The BONEZが結成10周年を記念して、4月6日、幕張メッセイベントホールにて、バンド史上最大規模となる単独アリーナ公演を開催した。
昨年は4月19日にアルバム『Yours』をリリースし、5月12日の東京から今年の1月27日の沖縄まで、47都道府県50箇所に及ぶ結成10周年ツアーを敢行したThe BONEZ。この10周年ツアーのグランド・フィナーレとして、4月6日、幕張メッセイベントホールにて、バンド史上最大規模となる単独アリーナ公演が開催された。公演のタイトルとなったのはバンドの代表曲で、3rdアルバム『WOKE』(2018年)収録の「SUNTOWN」。先行販売したSブロックには、前代未聞のTシャツチケットをゲットした数千のファンがみな同じTシャツを着用するという圧巻の光景が広がり、会場の内外にはクロスカルチャーのアパレルやギアなどの出店ブースや骨髄バンクの献血車までもが並ぶという、会場がそのままSUNTOWNという街になったかのような、音楽の素晴らしさ、人のつながり、様々な思い、温かいメッセージが溢れる特別な空間となった。
この日のThe BONEZは2時間を余裕で超える20曲とアンコール3曲を披露。ライブの上手さに加えて、絶妙な選曲、照明や映像を使った演出も素晴らしく、合間に挟むMCのメッセージもあって、演奏する曲に込められたバンドの気持ちと客の気持ちが一つになっていく感じが感動的だった。
ドキュメンタリー映像が流れた後、メンバーが一人ひとりステージ上に登場。スクリーンに「SUNTOWN」の文字が大きく出て、1曲目の「Its time to let go」が始まった途端、バンドも客もパワー、ヴァイブスともに一気に全開となる。この日のライブはいろいろな人たちがそれぞれ自由に音楽を楽しめるように作られたものだ。モッシュ、ダイブをしたい人もいれば、苦手な人だっている。ゆっくり座って楽しみたい人もいれば、家族で観に来た人もいる。誰もが共存できる場所として、この日のライブをSUNTOWNという街としてイメージしたのだろう。ステージ前方の限定ブロックでは、このブロックの特別チケットであるTシャツを着たモッシャー、ダイバーたちがぐしゃぐしゃになって楽しんでいるのも熱かった。
「You and I」、「GIMCRACK」と会場がどんどんヒートアップする中、JESSEは「一つのバンドが夢を叶える瞬間、是非見ていってください」とMC。「Numb」では会場全体が両手を挙げ、大合唱が生まれる。「Louder」、「Adam & Eve」と続いた後、「Rude Boy」、「Moves」、「Breath」、「Revolution」、「Rude Boy」をメドレーで一気に聴かせる。
Photo by Yoshifumi Shimizu
ここでJESSEはバンドのルーツについて話し始める。The BONEZはPay money To my Painのボーカル、Kの死から始まった。Kが亡くなったのが12月30日で、The BONEZの初ライブは1月11日の下北沢SHELTERであった。T$UYO$HI(Ba)とZAX(Dr)にはPay money To my Pain、JESSEにはRIZEというバンドがあったから、どちらのバンドのコアなファンからも、どうして他のバンドがやれるのかと言われたという。あの時ほど楽しくないライブ、しんみりとした打ち上げはなかったという中、T$UYO$HIとZAXは居酒屋で泣きながら、「おまえがやるんなら、バンドやるで」とJESSEに言った。
「じゃあ、あと一回だけやってみようぜって言った、その繰り返しでここまで来たんすよ。もう耐えられないかも、もう生きていたくないかもと思ってる人、こんな大逆転があるっていうのを、俺らが今日ここでずっと最後まで見せるから」とJESSE。そこでプレイした曲は、The BONEZがJESSEのソロプロジェクトからバンドとなったアルバム『Astronaut』のラスト曲「Sun forever」であった。
Photo by Taka "nekoze photo"
Photo by Yoshifumi Shimizu
Photo by Yoshifumi Shimizu
Photo by Yoshifumi Shimizu
