2020年の放送から9エピソード目となるNHKのドラマ『岸辺露伴は動かない』の新作「密漁海岸」が5月10日(総合 22:00~23:00)に放送を迎える。昨年5月にはパリロケを敢行した映画『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』も公開されるなど長期シリーズとなった本作で主人公・岸辺露伴を演じるのが俳優の高橋一生だ。放送開始当時から、作品への愛やクオリティの高さが大絶賛された本シリーズ。高橋が5年目を迎えた露伴への思いを語った。
相手を本にして生い立ちや秘密を読み、指示を書き込むこともできる特殊な力“ヘブンズ・ドアー”を持つ漫画家の岸辺露伴(高橋一生)が、編集者の泉京香(飯豊まりえ)とともに奇怪な事件や不可思議な現象に立ち向かう同シリーズ。最新話となる「密漁海岸」は、原作でも人気のエピソードで、ドラマが始まった当初からファンの間でも実写化の期待が大きかった。露伴は家の近くにオープンしたイタリアンレストランのシェフに出会い、どんな病気でも治療することができるという伝説のヒョウガラクロアワビを手に入れようと奮闘する。
劇中、高橋演じる露伴はこれまで以上に“動”を見せ、ほぼCGなしという海でのシーンも実際に水中にもぐり過酷な状況下で芝居に挑んだ。大きなチャレンジだったという。
「今回に関しては水中のシーンですね。これまでのエピソードは、クライマックスに向かって閉ざされた場所に帰結していくんです。例えば狭い路地や露伴の部屋、(ルーヴル美術館の地下の)Z-13の倉庫など。海という解放感ある場所なのに、どれだけ閉塞的な雰囲気が出せるかというのが、今までの作品との対比で出せたら……というのは挑戦でした。もちろんそこは僕の芝居だけでどうにかなるわけではないので、全体のチームワークが、とてもいい形で作用してくれたと思います」。
本作は、テレビドラマとして放送されたあと、映画として公開され、またテレビドラマとしてオンエアされるという経緯をたどっている。
「(演出の渡辺)一貴さんは映画になったからといって、大きく変化したことはなかったと思っています。作品的にも何かを解明していくというストーリーのなか、あまり説明的にならない見せ方をされているというか、分かりやすいやり方をしてしまうと、面白くなくなると思うので。その意味で『岸辺露伴』という作品は、一貴さんのやり方にうってつけの作品だなと思います」。
ドラマでも映画でも、しっかりとしたクオリティを担保することでブレることがない世界観を演出した。一方で、映画を経験したことで、確実にプラスになっているものもあるという。
「先ほどドラマと映画が変わらないニュアンスでできたという話をしましたが、映画を経験したことで、確実に体感として得たものはあったんです。それは連続してやってきたことによる経験則なのか、ルーヴルという場所に行ってお芝居をして作品を作ったことがそうさせているのかははっきりと言語化できないのですが、今回『密漁海岸』を撮影していたとき、何か決定的な変化を感じました。一つ言えるのは『こうした方が俺は好きかも』ということをキャスト、スタッフがみんな持ち寄れるようになってきているというのは明確に感じています」。