今年で活動60周年を迎えた鉄道写真家、南正時氏の写真で福井の鉄道史をたどる記念写真集の発刊準備か進められている。有志による「南正時ふくいの鉄道写真集出版実行委員会」が立ち上がり、クラウドファンディング(CF)サービス「ミラカナ」により支援の募集が始まった。募集期間は6月16日まで。募集金額は150万円をめざす。
南正時氏は1946年福井県武生市(現・越前市)生まれ。アニメ業界を経て鉄道写真家となり、蒸気機関車から新幹線まで国内外の鉄道を取材・撮影した。昭和50年代にケイブンシャ「鉄道大百科」シリーズを手がけ、当時の少年たちを魅了したという。現在も雑誌、テレビ、ウェブメディアなどで幅広く活躍し、写真集を含む著作は数十冊に及ぶ。
南正時氏が撮影した写真のほぼすべては鉄道博物館(さいたま市)に収蔵されており、今回の写真集は膨大なアーカイブから福井にまつわる約80点を選りすぐり、南氏のエッセイとともに掲載。旧国鉄時代、豪雪の中、蒸気を上げて走る越美北線の機関車や、「特急街道」と呼ばれた北陸本線を代表する特急「雷鳥」「しらさぎ」、並行する北陸本線に対抗してつくられた福井鉄道200形など、昭和から令和に至る福井を彩った鉄道たちが美しい写真でよみがえるとのこと。
クラウドファンディングのリターンとして、福井鉄道とともに鉄道体験イベント「南さんと行く福井鉄道“激アツ”ツアー」(8月中旬以降)を企画。貸切電車で鉄道ファン目線の見どころを巡るほか、乗車したままで車両工場への車庫入れ、ドア操作、運転士なりきり体験、司令室見学、大正から昭和期の車両撮影会といった鉄道体験を用意する。
南氏と寝食をともにし、旧北陸本線の廃線跡など巡り、福井の鉄道史をさらに深掘る1泊2日の「満喫ツアー」も設定。クラウドファンディング限定で、往年の「鉄道大百科」をオマージュした昭和テイストの特装カバーも制作したとのこと。
写真集はAB判(210×257mm)、ソフトカバーで本文108P。価格は4,000円前後。発売日は8月8日を予定。首都圏の書店、福井県内の主要書店、福井新聞オンラインブックストアで発売される。