第50期棋王戦コナミグループ杯(共同通信社と観戦記掲載の21新聞社、日本将棋連盟主催)は予選が進行中。4月15日(月)には第2ブロックの田村康介七段―杉本和陽五段の一戦が東京・将棋会館で行われました。対局の結果、得意の三間飛車を駆使して 107手で勝利した杉本五段が予選突破まであと2勝としました。

三間飛車ミレニアム

本予選は18名程度からなるトーナメントを勝ち抜いた8名が本戦に進出するもの。田村七段は阿部健治郎七段に、杉本五段は丸山忠久九段に勝っての登場です。振り駒で先手番を得た杉本五段は三間飛車+ミレニアム囲いという現代的な構えを採用しました。

居飛車側が穴熊に組み、堅さで対抗したところで杉本五段が動きます。中央に合わせの歩を放ったのは、棒銀の要領で6筋からの突破を含みにした打開策で、ここから盤上は左辺での双方の大駒のポジションをめぐる小競り合いに突入。杉本五段は数手後に好手を用意していました。

振り飛車理想の指し回し

銀取りの歩で態度を打診された局面で、これを手抜いて角取りに桂を跳ね出したのがさばきの好手順。飛車角交換は許すものの盤上と持ち駒2枚の角を使えば十分に攻めがつながるというのが、振り飛車らしい大局観でした。後手は盤上の飛車が遊んでいるのが響きます。

手番を握る杉本五段は爽快な手順でリードを広げます。角を銀と刺し違えてから筋悪の金打ちで穴熊に食いついたのが、「寄せは俗手で」の格言通りの決め手。金銀をはがす筋悪の寄せがわかっていても防げません。終局時刻は15時2分、形勢の開きを認めた田村七段が投了。

勝った杉本五段は次戦で森内俊之九段―村中秀史七段戦の勝者と対戦します。

水留啓(将棋情報局)

  • 今年度初勝利で勝率を五分に戻した杉本五段

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