さすらいのカントリー名手、チャーリー・クロケットが語るアメリカ労働者階級の内なる戦い

テキサス出身のカントリーソングライター、チャーリー・クロケット(Charley Crockett)の最新アルバム『$10 Cowboy』が4月26日にリリースされた。『ジミー・キンメル・ライヴ!』での好演でも話題を集めた彼が、故郷のアメリカを歌う理由とは?

チャーリー・クロケットが前のアルバムをリリースしてから、丸々16カ月が経過した。ほとんどのアーティストにとっては通常のサイクルかもしれない。しかしクロケットにしては長過ぎるブランクだ。テキサス出身のシンガーソングライターは、2018年〜2022年の5年間に9枚ものアルバムを世に出してきた。

長く待たされた分、次回作の『$10 Cowboy』は、39歳になるクロケットのキャリアの中で最も期待できる作品に仕上がっているはずだ。本人曰くニューアルバムは、故郷に対するさすらいのトリビュートだという。

「ドライブインやカジノや、コンサート会場の路地裏で曲を書き溜めた。テキサス州オースティンのサウス・コングレス通りに停めたトラックの中で作ったこともある」とクロケットは証言する。「僕のようなさすらいの渡り鳥こそが、アメリカについて語るのに全くふさわしい立場にいるんだと思う」。

クロケットにとって「アメリカ」は、長い時間をかけて取り組んでいるテーマのひとつだ。例えば彼の楽曲「Music City, U.S.A.」にはアメリカ合衆国という隠れたテーマがあった、とローリングストーン誌のインタビュー(2021年)で彼自身が語っている。

最近のクロケット作品は、労働者階級の肖像画を荒削りに描いたような印象を受ける。ニューアルバム『$10 Cowboy』のタイトル曲(ビリー・ホートンとの共作)は、正にそんなクロケットらしい楽曲に仕上がっている。今年1月22日の夜に放送されたライヴ番組『ジミー・キンメル・ライヴ!』に出演したクロケットは、自らのバンドを従えてこのタイトル曲を披露した。

「アメリカでは、さまざまな境遇の人がそれぞれ大きな困難を乗り越えようとがんばっている。旅に出ると、彼らの生き様を肌で感じることができる」とクロケットは語った。「西テキサスの油田やガス田で汗を流す労働者。一人で子育てをがんばるシングルマザー。自分にはこうするしか生きる道はないと信じ込んで街角に立つ若者。彼ら自身は世間から気にも留められていない存在だと思っているが、僕には人と人とのつながりがよく見える。彼らの内なる戦いには心を打たれる。彼らがアメリカの言いなりになっている様子が、僕には衝撃だ」。

アルバム『$10 Cowboy』は2024年。2月にオーストラリアでの長期ツアーを終えたクロケットは、北米各地でのフェスティバル出演を含むツアーに出る。

From Rolling Stone US.