ベネッセ教育総合研究所は、「経験を通して学ぶことの意味を考えるデータ」をまとめた。今回のデータは、小1~高3まで12学年の約2万組の親子の意識・行動の変化を、2015年から継続して追っている親子調査「子どもの生活と学びに関する親子調査」結果を新たに分析したもの。期間は、各年7〜9月、いずれも郵送で行った。
小4から高3の子どもに1年間に経験したことをたずねたところ、「好奇心・探索の経験」と「果敢な挑戦の経験」は2~3割で横ばい、「将来を考える経験」は4割強で横ばいだったが、「夢中・没頭の経験」は7割から6割に、「達成・自信の経験」は4割から3割に減少していた。
「チャレンジングな経験」をどれくらいしているかによって、2群に分類したところ、「多群」33.6%、「少群」66.5%となった。
非認知能力との関連について、「チャレンジングな経験」が多い子ども(多群)は少ない子ども(少群)に比べて、「一度決めたことを最後までやりとげる」(粘りづよさ)、「難しいことや新しいことにいつも挑戦したい」(挑戦心)を肯定する割合が高いことがわかった。
社会への関心・将来観との関連は、「チャレンジングな経験」が多い子どもは少ない子どもに比べて、「社会の出来事やニュースへの関心が強い」(社会への関心)、「将来の目標がはっきりしている」(将来観)を肯定する割合が高いことがわかった。
自己肯定感・幸せ実感との関連は、「チャレンジングな経験」が多い子どもは少ない子どもに比べて、「自分の良いところが何かを言うことができる」(自己肯定感)、「自分は今、幸せだ」(今の幸せ実感)を肯定する割合が高いことがわかった。
学習に関する意識との関連については、「チャレンジングな経験」が多い子ども(多群)は少ない子ども(少群)に比べて、「授業が楽しい」や「勉強が好き」を肯定する割合が高いことがわかった。
認知能力(得意)との関連については、「チャレンジングな経験」が多い子どもは少ない子どもに比べて、「暗記すること(ものを覚えること)」や「論理的に(筋道を立てて)考えること」に対して「得意」だと回答する割合が高いことがわかった。
学業成績との関連については、「チャレンジングな経験」が多い子どもは少ない子どもに比べて、学業成績が良い傾向がみられることがわかった。多群は少群よりも「上位層」が多く、「下位層」が少ない。
「勉強が好き」への継続的な影響として、「チャレンジングな経験」が多い子ども(多群)は少ない子ども(少群)に比べて「勉強が好き」を肯定する割合が高いが、その傾向は成長しても続くという。
小4時点で「チャレンジングな経験」が多い子どもを9年間追跡したところ、高3時点まで一貫して「勉強が好き」を肯定する傾向がみられた。
さらに、「チャレンジングな経験」の効果として、「チャレンジングな経験」は「勉強が好き」の意識、「自己肯定感」「学業成績」「幸せ実感」などのさまざまな要因に影響することがわかったという。
また、直接的な効果だけでなく、「勉強が好き」を経由して「学業成績」や「幸せ実感」を高めるといった間接的な効果もみられるとのこと。