西山朋佳女王に大島綾華女流二段が挑む第17期マイナビ女子オープン五番勝負は4月9日(火)に神奈川県秦野市の「元湯 陣屋」で開幕。対局の結果、三間飛車を駆使して115手で勝利した西山女王が防衛に向け好スタートを切りました。

新鮮な顔合わせ

挑戦者の大島女流二段は2021年デビューの居飛車党。両者の対戦は過去に1度あり、その際は劣勢の終盤をしのいだ西山女王が大逆転勝利を収めていました。振り駒が行われた本局は西山女王が初手で三間飛車を宣言、対して大島女流二段は得意の右銀急戦を目指します。

「振り飛車のさばき対居飛車の押さえ込み」という構図で進む盤上は西山女王の積極的な指し手で動き始めます。自らの飛車の前に歩を打ったのが例外的な好手。手順に飛び出した角との協力がさばきの呼び水となり、7筋突破を実現した西山女王がリードを奪いました。

西山女王が快勝

左辺での駒交換が一段落した局面は駒の損得こそないものの、後手陣に作ったと金の働きが大きく、形勢は西山女王有利。居飛車側は飛車が自陣で遊んでいる点が大きく響きます。敵玉そばに馬を作った西山女王はここから持ち味の鋭い寄せで勝勢を確立していきます。

攻めの要の馬を切り飛ばしてからじっと控えの桂を打ったのが舟囲い崩しの急所。手順に左右からの挟撃体制が実現してはさすがの大島女流二段も粘りようがありません。終局時刻は16時0分、最後は鮮やかな手順で後手玉を詰ませた西山女王が白星発進を飾りました。

敗れた大島女流二段は「相手に伸び伸び指させてしまい反省点が多かった」と一局を振り返りました。大島女流二段の先手番で迎える第2局は4月17日(水)に山梨県甲府市の「常磐ホテル」で行われます。

水留啓(将棋情報局)

  • 局後、大駒のさばきにめどが立ったところ(67手目)で優勢を自認したことを明かした西山女王

    局後、大駒のさばきにめどが立ったところ(67手目)で優勢を自認したことを明かした西山女王