女優の芳根京子が、フジテレビのドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』(毎週日曜14:00~ ※関東ローカル)のナレーション収録に臨んだ。担当したのは、5日に放送される『たどりついた家族3~ 母の願い 3度目の春~』。戦火のウクライナから日本にやってきた避難家族を追った作品の第3弾だ。

東京で3度目の春を迎え、子どもたちが今の生活になじむ一方、故郷への帰還を望む母。複雑化する家族の思いを受け、芳根は「とにかく皆さんが幸せでいてほしいです」と切望する――。

『ザ・ノンフィクション』のナレーションを担当した芳根京子

『ザ・ノンフィクション』のナレーションを担当した芳根京子

東京になじむ子ども、孤独を感じる母

東京・新宿区に住む和真さん(37)・アナスタシアさん(24)夫妻のもとに、アナスタシアさんの母国・ウクライナから、母・マーヤさん(46)と年の離れた妹・レギナちゃん(8)、弟・マトヴェイくん(6)がやってきて2年が経った。

マーヤさんが「ウクライナに帰りたい」と願い続けても、一向に終わりの見えない戦争。一方、子どもたちは学校や幼稚園に通う中で日本語を覚え、友達を作り、東京での生活になじんでいた。東京で3度目の春を迎え、子どもたちの成長に喜びを感じながらも、母は孤独にさいなまれていく…。

  • (前列左から)レギナちゃん、マトヴェイくん (後列左から)和真さん、アナスタシアさん、マーヤさん (C)フジテレビ

戦争が終わっても先の状況が見えない

この家族のドキュメンタリーに語りを吹き込むのも3回目となるだけに、「レギナちゃんやマトヴェイくんも大きくなって、成長する姿が見られるのはうれしいのですが、いつも“どこで終わるんだろう…”と思ってしまうんです」と、複雑な思いを抱えながら収録に臨んだ芳根。今回のドキュメンタリーでは、いつか戦争が終わるときがきても、そこから先の家族の状況が見通せないことを痛感させられた。

「アナスタシアさんが大学に受かったという話もあり、本当にうれしいなと思いましたが、この家族にどんな未来が待っているんだろうと考えると、いろんな感情が出てきます。今、家族みんなで暮らせていることは幸せかもしれないけれど、願ってそうなったわけではないので、それぞれ違う葛藤を抱えて生きているんだと思うと、苦しい。家族の中でも幸せの価値観というのがそれぞれ違うと思うので、とにかく皆さんが幸せでいてくれることを願いたいです」

前回の放送と同様に、母・マーヤさんが戦火のウクライナに戻らなければならない場面も登場する。空港での別れのシーンは、やはり胸を締め付けられる映像だった。

「お母さんが帰ってきてくれる保証もないので、本当につらいですね。小さかったマトヴェイくんも成長すればするほど、状況を理解するようになると思うので、それを考えるとまた苦しいです」

戦争のニュースを「より現実のこととして」

『ザ・ノンフィクション』でこのシリーズのナレーションを担当することによって、異国での戦争のニュースの見方にも変化があるという。

「このご家族を見守らせていただいて、こんなにつらい思いをしている人がいるということを知った上でニュースを見ると、より現実のこととして受け止めるようになりました。他人事(ひとごと)ではなく、本当に早く戦争が終わってほしいという思いを、より強く持つようになったと思います」

『3度目の春』という今回のサブタイトルに、改めて年月の長さを感じたという芳根。それだけに、「『たどりついた家族』というドキュメンタリーの続きは早く終わってほしいのですが、この家族は見ていたいんです。みんなが笑顔で過ごせるようになったときを、ぜひ番組で追ってほしいです」と願った。

  • お花見をする家族たち (C)フジテレビ

●芳根京子
1997年生まれ、東京都出身。13年に『ラスト・シンデレラ』で女優デビュー。14年にNHK連続テレビ小説『花子とアン』で注目を集め、15年『表参道高校合唱部!』でドラマ初主演。16年にはNHK連続テレビ小説『べっぴんさん』でヒロインを務め、以降もドラマ『海月姫』『チャンネルはそのまま!』『半径5メートル』『真犯人フラグ』『オールドルーキー』『それってパクリじゃないですか?』『テレビ報道記者~ニュースをつないだ女たち~』、映画『累 -かさね-』『居眠り磐音』『記憶屋 あなたを忘れない』『Arc アーク』『カラオケ行こ!』などに出演する。現在、ドラマ『Re:リベンジ-欲望の果てに-』が放送中で、25年1月24日に映画『雪の花 -ともに在りて-』が公開予定。