Discordが4月第1週から、スポンサー付き「クエスト(Quest)」の本格的な表示を開始する。これはWall Street JournalやArs Technicaなどの報道で明らかになったもので、サービス開始以来、広告モデルを否定してきたDiscordが宣伝を表示する方針転換であり、今後のサービス体験への影響を含めてユーザーの注目を集めている。
クエストはDiscord上で通知で表示され、参加ユーザーはスポンサーされたゲームをプレイしたり、その様子を配信すると報酬をもらえる。Fortniteクエストの「May the 4th」など、これまで一部のゲームデベロッパーと1年間にわたって試験的に運用し、3月7日にブログ投稿で、スポンサード・クエストを他のゲームデベロッパーにも拡大することを明らかにしていた。
Wall Street Journalによると、Discordはユーザーの年齢、位置情報、ゲームプレイに応じて表示のターゲティングを行う。また、ユーザーがギフトインベントリに移動したり、友人のアクティビティに反応するなど、コンテキストに基づいて様々なシーンでクエストが表示される可能性がある。クエストの表示はオプトアウト可能であり、クエストや興味のない分野のプロモーションを非表示に設定することもできる。
友人とリアルタイムで交流するDiscordの体験が損なわれないよう、Discordはサービス開始以来、広告モデルの採用を避けてきた。今年1月末、ソーシャルメディア・プラットフォーム大手5社のCEOを集めた米国上院の公聴会においても、従来のソーシャルメディア・プラットフォームとの差別化要因の1つとして広告の非掲載を挙げ、ユーザーが購入可能なプレミアム機能に基づくビジネスモデルであることを強調していた。
スポンサード・クエストはDiscordユーザーの体験の維持を考慮しており、ポップアップ広告やチャットの間に差し込まれる宣伝など他のソーシャルメディアで用いられている広告形態とは異なる。Discordは月間アクティブユーザーが2億人を超え、新規上場株式(IPO)の期待も高まっている。ユーザーからの支持がDiscordの最大の強みであり、どのような形の広告であれ、人々がDiscordを好んで使用している主な理由を壊さないことが重要である。
しかし、かつてのTwitterのように黒字化に苦戦しており、1月に全従業員の17%を削減する措置 を取った。3月にニューヨーク証券取引所(NYSE)に上場したRedditなど、他の多くのソーシャルメディア・プラットフォームでは広告が主要な収益源となっている。