ラジコンマガジン誌で過去に掲載していた京商製ミニサイズラジコンカー「ミニッツレーサー」の連載記事を再掲載。カメラマンの小見氏が体当たりでミニッツを楽しんでいる様子をお届けしていますが、今回は第6回と第7回の間にあったこぼれ話をお届けします。
第6.5回 「いじるに忍びなかったロータス・ヨーロッパ」
ラジコンマガジン本誌の連載時は誌幅に余裕がなく、書ききれなかった車両が存在しました。今回はそのうちの一つ、ロータス・ヨーロッパについて語ろうと思います。
前回までいじっていたホワイトボディのフェラーリ・ディノにピンときた人も居ると思いますが、私も「サーキットの狼」に心躍らされたスーパーカー世代です! そしてザウバーC9やディノの実走テストに燃える合間、WEBオークションの動向も探っていたところ、ロータス・ヨーロッパのオートスケールモデルを発見。
いつも改造しまくっている未塗装のホワイトボディとは違い、最初からブリティッシュグリーンに塗装された完成車です。少々の破損で訳ありだったがゆえに、比較的安価だったのです。
無事に落札して、手元にやってきたロータス。シャシーはどうしようかと組み替えてみると、リヤが非常に低く、サスのマウントを工夫する必要がありました。通常のRWD式のサスではボディ内側に当たってしまうので、ロールダンパー式に変更してシャシーを低くしてボディと合体。
さらに、このタイヤのサイズでグリップの良いタイヤが見つからない。そうなるとより太くハイトの上がるホイールを組み合わせないと、法典サーキット(友人エージ君宅の特設コース)で徐々に熾烈になっている戦いではタイムを競えなさそう…。ボディデザインに似合った近代的ホイールも見当たらない。
●通常のRWDのシャシーではサスペンションがボディ内側に当たってしまうため、ホイールベースの調整をしても載せることが難しい。ロールダンパーの手法で対策してみようとリヤを分解
●シャシー上部構造物が壊れてしまったが、プラリペアで補修(白い部分)しつつロールダンパー方式に変更
●ちゃんとボディがシャシーに載せられて嬉しい図。しかし法典サーキットでの平均ラップタイム程度までペースを上げるには、タイヤ選択の問題でノーマルホイールでは少々厳しい面も出てきた
走行性能を追求するにはホイールアーチを削るなどの大改造が必要になる、という結論に至ったのですが、製品として完成度の高いこのロータスに手を加えることに抵抗を感じてしまいました。…いままで散々ボディ改造をしてきたこの私が(笑)
おそらく世の中に現存する残り少ないであろうオートスケールボディ。このボディとホイールのセットだけは大事に保存してくれる愛好家に譲った方が良いのではないだろうか? とすら考えるようになりました。
なんだか違法改造屋さんの良心(なんじゃそりゃ)みたいな感覚です。ただ、このロータスのボディに合わせてロールダンパー化したRWDシャシーの手法が後日役立つことになるとは、私自身も友人エージ君も予想していませんでした。
●前回取り上げた“スーパーディノ”が驚くほどペースアップしてしまい、ロータスにも大改造の必然性を感じたが、貴重なオートスケール完成車体を果たして改造して良いものだろうか?と考えてしまった
●エージ君宅の部屋を完全に片付けてカーペットを敷き詰めた“法典サーキット”の初期の光景。当初RWDレディセットに付いてくるコーンでコースを考え、次に発泡パイプで徐々に構成を煮詰めた
●ストレートから回り込む複合コーナーでスピードをどこまで落とさずに曲がり、続く左コーナーへのアプローチまで持っていくかでタイムがかなり変わる。たまに逆回りをすると非常に難しい
●いよいよ本格的に断熱材フォームを切り、二人がかりでコースの熟成に取り掛かった。長尺を当ててカッターで切り、両面テープでカーペットに固定する
●イン側の丸いアイランドも整形。操縦者側から見えにくい奥側は斜めにカットして見やすいようにした。この後、各コーナーの内側には赤いシマシマ塗装も施した
〈文と写真=小見哲彦〉