テレビ東京系の新木ドラ24枠『25時、赤坂で』(4月18日スタート 毎週木曜24:30~)のテレ東×GagaOOLala(ガガウララ)共同記者会見が15日に同局で行われ、テレビ東京 海外事業担当 斉木裕明氏、GagaOOLala CEO Jay Lin氏が登場した。

  • 左から斉木裕明氏、Jay Lin氏

同作は夏野寛子氏による同名コミックの実写化作。新人俳優の白崎由岐(新原泰佑)はオーディションでチャンスを掴み、大学の先輩で人気俳優・羽山麻水(駒木根葵汰)が主演するBLドラマの相手役として共演することに。初めての大役を前に焦燥感に駆られ思い悩む白崎だったが、羽山の提案で3人は撮影が終わるまでの間、“役作りのための恋人関係”を結ぶことになる。

■ドラマ『25時、赤坂で』に台湾発動画配信サービスが特別協力

台湾発のLGBTQコンテンツに特化した動画配信サービス「GagaOOLala」の特別協力も決定し、国内放送と同時に世界配信も予定されている同作。テレビ東京 斉木氏は「インターネットのストリーミングが普及することで、番組を世界中の視聴者に非常に最速に届けるということは簡単になってきました。非常に大きなチャンスだと思うんですけれど、その一方で文化的な平準化、大手メディア企業による寡占という弊害もとても心配なことなんじゃないかと思っています」と状況を説明。

さらに「そうなってくると、世界中がハリウッドとNetflixだけになってしまう。本当につまらない世界になってしまうと思います。日本の外に出ていくためには、自分たちが勝手に『世界はこうなんじゃないか』と思ってやるのではなくて、いかに最終需要者に近づいたところで表現をするかということが大事になってくると思うんです。なので今回のように、作品選定の段階から時間をかけて練り上げていく過程は必須だと思っています。その最初の1つとして、今回の機会があったというのはとても感謝しています」と、作品成立の段階から共同作業を行なっていることを明かした。

Lin氏は日本のBLドラマについて「GagaOOLalaのランキングや世界各国からの好意的なレビュー、SNSのフィードバックを見ても日本のBLドラマはたしかに人気が高いです。GagaOOLalaの総視聴時間ランキングでは、アメリカ、タイ、台湾、イギリス、ドイツ、オーストラリアが上位6位を占めています。日本のBLシリーズは2021年から22年の間に66%増、22年から23年には43%増となり、2024年も増え続けることが予想されます。タイや香港などBLドラマ制作が盛んな国でも、日本と世界で大ヒットした日本BLドラマを自国でリメイクする動きも見られます」と、直近の動きを説明している。

Lin氏はさらに「日本のBLの強みのポイントは3つあると考えています。第1のは年間17億ドルを生み出す日本の巨大なBL経済です。祥伝社様などのBL漫画出版社、U-NEXT様などの配信事業者、テレビ東京様などのテレビ局が一体となって何百何千という人気BLコミックの中から企画を選び、連続ドラマ化しています。このようなドラマは立ち上げの時点ですでにシリーズに熱心なファンによる支持基盤が構築されているため、ネット上で宣伝効果を生み出すことができます」と挙げる。

続けて「2つ目はクオリティです。先ほど申し上げたシステムにより、日本のBLは確立されたメディアパートナーの後ろ盾を持つ傾向があるため、制作やキャストの質も保証されています。世界の視聴者は日本のBLに一定のメイドバイジャパンの品質基準を連想するようになっています」と世界からの視線を語る。

最後に「3つ目は多様なキャラクター設定です。タイのBLは医療、ホラー、サスペンスなどをテーマが多様です。台湾のBLはLGBTQのコミュニティが結婚や出産など、よりオープンに生きているため、現実のシナリオを統合しています。日本ではファンタジーとリアリズムの間の幅広い設定を探求することで、多様性が生まれているように感じます。例えば、ドラマ『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』のような魔法をテーマにしたものから、中年男性の日常に焦点を当てた『きのう何食べた?』などのBLドラマは、BLファン以外の視聴者からも支持を集めています」と世界と日本のBLドラマ市場の違いを分析した。