アサヒグループは、3月28日に社員を対象とした「生理痛疑似体験会」を実施しました。本イベントは、生理痛に近い痛みを体験できる装置を用いることで、男性はもちろん、女性でも個人差がある生理痛をお互いに知る一歩を踏み出すことを目的として開催に至ったそう。体験会に潜入したレポートをお届けします。
所要時間はわずか5〜10分 体験から互いを理解し合える一助に
今回開催された「生理痛疑似体験会」は、同社が性差別撤廃や女性の地位向上などに向け策定した“ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DE&I) ステートメント”に基づいた取り組みのひとつ。このイベントを通じ、聞きにくく分かりにくい女性の生理に関する基礎知識を学び、男性、女性に限らずまずはお互いを知る一歩を踏み出すことを目的として実施されたのだそうです。
発案者のアサヒグループ食品・人事総務部の窪田百恵氏は、「大きなテーマである“DE&I”を形にするには何をしたらいいのか考える中、まずは性別特有の健康課題を知る機会を作ろうと思いました。”生理”はパッと分かりやすいけれどなんとなく触れられず、女性同士でも話しにくいテーマ。実際に体験しつつながらお互いを理解し合う一助にしてほしいですね」と体験会実施へと至った思いを語りました。
本体験会で使用されたのは、甲南大学と奈良女子大学が開発した生理痛VR体験デバイス「ピリオノイド」。下腹部に貼付した電極パッドを通じて“弱・中・強”の3段階に設定された筋電気刺激(EMS)を与えることで、生理時に生じる腹部の痛みを擬似再現する装置です。
体験スペースのほか、会場内には同グループより販売されるフェムケア商品も展示され、今年発売されたばかりの独自の乳酸菌“CP2305ガセリ菌”を配合した機能性表示食品「わたしプロローグ」や、40~50代のゆらぎ世代の女性に向けた「ララフェム シトラスミックスの香り」「ララフェム ゼリー ピーチティー風味」なども並んでいました。
お昼休みに合わせて開催された「生理痛疑似体験会」には、開始早々から男女問わず続々と社員が参加。電極パッドの装着を済ませ、デバイスから“弱”の筋電気刺激を与えていくと、ほとんどの男性社員が初めて体験する痛み対して顔を歪めたり、時には前屈みになる姿が見受けられました。
実際に筆者も体験してみたところ、ギューっと下腹部を締め付けられる感覚や、定期的にくる波打つ鈍痛が再現されていると感じました。正直、自分の生理痛と比較すると“強”よりも強い痛みに吐き気と頭痛、倦怠感が加わるので辛さの具合は異なりますが、生活する上でのあの不快な痛みを実体験できます。
体験した男性に感想を聞いてみると「この状態で仕事はできない」「毎月こんな思いをしているのか」「立っていられない痛みだった」と想像以上の痛みだったよう。一方女性は自身の生理痛の痛みと比較し「生理痛時よりも痛かった」「生理痛の時の方が痛い」と話す人もいて、人それぞれ痛みが違うと気付きがあった様子でした。
体験会にはアサヒグループ食品・代表取締役社長の川原浩氏も参加。「擬似的にでも体験できる機会はとても興味があった。」と話す川原氏が早速“弱”モードから体験していくと、「これで弱?嘘でしょ?」と信じられない様子。
“中”に切り替わると「感想を喋れない。(立った状態と比較してみても) どちらもきついです。」と語り、“強”では「嫌な汗かきますね。これは辛い…。こんなことを日々抱えながら生きてらっしゃる皆さんに頭が上がらないです。」と汗を拭う場面も。
体験を終えた川原社長は「フェムケア商品を販売している上で、さまざまな知見を集めて理解したつもりだったがはるかに辛い。体験したことで、消費者へのリスペクトを持って、より商品開発に取り組めると思います。」と体験前後の生理痛に対するイメージのギャップを述べました。
また体験会の実施を聞いて、「男女問わず相手のことを理解したいという気持ちはあるものの、体験できないことは理解に繋がりづらい。擬似的にでも体験できることは良い機会ですね」とすぐに参加することを決めたのだそう。
最後に「今は女性の生理など、これまでタブーとされていたことが普通に会話として成り立っている時代だからこそ、この痛みや辛さは当たり前に解消されなければなりません」と今後の課題とともに、課題に向けて活動していく意気込みを語りました。