昨年創業135周年を迎えた「フォアローゼズ」のパッケーリニューアルに合わせて、本国アメリカよりマスターディスティラーのブレント・エリオット(Brent Elliot)氏が来日。フォアローゼズの歴史や特徴を紹介する「『フォアローゼズ』リニューアル発表会&ブランドセミナー」が開催された。

  • フォアローゼズディスティラリー マスターディスティラーのブレント・エリオット氏(右)とキリンビール マスターブレンダーの田中城太氏(左)

■フォアローゼズの世界観と魅力

ブランドセミナーに登壇した、フォアローゼズディスティラリー マスターディスティラーのブレント・エリオット氏は、ラベル、ロゴ、パッケージのリニューアルにあたり、「今年は特別な年」と笑顔見せつつ、まずは「フォアローゼズ」ブランドの成り立ちについて紹介した。

  • フォアローゼズディスティラリー マスターディスティラーのブレント・エリオット氏

フォアローゼズの生みの親であるポール・ジョーンズJr.が舞踏会で絶世の美女と出会い、迷わずプロポーズ。プロポーズを受ける場合は、次の舞踏会で薔薇のコサージュをつけてくると答えた彼女は、約束の舞踏会の夜、4輪の真紅の薔薇を胸につけて彼の前に現れた。このエピソードから、彼の作ったバーボンは「フォアローゼズ」と名付けられ、ラベルには真紅の薔薇のコサージュが描かれるようになったという。

そして、そんなフォアローゼズの鍵を握る10種類のレシピについて解説。バーボンが人気の理由について、そのクオリティを挙げるエリオット氏だが、着色料などの使用が禁じられているバーボンの場合、一貫したフレーバーやクオリティを維持するのは非常に難しいという。そこでフォアローゼズは、10種類のレシピを使い分けることで、最終製品のフレーバーを一貫したものにしており、さらには、その使い分けによって多彩なラインナップが生み出されている。

マッシュビル(もろみ)は2種類。コーン、ライ麦、大麦麦芽がブレンドされているが、コーン60%、ライ麦35%、大麦麦芽5%の「B」とコーン75%、ライ麦20%、大麦麦芽5%の「E」が使い分けられている。特に「B」は、一般的なバーボンよりもライ麦の比率が高く、スパイシーでユニークなフレーバに。それに対して、酵母も香りの個性が異なる、「V(デリケート&フルーティ)」「K(スパイシー)」「O(リッチ&フルーティ)」「Q(フローラル)」「F(ハーブ)」といった5種類が使い分けられており、その組み合わせによって10種類の原酒が生み出される。

そして、一貫性を確保するために、配合比率を変化させることで最終的なバーボンが生産されるが、スタンダードな「フォアローゼズ バーボン」では10種類の原酒すべてを使用。一方、「フォアローゼズ ブラック」のような個性的なバーボンでは、2種類のレシピしか使われていない。このように、レシピを使い分けけることによって、「フレーバーが根本的に変わってくる」というエリオット氏だが、「10種類もの個性あふれる原酒を使い分けているのはフォアローゼズだけ」と自信を覗かせる。

  • パッケージリニューアルされたフォアローゼズ

フォアローゼズの個性、ブランド・アイデンティティを体現するブランドパーパスである「Mellow moment」については、ストレート、オンザロックなど、さまざまな飲み方において、バーボンの持つすべてのフレーバーを楽しむための方法を紹介する。まず最初が「ストレート」。これはもっとも率直にバーボンを味わう方法で、花のような、果実のような、ほのかな香りを楽しむことができる。しかし、ストレートだけでは、バーボンの複雑な味をすべて味わうのは困難であり、次のステップとして水(常温)を少しずつ加えることを推奨している。

フォアローゼズは、2000年代初頭までは、日本とヨーロッパが二大市場で、アメリカではあまりマーケティングされていなかった。しかし今では、アメリカでも販売されており、日欧米が三大市場となっているが、この三大市場では、それぞれ商品ラインナップが異なっており、「フォアローゼズ ブラック」と「フォアローゼズ プラチナ」の2つは、日本市場限定での販売となっている。