そこからは「Remember」、「Friends」、「For you」、「LIFE」を披露。「We are the BONEZ」、「Love song」、「Rusted Car」で、会場全体が温かいエネルギーに満ち溢れる中、エネルギーがどんどん解放されていく。アリーナで肩を組んでジャンプし、モッシュする人たち、次々とダイブをする人たち。初めて会った人たち同士なのに、ハイタッチをして、肩を組んで、抱き合って、助け合っている。しかもそこには笑顔があるのだ。
「音楽があって救われた人たちを見て、やっぱ音楽をやめられねえ」とJESSE。戦争や震災など今の時代に向けて歌う「New Original」では、ウォール・オブ・デスも生まれた。
MCでJESSEは、47都道府県を回って自分たちで作ったルールについても語り始めた。もしライブ中に誰かのことを蹴ってしまうなど、自分が何かやらかしてしまったら、「ゴメン」と謝る気持ちと「ありがとう」の感謝の気持ちを入れてほしいという。「モッシュ、ダイブが苦手な人、好きな人、共存できる今ここ、最先端、SUN TOWNです」とJESSE。そこからは「Leaf」、「Place of Fire」、「Thread & Needle」と一気に駆け抜け、ラストの曲「SUNTOWN」では、大量の金色のテープが客席に降り注がれ、大合唱が続く中、ライブは一旦終わることとなる。
アンコールが止まない中、スクリーン上には世界各都市の写真と名前が浮かび、「重大発表」という文字が出て、会場全体が一瞬ざわめく。しかしすぐに「特にありません(笑)」と出て大爆笑となるのも、The BONEZらしい。
ステージに再び現れたメンバー4人は一人ひとりの想いを語る。「47都道府県回って、The BONEZ、強くなりました。スゴく太い幹になりました。優しいヤツが一番強い」とZAX。「ZAXくんの言う通り、BONERのみんなには素直に生きてほしいなと思います」とKOKI(Gt)。T$UYO$HIは、昨年のアルバム『Yours』の曲作りに取りかかった時に、コロナ禍のライブの状況を見て、激しい曲を作って何になるのかと悩んだことを語った。今こうしてライブをできる喜びについても語りながらも、「でも、1万人入るライブを1回やるんだったら、俺は1000人入るライブを10回やりたいかな。今のところツアーの予定は発表されてないけど、今年もちょっとパンチの効いたことをやろうと企んでるので」と今後についての期待も持たせる。JESSEもコロナ禍の話になり、バンドとBONERの関係を見せた子どもたちの未来に期待しつつ、「暗黒の時代を生き抜いた俺らに拍手」と心温かいメッセージを送る。
そしてアンコールに選ばれた曲は、「That Song」、「Zenith」、「Hey, You」であった。
「The BONEZは誰一人として置いていかない」。この日何度もMCで言われていた言葉だったが、最後の「Hey, You」をプレイする前にも、改めて会場全体に向かって気持ちを伝えていた。
「真面目なヤツも、不真面目なヤツも、全員、誰一人置いてかない。BONER、本当に俺の人生を変えてくれてありがとうございます。だから俺もおまえらの人生を変えていくつもりで、音楽をやって、歌を歌って、全身全霊、鳥肌が立って……またこういう日が来ると信じて、最後の曲で終わろうと思います」。
この日のSUNTOWNは特別な街になったと思う。そこにいた人たちはThe BONEZの10年間の集大成をしっかりと目に焼き付けることとなった。
<セットリスト>
1 Its time to let go
2 You and I
3 GIMCRACK
4 Numb
5 Louder
6 Adam & Eve
7 The BONEZ ”songs medley”
(Rude Boy - Moves - Breath - Revolution - Rude Boy - Ending)
8 Sun forever
9 Remember
10 Friends
11 For you
12 LIFE
13 We are The BONEZ
14 Love song Intro-long ver.
15 Rusted Car
16 New Original
17 Leaf
18 Place of Fire
19 Thread & Needle
20 SUNTOWN
アンコール
1 That Song
2 Zenith
3 Hey, You
The BONEZ
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