米AMDは4月16日、同社のビジネス向けプロセッサであるRyzen Proシリーズに新しく、Hawk PointベースとなるRyzen Pro 8040シリーズのMobile Processor及びRyzen 8000シリーズのDesktop Processorを追加した。事前説明会の内容を元に、この詳細をご説明する。

今回発表されたのはタイトルの通り、Hawk PointベースのMobileとDesktop向けの製品であり、Threadripperに関しては既存のままである(Photo01)。Mobile版のHawk Pointは昨年12月7日に発表されたから4か月少々、Desktop版は今年1月9日に発表されたので、3か月強といったところ。概ねRyzen ProはConsumer向けRyzenから1四半期遅れ程度で投入される事になっていたから、おおむねオンスケジュールでの投入といったところだ。

  • Photo01: Threadripper ProのUpdateは? と確認したところ、Planはあるが現時点で公表できるものは無いという説明だった。まぁそりゃそうだろう。

    Photo01: Threadripper ProのUpdateは? と確認したところ、Planはあるが現時点で公表できるものは無いという説明だった。まぁそりゃそうだろう。

まずMobile版のSKUがこちら(Photo02)。コア数やキャッシュ容量、動作周波数、TDPなどはConsumer版のRyzen 8040シリーズと完全に同一であり、なので違いはAMD Proが有効化されているか否かということになる。一応AMDからは、Meteor LakeことCore Ultraとの比較(Photo03~09)も示されているが、当然ながらAMDのスコアが高くなるようなテストを選んでいる節もあるし、これをそのまま鵜呑みにする訳でも行かない。まぁ既存のHawk PointベースのRyzen 8040シリーズと基本的に性能差は無いので、そこから実際の性能を推察してもらうのが無難であろう。

  • Photo02: Ryzen Pro 5840UのみPhoenixのRebrand品であり、なのでRyzen AIは未搭載である。その他の製品は全てRyzen AIが利用できる。

  • Photo03: いや流石にこれは無理が有りすぎではなかろうか?

  • Photo04: CPU PerformanceがGeekBenchというのはちょっと。あとGraphicsがNight RaidというのもBusiness向け? と言われると疑問だし、Contents CreationがProcyonのVideo Editiongなのは非現実的だと思う。ちゃんと内蔵エンコーダの比較をして欲しかった。

  • Photo05: SPECViewperfだけではない辺りは好感が持てるのだが、Ryzen 9 Pro 68945HSはRTX 3000 Ada、Core Ultra 9 185HはRTX 2000 Adaというのは比較するのが間違っている気がする。

  • Photo06: AMDが割とよく使うシナリオであるのだが、外付けディスプレイを使っている(or2画面表示ノート)ならともかく、画面一つでOfficeを使いながら更にTeamsで電話会議は正直厳しくないだろうか? 筆者はマシンを分けている。

  • Photo07: 一応脚注で条件を比較する限りは公平に見えるのだが、Core Ultra 7-165Hと7-165Uがたったの6分しか違わない、というあたりでなんか落とし穴がありそうな気もしなくもない(具体的にどこ? とは指摘できないのだが)。

  • Photo08: AI性能比較。Meteor Lakeが10TOPS、Hawk Pointが16TOPSだから、まぁほぼカタログスペックに比較した感じではある。

  • Photo09: 同じくAI性能だが、こちらはGPUを利用しての比較の様で、だとすれば理解できる結果である。

同様にDesktop版のSKUがこちら(Photo10)。Consumer版との違いとして

  • 35W版のGE SKUが追加されている
  • Consumer向けにはGPUが無効化されたRyzen 7 8700F及びRyzen 5 8400Fがあるが、これはRyzen Proではラインナップされていない

が挙げられる。G SKUに関してはConsumer版と「概ね」同じである。厳密に言えばBase Clockが

Ryzen 5 8600G : 4.3GHz Ryzen 5 Pro 8600G : 4.35GHz
Ryzen 5 8500G : 3.5GHz Ryzen 5 Pro 8500G : 3.55GHz
Ryzen 3 8300G : 3.4GHz Ryzen 3 Pro 8300G : 3.45GHz

と50MHz引き上げられているあたりがちょっとだけ異なるが、まぁ概ね同等といったところか。GE SKUはBoost ClockはG SKUと同じで、Base Clockを若干引き下げて(Ryzen 3 Pro 8300GEのみむしろ上がっているのは何故?)、35W TDPに対応している格好だ。最近はBusiness Desktopに省スペースの、NUCよりもう一回り大きい程度のシャーシを利用するものが増えてきているので、これへの対応と言う事と思われる。一応こちらも性能比較(Photo11,12)が出ているが、先と同じ理由であまり当てにはならない気がする。

  • Photo10: 流石にBusiness Desktop向けにGPU無しは難しいだろうから、省いたのは正解かと思う。

  • Photo11: Raptor Lake RefreshとGPU性能比較は正直酷だと思う。

  • Photo12: こちらはPhoto06と同じ感想ではあるのだが、Business Desktopだと複数画面は割と容易なので、こちらならまだ意味がある比較かなとは思う。

ちなみにRyzen ProをProたらしめているAMD Proであるが、Desktop向けに関しては新たにCloudベースの管理機能が追加されることになった(Photo13)。このRyzen Proを搭載した製品は、少なくともHPとLenovoから供給されることは既に明らかになっている(Photo14)。

  • Photo13: なぜこれがDesktopのみなのかは不明。

  • Photo14: 別にこれだけという訳ではないと思うが。