真矢がふるさとである神奈川県・秦野の”ふるさと大使”に就任して1年。それを記念して4月28日、〈秦野〉という絆で結ばれた表現者仲間たちが集結し、真矢にとってアイデンティティの一部である〈伝統芸能〉〈和太鼓〉〈祭り〉を融合させた一夜限りのフェスティバル『奏・秦野 (おと・はだの)』が開催された。オフィシャルレポートを掲載する。
この日は夏を感じさせるほどの気温と天候。会場となったクアーズテック秦野カルチャーホール(秦野市文化会館)の入り口にはキッチンカーがいくつも並び、真矢プロデュースのラーメン店・天雷軒も出店。また広場では地元のアーティストによるダンスや演奏が披露されるなど、お祭り感満載で開場前からたくさんの方が集まり、このフェスを堪能していた。
16時開場。そして定刻17時なると緞帳があがった。ステージには真矢と能楽囃子、そして地元秦野の出身の水墨画家・長嶋芙蓉。会場から自然と大きな拍手が起こる中、真矢と能楽囃子が演奏を始める。ドラムのグルーヴとは全く違う、和太鼓の凛とした世界に会場が水をうったような静けさに変わった。
能楽囃子と和楽器を叩く真矢のコラボはLUNA SEAのライヴでもおなじみだが、この緊張感のある演奏をバックに、水墨画家がステージの後方、天井からつるされている大きな幕へライヴペインティングを行うという、スリリングなパフォーマンスを始める。小さいころから能楽に精通していた真矢の叩く音は雅で美しく凛としていて、演奏する姿も実に美しい。能楽囃子との息もピッタリでそのミニマムな所作から生まれる緊張感のある音をバックに、水墨画を大胆に描いてゆく。時間にして10分ほど。見事な水墨画が完成し、会場からは再び大きな拍手が起こる中、オープニングステージが終了した。
ここでMCが登場。そして早速真矢を呼び込む。演奏したときのままの袴姿でステージに再び登場した真矢は満面の笑みで、イベント開催の挨拶として、会場に集まったお客さんに感謝の言葉を述べた。そして、ライヴペインティングを終えたばかりの長嶋芙蓉と、真矢と息の合った演奏を披露した能楽囃子から望月秀幸がステージに登場し、トークを展開。真矢が持ち前のユーモラスを全開に発揮し、さきほどのパフォーマンスと打って変わっての和やかな空気に会場が変わる。長嶋芙蓉が短時間で見事に描き上げた水墨画は<秦野の桜>と命名され、改めて会場から大きな拍手が送られた。つづいて、次にパフォーマンスを行う、太鼓集団 鼓粋と秦野祭囃子社中のメンバーが登場。真矢とこのふたつのグループとは、祭り、和太鼓、秦野を愛する仲間ということでさらに和気あいあいとトークが進む。そんな中、真矢がこの後の演目の見どころをわかり易く解説。とくに、真矢も参加する秦野祭囃子社中の演目は『奏・秦野』ならではのもの。演目の途中で披露される「喧嘩太鼓」は秦野の祭りをステージで再現したものだそうだ。真矢が熱を込めて語る。『秦野の祭りでは太鼓の山車がいくつも出るんです。で、それぞれの山車が競うように太鼓を叩くんです。だからまるで喧嘩をしてるようなので喧嘩太鼓。しかもそれぞれが勝手に叩くので初めて観る人は、何が起きてるかわからないかもしれせんが、秦野の祭りの名物をステージで再現したので、楽しんでください!』。
Photo by 真中 祐弥
太鼓の準備が整い、まずは太鼓集団 鼓粋が演奏をスタート。伝統ある和太鼓の響きを大切にしつつ、創作的な演奏を披露する太鼓集団 鼓粋。例えば、叩いては太鼓を持って自由に移動し、ダンスパフォーマンス的な要素もあり、観客を飽きさせない。日本の伝統文化の深さと、そして進化し続けるその姿に感動した。圧巻の演奏が終わると大きな拍手が沸き起こった。
