今年も4月6日から15日まで10日間にわたって「春の交通安全運動」が実施され、最終日の4月15日、八王子中央自動車学校では警視庁南大沢警察署のイベント「高齢者交通安全教室」が開かれた。夕暮れ時に自分の着用している服がドライバーからどのように見えているのかを確認する「見えチェック」や、ハンドル形電動車いす「セニアカー」の試乗体験などが行われた。
「見えチェック」で自分の服装が薄暮・夜間の時間帯にドライバーからどう見えているかを確認!
冒頭、参加者に向けてあいさつをした南大沢交通安全協会会長の田中氏によると、昨年警視庁管内で亡くなった136人の方のうち40%強となる55名が歩行中の事故によるものだという。特に高齢者の交通事故は年々増えており、「ぜひ皆さんも今日の交通安全教室を通してぜひ事故に合わないようにしていただければ」と話した。
最初に参加者が体験したのはJA共済のコンテンツ「見えチェック」。
自身の服装をカメラで撮影しパソコン上で特殊な加工を行うと、薄暮・夜間の時間帯にドライバーからどのように見えているのかがわかるというもの。白いシャツを着ていた男性だが、意外にも薄暗くなるとドライバーからは見えづらいという結果に。
参加者には昼間・薄暮・夜間でそれぞれどのように見えているのかと、反射材を身に着けた場合にどのように見えているのかを再現したシートが渡された。
死亡事故は一日の中で薄暮時間帯(17~19時台)に最も多く発生しており、思っている以上に自分の服装はドライバーからは見えづらいことがある。時速50kmで走行していれば歩行者を発見してから止まれるまでには約32mが必要。できるだけドライバーが遠くからでも歩行者を認識していることが重要だ。明るい色の服を着用することに加え、光の反射率が高いほどドライバーからも見えやすいため、「反射材」を身に付けることを推奨している。
こちらの80代の女性は鮮やかな色の服を着ていたものの、「見えやすさレベル」は上半身・下半身ともにA・B・Cの3段階でCという結果に。これは「ドライバーからはほとんど見えず、気づかれない可能性が高い服装」。
この女性は「普段は基本的に車移動ばかり」と言うものの、意外と見えづらいということに驚いた様子。「これからもし夜に外を歩く機会があったら反射材などを身に付けるようにしたい」と話していた。
免許を返納したら便利な移動手段に……「セニアカー」の試乗体験
続いて行われたのはスズキ「セニアカー」の試乗体験。「セニアカー」は運転免許不要のハンドル形電動車いすで、買い物や散歩など日常の移動手段として利用することができる。最高時速は6キロと若者の早歩きくらいで障害物があれば反応するなど高齢者でも安心して利用することができる。
操作は簡単で、どの参加者もすぐに乗りこなすことができた。
バックや曲がるなども可能、歩行者と同じ扱いになるため基本的には歩道を走行するものだが、道幅が狭い場合などは端であれば道路を走行しても良い。近年では病院やスーパーの中をこのセニアカーで移動してもOKとしているところもあるという。
充電を満タンにした状態で31キロも走ることができるということで、参加者からは「価格はどのくらいなのか」「荷物はどのくらい積めるのか」など興味津々の質問が飛び交っていた。
最後に、「高速道路における「逆走」の危険性」「アクセルとブレーキの「踏み間違い」の危険性」「安全運転のために知っておきたい「サポカー」のこと」のDVDを視聴。
参加者は現在でも日常的に車の運転を行っている方が多いことから交通安全への意識が高く、歩行者としての「見え方」、ドライバーとしての「安全運転」、そして将来的な「セニアカーの検討」など、どれも真剣に取り組んでいた。「春の交通安全運動」期間は終了したが、今後も1年を通して交通安全への意識は忘れずにいたい。