるには、春夏の暖かい季節は1時間前までに、湯船で38度~40度のぬるめの半身浴で入浴を。20分ほどゆったりつかろう。

◼質の良い睡眠をつくる理想的な環境づくり

ストレスフリーな睡眠環境をつくる、寝具の選び方

メンタルの安定のためには、自律神経や脳神経の細胞にきちんと栄養や酸素が行き渡ることも重要としている。寝具を選ぶ際は、まず「寝返りしやすい」「あお向きで寝たときに体の特定箇所に不自然な圧力がかからない」「入眠時の自分の寝姿勢で心地が良い」などをチェックすると良いのだそう。

そのほか、ショールームなどにある自体圧分散測定器などを試し、自分の体圧が不自然にかかる(=体の特定箇所だけが深く沈んでしまい、不自然に荷重がかかる、などがおこっている)寝具は避け、不快感がないものを選ぶことをおすすめしている。

枕の選び方

"寝返り"は質の高い睡眠には不可欠。枕を選ぶ基準は"寝返りのうちやすさ"だという。平たく低い枕の方が寝返りを妨げないため、横になったときに「おでこ、鼻、鎖骨を結ぶラインが一直線になる高さ」になっている状態が、理想の枕なのだとか。

眠る空間について

照明は真っ暗ではなく、カーテンから光がやや透けるくらいの暗さが理想的。シーツや枕カバーなどの寝具は、ブルー系かグリーン系の目で見て安らぐ薄い色がおすすめだという。また、吸汗性が低いシーツでは、汗が吸収されない不快感から睡眠の質を下げてしまうため、綿やシルクなどの天然素材のものを使用するのが良い。

◼精神安定のために大切なこと

芦澤先生によると、孤独感を感じると抑うつ症状が悪化しやすいため、精神の安定を保つ対策には、“信頼する人に話を聞いてもらう”のがおすすめ。人との交流が苦手という人は趣味に没頭する、寝る、大声を出すなどもストレス発散になるという。

また、起床時から気力がわかず、布団に体が張りついてしまって起き上がれないくらいの場合は、早めに精神科を受診してほしいとしている。

  • 精神科医・市川メンタルクリニック院長 芦澤裕子先生

芦澤裕子先生は、日本睡眠学会認定医、精神保健指定医、日本精神神経学会専門医、指導医で、精神科医・市川メンタルクリニック院長。心療内科、精神科のクリニックにて精神障害、睡眠障害などの治療にあたる。監修した書籍に『GOOD SLEEP BOOK 365日ぐっすり快適な眠りのむかえ方』(翔泳社)がある。