きょう14日にスタートするTBS系日曜劇場『アンチヒーロー』(毎週日曜21:00~)で主演を務める俳優の長谷川博己にインタビュー。7年ぶりに日曜劇場で主演を務める心境や、アンチな弁護士の役作りなどについて話を聞いた。

  • 『アンチヒーロー』で主演を務める長谷川博己

本作は、視聴者に“正義とは果たして何なのか?” “世の中の悪とされていることは、本当に悪いことなのか?”を問いかける物語。犯罪者である証拠が100%そろっていても無罪を勝ち取る、殺人犯をも無罪にしてしまうアンチな弁護士を長谷川が演じる。

長谷川が日曜劇場の主演を務めるのは、2017年放送の『小さな巨人』以来、7年ぶり。オファーを受けた時は喜びを感じたという。

「日曜劇場はすごく上質なドラマが作られている枠ですので、お話をいただいたことが素直にうれしくて。また、いわゆる法廷というか、何が正義で何が悪かを題材とした、重厚感のある作品に出られるというのはすごくうれしいなと思いました」

台本を読み、より期待感が高まったという。

「単純にエンターテインメントとしてどうなっていくんだろうというのがすごく気になったというか、放送されたら次どうなるんだろうと期待させてくれる作品になるのではないかなという気がしました」

正義の価値観をテーマにした作品ということで難しい印象があるが、わかりやすさを意識して演じているという。

「法廷の言葉など、堅い言葉が多いですが、役者としてはできるだけそういった言葉をわかりやすく、無機質な言葉にどれだけ感情を乗せられるかを考えながら、そして、どういう風にしたら見ている人たちがわかりやすくなるか考えながら作っていかないといけないなというのはずっと考えています」

法律用語を含む長セリフも多い。「僕はなぜか長セリフが多い役を演じることが多いんですけど、それは大変名誉なことでうれしいです」とやりがいを感じているようだ。

「何時何分にどうだったとか、何条何項のなになにとか、ちょっとした数字でも間違えたらいけないという緊張感もありますが、そういうのも含めて、できるだけわかりやすく。法廷で何度か傍聴させてもらった時に、傍聴席も巻き込もうとする弁護士もいるというのが印象的でしたが、そういう意味では、視聴者に対しても優しく、わかりやすく、言っている言葉が難しくても、その人の感情や流れを見れば、なんとなくこういうこと言っているのかなというのがわかるような感じで作れたら一番理想だなと思っています」

裁判を傍聴して“ドラマのヒントになる”と感じた点とは?

裁判を傍聴したことで、法廷の雰囲気を感じることもできたと振り返る。

「法廷の中は独特の雰囲気というか、ここで法律によって、人が人を裁くという、これは本当に難しいことなのではないのかなと思ったりもして、複雑な気持ちになりました」

また、「見た時の雰囲気も大事だな」と感じたという。

「裁判員の人たちにとって、被告人がどういう容姿で、どういうしゃべり方をしているのかとか、見た目や身振り素振りなども影響することを思うと、法律だけで決めてよいものかと思ったし、かといって感覚だけに頼ってもいけないのではないかとも感じました。そこがこのドラマのヒントにもなるのかなと思いました」

そして、「いろいろなタイプの弁護士がいることもわかり、そういう意味では自由にできるなというのはあります」と役作りの参考に。その上で、自身が演じるアンチな弁護士について、「よくわからない人間なんです」と語る。

「何かがあって、そういう行動をしているのかという風にも見えるし、本当難しいところで、演じる僕も混乱しますが、それが面白い。見る人も始めは『この人は何者なんだろう』という風に思うのかなと。それが結局、法が人を裁くということの不条理な側面にも通じればいいかと思って、そういったことも少し意識して演じています」

こういう人間だと言い切れない、真意がつかめない主人公。自身にとって挑戦だと感じる部分もあるという。

「見る方々をミスリードさせたり、後で伏線に繋がるような感じになったりもするので、そこはちゃんと考えないといけませんが、キャラクターはそれに振り回されずワンシーンごとを演じていくというか、人格がはっきりとは言えない感じです。多重人格ではないと思いますが、いろんなことをやってみようと思っていて、挑戦的なところがあります」