『地球の歩き方』と『ムー』のスペシャルコラボが再び実現した。2022年に発売されて話題となった『地球の歩き方 ムー 異世界(パラレルワールド)の歩き方』の第2弾、『地球の歩き方 ムーJAPAN ~神秘の国の歩き方~』が先月、発売されたのである。
これを記念して4月18日、新宿ロフトワンプラスで発売記者会見が行われた。会見には『地球の歩き方』の新井邦弘代表取締役社長、月刊『ムー』の三上丈晴編集長らが登壇し、新刊の魅力や一般的なガイドブックとの違いについて語った。
▼キッカケは「じゃあ、次は日本版を作ればいいじゃん」
『地球の歩き方 ムー 異世界(パラレルワールド)の歩き方』は、『地球の歩き方』と『ムー』のタッグが生んだ異色のコラボ作品。超古代文明やオーパーツ、そしてUFOやUMA(未確認動物)などの目撃情報があった場所などを『地球の歩き方』と『ムー』の双方の視点から紹介しており、発売直後から大きな話題となった。
『地球の歩き方』の新井氏は会見冒頭、「2年前、『地球の歩き方 ムー』という突飛な本を出し、想定以上の支持をいただきました。おかげさまで現時点で14万部くらい売れています」と挨拶し、今回の第2弾発売の背景についてこう明かした。
「第1弾では世界の不思議を集めましたが、その際に日本も含めるかどうか議論になったんです。結局、日本のスポットも多少は入れたのですが、たくさんありすぎて全部は入りきらなかった。そこで、『じゃあ、次は日本版を作ればいいじゃん』という話になったんです。実際に発売するまで2年もかかってしまいました」(新井さん)
2年間を費やしただけあって、その内容はボリューム満載。読み切るのが大変な分量だが、読者からは「毎晩寝る前に少しずつ読んでいる」「夜のひとときの楽しみにしている」といった喜びの声も上がっているようだ。
▼オススメは「日本のピラミッド」「吉見百穴」
月刊『ムー』の三上氏は、「アンケートを見ても、旅行を趣味にしている女性は多いのですが、厳密には旅行というより、パワースポット巡りだったりするんです。この第2弾はぜひ、そういうときに持っていってほしい」と思いを明かす。
三上氏は特におすすめのスポットについて「ピラミッド」と回答。そもそもピラミッドには「三角形」という意味があり、日本ではそれが“山”にあたると力説する。
「山には壮大な古代史と歴史、ロマンや神秘がある。今回掲載している黒又山や皆神山は、ただの山じゃありません。日本のピラミッドの場合、基本的には御神体や霊山など、それぞれに伝説があるし、ある意味では山自体が御神体だったりもします。学術的にも『山岳祭祀遺跡』と定義されていて、実際の学術調査では土器なども見つかっているんです。ほら、ピラミッドだべ?」(三上さん)
一方の新井氏は、おすすめスポットとして埼玉県の「吉見百穴」を挙げた。
「私は埼玉出身なので、地元のスポットを選びました。吉見百穴は、丘陵の岩肌に穴が100個くらい空いているんですよ。これはぜひ一度見てほしい。人が入れる大穴もあるのですが、奥に進んでいくと、内部は太平洋戦争中に零戦のエンジンの部品を作っていた地下軍需工場に繋がっているんです。さらに奥に行くと『この先は崩れているので進まないでください』と書かれているのですが、子供ながらに『別の理由があるんじゃないか』と楽しんでいました」(新井さん)
吉見百穴の付近には、「武蔵松山城」も位置していると話し、「戦国ファンも、ミリタリーファンも、古代ファンも、みんなが楽しめるエリアとなっています」とアピールした。
▼「潜在的な観光地」に当てたフォーカス
新井氏によると、『地球の歩き方 ムーJAPAN ~神秘の国の歩き方~』に掲載されているのは、「純粋な観光地じゃない場所が多い」という。
「行きにくかったり、周りに何もなかったり、そもそも観光の文脈にない場所だったり。でも、ここにあるネタがなにかのキッカケになって観光地化するかもしれない。そういう意味では潜在的な観光地だと言えます」(新井氏)
三上氏も、この本には地域興し、町興しの側面があると指摘し、「城がある場所なら、そこに歴史的なストーリーもドラマもあるので、ストレートに城を使って盛り上げていけばいいでしょう。でも、この本は歴史があるかどうかではなく、『伝説』がある場所に焦点を当てています。そういう不確かなものにこそ魅力があるんです」と主張。
最後に新井氏は、「世界編はテーマ別でいろんなものを紹介していましたが、日本編は北から南にかけて都道府県別で紹介しています。実用性を意識した作りになっているので、使いやすく便利になったと思います」と新刊へのこだわりを語った。