五輪競泳・銀メダリストの入江陵介が3日、都内で引退発表会見を行った。サプライズゲストとして競泳界の先輩である北島康介が出席すると、入江は感極まって涙を流した。

  • 入江陵介、北島康介

    入江陵介と北島康介

2008年開催の北京五輪、2012年ロンドン五輪、2016年リオ五輪、そして2021年東京五輪と4大会連続でオリンピックに出場し、ロンドンでは男子100メートル背泳ぎで銅メダル、200メートル背泳ぎ、400メートルメドレーリレーで銀メダルを獲得した入江。0歳から水泳を開始し、2006年から日本代表として18年間活躍した競泳からの引退を発表した。

入江は「長く競泳生活を送れて幸せでした。自分一人の力だけではここまで来ることはできませんでした。たくさんサポートしてくださった方のおかげです」と第一声で周囲への感謝を述べ、「本心を言えば、パリの舞台で引退をしたかったのですが、いまはやり切ったというすっきりした気持ち、晴れやかな気持ち、そして悔しい気持ちという複雑な思いはあります」と正直な胸の内を明かす。

18年もの間、一線級で活躍できた理由について入江は「やっぱり水泳が好きだからということが一番大きい」と語り、「あとは負けず嫌い。負けたくないという気持ちが強かった。自分自身、オリンピック、世界選手権で金を獲得できなかったということで、ここまで続けてこられたと思う。もし北京やロンドンで金メダルを獲っていたら、ここまで続けてこられなかったかもしれません」と上を目指す気持ちが大きなモチベーションになっていたという。

パリ五輪の選考会から2週間。その後は「一切水につかっていないんです」と語った入江。「これまで水泳しかない環境にしてくださったので、水泳がない自分が思い浮かばない。選考会が終わった直後は『明日からどうやって生きていけばいいんだろう』と思いました。新たな水泳界への期待でうれしい気持ちもありますが、さみしい気持ちもあります」と語ると、言葉に詰まる場面も。

また現在について「パリに行くつもりだったので、観光でもなんでもいいのでパリには行きたいです」と語ると「いまは家の片づけをしたり、友達と会ったり、料理をしたり……ゆっくりしています」と少しのんびり過ごしていることを明かす。

さらに今後の人生は「イトマン東進に席を置きながら、後進の育成、水泳の楽しさを伝えたていきたいです。あとは大学院への進学を考えているので、いろいろな活動をしながら今後は伝えていく立場としても携われたら……」と夢を語った。

会見後半には、競泳界の先輩である北島がサプライズで登場。入江は「僕が初代表のときから北島さんがいらっしゃいました。五輪でも同部屋で、ある意味でありがたい英才教育を受けさせていただきました。僕が金メダルを獲りたいと思ったのは康介さんがいたから」と感謝する。

北島は「長い競技人生、お疲れさまでした。僕が引退してからも遠くから見させてもらい、最後のレースも観戦していました。長い付き合いなのでこの場ですべてを語るのは難しいですが、彼のいまの気持ちがすごく分かる。僕も金を獲りにいっていた大会で、彼にも少しプレッシャーを与えてしまっていたのかな……というのが心残りでした」と労をねぎらうと、入江は感極まって涙を流した。

最後に入江は「これから先の人生の方が長い。社会人として至らないことも多いと思いますが、これからも日々勉強していきたいと思っているので、今後ともよろしくお願いします」と挨拶していた。

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