市場調査会社TrendForceが最新レポートで、2024年第1四半期にNANDフラッシュの契約価格が前四半期から23〜28%上昇したと推定しており、第2四半期についても13〜18%上昇すると予測している。これらの数値は1月時点の予測(1Q24は18〜23%上昇、2Q24は3〜8%上昇)を大きく上回るものであり、NANDフラッシュ価格が市場の予想以上に急速に上昇していることを示している。そうした価格上昇にかかわらず、市場全体の需要は損なわれておらず、2024年を通して価格上昇が続くと予想している。
新型コロナ禍に伴う巣ごもり需要からの反動でNAND在庫が増加し、さらに需要が悪化したことにより、2022年第3四半期からNAND市場は深刻な下降局面に陥り、NAND価格の下落が続いていた。それから1年後、サプライヤーの在庫が正常を取り戻し、昨年第4四半期にNAND価格が上昇に転じた。一般消費者にとって価格上昇はマイナス材料であるが、この上昇は市場を健全な状態に戻すための価格調整になる。昨年第4四半期の上昇が2024年前半に継続されるか注目されていた。
TrendForceによると、第1四半期は低需要期であるにもかかわらず、バイヤーが安定した在庫レベルを確立するために購入を増やし続けており、メモリサプライヤーはそれまでの損失を補填するために減産を続けながら価格を積極的に引き上げていた。それにより、第1四半期は23〜28%の上昇になった。
第2四半期については、増産を開始するサプライヤーが出てくる可能性もあったため、1月時点で3〜8%上昇と予測していた。しかし、KioxiaとWDCを除く他のサプライヤーが保守的な生産戦略を維持しており、減産の影響とサプライヤーの在庫減少により、第2四半期の価格予測が13〜18%上昇に修正された。
プロダクト別では、エンタープライズ向けSSDの契約価格が第2四半期に20〜25%上昇すると予測されている。北米と中国のクラウドサービスプロバイダーからの需要が増加しているためだ。クライアント向けSSDは商戦の谷間にあり、一部のPC OEMが注文を削減するなどより慎重な購買戦略が見られ、契約価格の上昇率が10〜15%程度と予測されている。
メモリサプライヤーは抑制的な生産戦略を維持しており、2024年は価格上昇が続く見込みである。ただし、PC市場はアップグレードサイクルの段階に入っており、市場が健全な均衡状態に落ち着く可能性は高い。