そして、真矢とともに秦野祭囃子社中の演奏がスタート。最初の2曲が驚きで、真矢は笛で演奏に参加。LUNA SEAのツアー開始まで目前で多忙な真矢がいつ笛もきちんと練習したのか?と思いながら、少し静か目の最初2曲の素晴らしい演奏、深淵な世界に引き込まれる。そして、真矢が解説してくれた「喧嘩太鼓」へ。実は筆者をはじめ、この日初めて秦野に来た方も大勢いらしたようだが、まだ見ぬ秦野祭りの景色が想像できて楽しめた。また、これだけバラバラに大勢の人が太鼓を叩いてもそれぞれの音がわかるのも和太鼓ならではだと思えた。興奮と発見の演奏だった。そして、次の演目「馬鹿っ囃子」には淳士と櫻川めぐがスペシャル参加。「馬鹿っ囃子」は読んで字のごとく、馬鹿みたいなお祭り騒ぎのお囃子で、この日の前半のクライマックス。淳士も秦野の出身でその昔は地元で太鼓を叩いたことはあるものの、和太鼓を叩くのは久しぶりということだったが(正確にはこの日のために2回稽古に参加したとのこと)、師匠である真矢ととても楽しそうに叩きまくっていたのが印象的だった。真矢も前半のクライマックスをその一打一打で牽引し、祭りが頂点を迎えたところで演奏が終了し興奮冷めやらぬ中、イベント前半は終了となった。
20分ほどの休憩をはさみ、秦野出身のシンガーソングライター・立石純子と、秦野の音楽シーンを盛り上げているハダノ・アート・コモン with KAZUKO BANDの演奏がスタート。立石純子はピアノでの弾き語り1曲とハダノ・アート・コモン with KAZUKO BANDをバックに2曲を披露。その透明な歌声で観客を魅了した。ハダノ・アート・コモン with KAZUKO BANDも3曲を演奏し、会場を盛り上げた。
演奏後、壇上に立石純子とハダノ・アート・コモン with KAZUKO BAND呼び込みトーク。『秦野ブランドアンバサダー』を5年務めている立石純子と、地元秦野で演奏を続けるハダノ・アート・コモン with KAZUKO BANDメンバーで秦野の魅力を紹介してくれた。景色、お水、人間味・・・様々な魅力を擁する秦野だが、お水が美味しいのでお蕎麦がとにかく美味しいそうで、是非お蕎麦を食べてみてください!ということで、筆者も次に秦野に行く際はお蕎麦を堪能してみたいと思っている。
Photo by 真中 祐弥
そんなトークの途中、最後の演奏に向けて、4台のドラムセットがステージに出現し、会場が湧く。そして、ドラムのセッティングが完了し、いよいよ最後の演目、真矢、淳士、LEIVIN、櫻川めぐという4人のドラマーによるドラムセッション!
まずは、真矢と淳士が登場しトークセッションからスタート。淳士はかつて真矢のローディーをしていたこともあり、二人は師弟関係で、息のあったトークで観客を笑わせる。そこにLEIVINと櫻川めぐ、そしてMCも加わり、ドラム談議。ちなみに、真矢のドラムの魅力を、淳士は『和のモードをドラムに持ち込んだこと』、LEVINは「まねできない間(ま)」、櫻川は「わたしにとってドラムの神です」と評した。一方の真矢は3人のドラマーの魅力を「淳士は時を切り裂くドラム」「LEVINはへビーなドラムを叩かせたら右に出る者はいない」「めぐさんの素直なビートはとても魅力的です」と語ってくれた。そんなドラム談議の後、いよいよ4人によるドラムセッション。ほぼ何も決めごとをしていないそうで、ドラムで会話しながら、セッションが進む。しかもドラムセットを交代しながらのセッション。ソロパートでは真矢コール、淳士コール、LEVINコール、めぐコールで会場のテンションもマックスへ。演奏の迫力、技術、そしてエンタメ性にどんどん引き込まれてゆく。和太鼓と違う、それぞれのドラマーが刻むビートやグルーヴも気持ちよく、本当に贅沢なイベントだと感心した。
セッションが終了するとこの日一番の拍手が会場に鳴り響く。その大きな拍手の中、すべての出演者がステージに集合し、全員による記念撮影、そして真矢の締めの挨拶。ここでも真矢は出演者、スタッフ、そして会場に来てくれたみなさんに感謝を伝えた。そして、真矢コールをおこない大団円。大きな拍手の中、『奏・秦野』は大成功の幕を閉じた。
文:ジョー横溝
写真:真中 祐弥
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