ホンダがコンパクトSUV「ヴェゼル」のマイナーチェンジを実施し、4月26日に発売する。ヴェゼルはホンダの売れ筋商品だが、これまでの受注台数や販売の傾向は? マイナーチェンジでは何がどう変わるのか。事前説明会で実車を確認してきた。
受注好調も生産体制に課題
ホンダは「モビリティリゾートもてぎ」でヴェゼル改良モデルの事前説明会を開催。会場には新型ヴェゼルのプロトタイプが並んだ。
現行型(2代目)ヴェゼルは2021年4月にデビュー。日本の道路に適したサイズ感(全長4,330mm、全幅1,790mm、全高1,590mm)、ちょっと角ばったクーペスタイルのエクステリア、センタータンクレイアウトによる広くて使い勝手のいいインテリア、2モーター式ハイブリッドシステム「e:HEV」による気持ちいい走りなどが好評を博し、初年度の受注台数が10万台を超える人気モデルとなった。ホンダの説明によると、購入者の年齢層は30~50代。男女比は7:3で女性からの人気もかなり高い。一番人気のグレードはハイブリッドの「e:HEV Z」だ。
ただ、ホンダとしては思い通りにクルマを生産できず、悔しい思いもしたそうだ。ヴェゼル開発責任者の奥山貴也氏によると、半導体の供給不足問題によりフル生産することができず、最初の年は9.8万台の受注に対して6万台、2年目は7.6万台の受注に対して5万台しかクルマを作れなかったという。特に、最も多く注文があったハイブリッドの「Z」と、トップグレード「PLaY」のパノラマサンルーフの生産にはもろに影響が出てしまい、「お客様にタイムリーにクルマを届けることができなかったことについては、大変申し訳なかった」と奥山氏も残念そうだった。
発売から3年目となる2023年は生産面の課題が解消。5.5万台の受注に対して7万台を生産することができたそうだ。
新型はシンプルな3グレード展開
マイナーチェンジモデルのグランドコンセプトは「EXPAND YOUR LIFE」。ユーザーのさまざまな生活シーンで気軽に一歩を踏み出すきっかけになって欲しいとの思いを込めた。
新型ヴェゼルはガソリンの「G」とハイブリッド「e:HEV」の「X」および「Z」のシンプルな3グレード展開だ。今回の改良により、全グレードで大型リアヘッドレストとストラップ付きリアセンターアームレストが標準装備となる。
ベースグレードのGとXでは、ステアリングがウレタンから本革巻きになり、ドアのソフトパッドにはステッチが入る。上級のZグレードでは「アダプティブドライビングビームヘッドライト」が標準装備となる。
新たなパッケージオプション「HuNT」とは?
現行モデルで好評だった「PLaY」グレードはZグレードのパッケージオプションに。マイナーチェンジ後は4WDが選択可能となる。パノラマルーフをオプション設定とすることで、納期を短縮することができたそうだ。
Xグレードには、ルーフレールが標準装備となる「HuNT」パッケージを新たに追加。価格はZよりも低く設定している。
改良で進化したのは音?
シャシー面では、改良前のモデルで少し気になった“音”の面を改善した。ダッシュボード、ルーフ、フロアの各所で遮音材と防音材の厚み・配置を最適化し、エンジン始動音やロードノイズを低減させて遮音性を高めている。事前取材では少ししか乗れなかったが、改良モデルの静粛性の「片鱗」については確かめることができた。
パワートレインの構成は変更なし。ガソリン車は1.5L DOHC i-VTECエンジン、ハイブリッド車は1.5Lエンジン+2モーターハイブリッドの「e:HEV」を搭載する。
価格はガソリンの「G」が264.88万円。e:HEVの「X」はFFが288.86万円、4WDが310.86万円で、「HuNT」パッケージは各11万円高となる。e:HEVの「Z」はFFが319.88万円、4WDが341.88万円で、「PLaY」パッケージは各35.75万円高。月間販売台数は5,000台を予定している。