「フォアローゼズ ブラック」は、酵母は同じだが、マッシュビルの違うレシピで作られた2種類の原酒を使用。さらに、6年以上熟成した原酒のみを使用することで、非常にバランスの取れたスパイシーさと甘さを実現。一方、高みを目指して開発され、“SUPER PREMIERE”と銘打たれた「フォアローゼズ プラチナ」は、4種のレシピを使い、最低でも8年、20%以上は10年以上熟成した原酒を使用。アルコール度数は43度だが、非常にエレガントでバランスの取れた、オーケストラのような複雑な味わいが特長となっている。

■キリンビール マスターブレンダーの田中城太氏と特別対談

エリオット氏によるフォアローゼズのブランドセミナーに続いては、キリンビールのマスターブレンダーである田中城太氏も参加しての特別対談。

  • キリンビール マスターブレンダーの田中城太氏

「一般的なバーボンはガツンと来るものを良さとしているが、その意味では、フォアローゼズはバーボンを知っている人からすると、バーボンらしくない」とし、それを「棘のない薔薇」と表現する田中氏。「フォアローゼズはすごくスムーズでメロウ」であり、だからこそ「そんじょそこらのバーボンじゃない」と話す。

エリオット氏も力強く同意し、熟成年数やアルコール度数を使い分けるだけでは味は変わらず、10個のレシピを組みわせることで、多彩な味わいを作り出していることを再度アピール。フォアローゼズのレシピはアルファベット4文字で表現されており、「OBSV」というレシピの場合は、最初の「O」がフォアローゼズ蒸溜所での生産を表し、2文字目の「B」はマッシュビルの種類を意味している。そして3文字目はストレートバーボンウイスキーの蒸留、4文字目は酵母の種類を表している。

日本限定の「ブラック」と「プラチナ」についてのトークでは、田中氏が、「日本で80年代に起こったバーボンブームがアメリカのバーボン業界を救った」というエピソードを披露。そして、バーボン好きが多く、舌も肥えている日本の消費者を楽しませるために開発されたのが「プラチナ」であり、それだけ日本市場の重要性を示しているという。 「厳しく、灼けるようなフレーバーやスモーキーなウイスキーが好きな方もいるが、フォアローゼズのプロフィールは違う。ソフトな飲みやすさ、ラブストーリーを取り込んだブランド名などを含めたブランドアイデンティティを考えると、ブランドの個性が見えてくる」と、フォアローゼズの特別感を表現。楽しみ方は人それぞれとしつつ、「特別な機会、リラックスしたときに、友達や家族とのやり取りの中で楽しんでほしい」と続ける。

そして最後に、スムーズでメロウで、クリーミーなフレーバーは、フォアローゼズのクオリティを体現するものであると総括。穀物のフレーバーが強くなると、酵母の個性的なフレーバーが潰されてしまうため、そこに細心の注意を払っているというエリット氏は、穀物の味を前面に出しすぎないことが、粒立ちの良い、クリーンでデリケードでコンプレックスなバーボンのポイントであることを明かした。

■東京・渋谷の「NEW LIGHT」とタイアップ

バルニバービが運営する東京・渋谷の薪火料理とワインを楽しむカジュアルアッパーレストラン「NEW LIGHT」では、フォアローゼズのパッケージリニューアルにあわせ、4月19日より期間限定でオリジナルデザートとカクテルを提供する。

■4U -for you-
フォアローゼズの創始者であるポール・ホーンズJr.が一目惚れでプロポーズしたことから名付けられたフォアローゼズウイスキー。その甘い愛の物語を、デザートのような甘さが特徴のカクテル。

■コーンジュレップ
自家製コーン茶シロップを使用した、ミントジュレップスタイルのカクテル。ミントの爽やかな風味とコーン茶の香ばしい甘さとフォアローゼズのまろやかな口当たりが楽しめる。

  • 「4U -for you-」(右)とコーンジュレップ(左)

■フォアローゼズ 愛の薔薇のティラミス
華やかな愛の薔薇をイメージした特別なデザート。抹茶のクランブルとカカオクランブルが、繊細なティラミスのべースを豊かに彩る。ピスタチオクリームの葉の部分は優雅な香りと繊細な味わいを加え、エディブルフラワーが華やかなアクセントを添える。さらに液体窒素で凍らせたチョコレートパウダーアイスが、口の中で溶けるような贅沢な味わいを演出する。

  • フォアローゼズ 愛の薔薇のティラミス

■ショコラテリーヌ
フォアローゼズのまろやかな味わいと華やかさが香る。

  • ショコラテリーヌ