第37期竜王戦(主催:読売新聞社)はランキング戦ほかが進行中。4月4日(木)には計6局が行われました。このうち関西将棋会館で行われた1組出場者決定戦の菅井竜也八段―斎藤慎太郎八段戦は94手で斎藤八段が勝利。対中飛車の熱戦を制して本戦出場に一歩前進しました。

4か月越しのリベンジマッチ

両者が戦う1組5位出場者決定戦は9人からなるトーナメントを勝ち抜いた1名が決勝トーナメントに進むもの。昨年12月に両者の間で行われたランキング戦では菅井八段が三間飛車を用いて勝利していました。振り駒が行われた本局は菅井八段が先手中飛車を採用。

これを見た後手の斎藤八段は独特の作戦を披露します。飛車先の歩を一切突かずに袖飛車の要領で7筋攻めを狙ったのは佐々木大地七段が得意とする作戦。対して振り飛車穴熊に組み替えた菅井八段も3筋に飛車を回って応戦。局面は「相袖飛車」の様相を呈してきました。

斎藤八段がリベンジ成功

夕食休憩が明け本格的な戦いが始まると、形勢の針は徐々に斎藤八段のほうに振れ始めます。1筋に覗いた角で先手の金銀をくぎ付けにした構想がうまく、菅井八段は思うように金銀を活用できません。主導権を得た斎藤八段は桂取りにかまわず最後の踏み込みに出ました。

竜の侵入に成功した斎藤八段は持ち駒の銀を拠点に打ち込み好調の攻め。「寄せははがすことなり」を地で行くこの攻めが厳しく、先手の穴熊は粘りが利かない格好です。終局時刻は20時44分、逆転の見込みなしと認めた菅井八段が投了を告げ、熱戦に幕が引かれました。

勝った斎藤八段は次戦で本戦入りを懸け丸山忠久九段―松尾歩八段戦の勝者と対戦します。

水留啓(将棋情報局)

  • 昨年度は自身初の負け越しだったが、今年度初対局を勝利し幸先良いスタートを切った斎藤八段(写真は第79期名人戦第1局のもの 提供:日本将棋連盟)

    昨年度は自身初の負け越しだったが、今年度初対局を勝利し幸先良いスタートを切った斎藤八段(写真は第79期名人戦第1局のもの 提供:日本将棋連盟)