第37期竜王戦(主催:読売新聞社)はランキング戦が進行中。4月1日(月)には計3局が東京・将棋会館で行われました。このうち6組の瀬川晶司六段―上野裕寿四段戦は千日手指し直しの末100手で瀬川六段が勝利。矢倉対雁木の熱戦を制してベスト8に進出しました。

午後五時半の千日手

今期の6組ランキング戦は70名からなるトーナメントを勝ち抜いた1名が本戦に進出するもの。両対局者にはあと4勝が必要です。角換わり腰掛け銀に進展した本局は右玉に構えた後手の上野四段が手待ち作戦を敢行、瀬川六段も仕掛けを断念して千日手が成立しました。

先後を入れ替え始まった指し直し局は、瀬川六段が雁木に組んだところで上野四段が棒銀の要領で速攻を展開。先手番の利を生かした速攻でしたが、実戦はここから瀬川六段の指し回しが光りました。飛車先の継ぎ歩攻めで8筋の制空権を手にしたのがその手始め。

瀬川六段が快勝

続いてじっと飛車を五段目に浮いて先手の攻め駒をけん制したのが瀬川六段の受けの決め手でした。先手は桂を守るために4筋の歩を突くよりなく、これにより飛車角両方の動きが一気に弱まった格好です。感想戦ではここでの形勢判断は両者後手よしで一致しました。

先手の攻めを封じた瀬川六段は満を持して反撃を開始。桂を成り捨てて飛車筋を通せば自然に敵陣突破が見えてきます。終局時刻は22時6分、最後は自玉の受けなしを認めた上野四段が投了。勝った瀬川六段は次戦で長沼洋八段―山下数毅三段戦の勝者と対戦します。

水留啓(将棋情報局)

  • 感想戦では中盤の飛車浮きの好手以降の展開は検討されなかった

    感想戦では中盤の飛車浮きの好手以降の展開は検討されなかった