3年前に放送がスタートしたNHK Eテレのブックガイド番組『理想的本箱 君だけのブックガイド』がレギュラー化。4月6日より毎週土曜21時に放送される。太田緑ロランス、幅允孝氏とともに引き続きMCを務める吉岡里帆にインタビューし、同番組や本の魅力について話を聞いた。
『理想的本箱』は、「あなたと本の幸福な出会いを仲介する“君だけのブックガイド”」をコンセプトに、ブックディレクターの幅允孝氏が各回のテーマに沿った3冊を選書して紹介する番組。ただ本を紹介するだけではなく、ドラマやアニメや朗読などでその世界に入り込める「映像の帯」という番組オリジナルの演出を交え、本の魅力を伝える。
■本を通してさまざまな価値観を知ることで人生観も変化
――子供の頃から本はよく読んでいましたか?
そうですね。運動するのも好きでしたけど、小学校のときから図書館に行くのも好きなタイプでした。
――『理想的本箱』でさまざまな本と出会い、どのように感じていますか?
プロの選書家である幅さんがセレクトしてくださる本を手に取ることができ、いろいろなジャンルの本と出会い、ものの捉え方が広がっていくという本の魅力を感じていて、本って改めていいなと思っています。本を通して自分とは違う価値観や視点を知ることで、人生観にも変化があるなと感じています。
――人生観も変わったとのことですが、具体的にどんな変化があったのでしょうか。
重たいテーマや難しいテーマのときもあるのですが、自分だけでは絶対解決できないと思うようなテーマでも、幅さんの選書による本を読むと、自分事のように考えてみようかなと、問題提起に対して前向きに捉えられるようになりましたし、難しく考えすぎなくていいんだなと思うようになりました。
――特に影響を受けた一冊を教えてください。
白尾悠さんの『サード・キッチン』はとても印象に残っています。ドキュメンタリーチックに書かれている本で、主人公の大学生の女性が海外に行き、差別を受けていたけれど、自分の理解者と出会って一緒に料理を作って……という内容で、この本を読んで、多様性と言われている時代をちゃんと自分事のように感じられるようになりました。それまでも多様性という言葉はニュースでよく聞いていましたが、この本が勉強するきっかけになりました。
■台本の読み方が変わり「作家さんが作品に込めた思いを探るように」
――本と触れ合うことで女優業にもプラスになっているなと感じることはありますか?
すごくあります。 『理想的本箱』に出会ってから台本の読み方が変わり、作品への挑み方も変わりました。
――台本の読み方に変化が?
幅さんとロランスさんと同じ本を通して交流をしているので、『この本ってこういう感じ取り方をするとこういう学びがあるんだ』とか、『お二人はこの主人公のことをこんな風に捉えるんだ』とか、その違いがとても勉強になっています。本を読み解いていく作業が、台本を読み解いていくときの脳の使い方にもすごくいい影響を与えていて、今までとは違った人物の捉え方をするようになったり、ト書きの読み方が変わったりしています。
――作品の理解度が変わりそうですね。
作家さんが作品に込めた思いという、根本的なところを探るようになり、そこが一番大きな違いかもしれません。今までは自分の役に没頭し、役の目線で読んでいましたが、脚本家さんが何を伝えたいのかというところにも注力するようになりました。
――『理想的本箱』におけるご自身の抱負をお聞かせください。
この番組では、皆さんが抱えている悩みに優しく、押し付けるわけではなく、『こんな本を読んだらちょっと楽になるかもしれません』という提案をしています。見ていただいた方にとって癒やしになりたいなと思いますし、本があまり得意ではない人にも、ちょっと手に取ってみようかなと、前向きな趣味の時間が増えるきっかけになったらうれしいです。
■仕事の幅の広がりに喜び「これからも何でも新しいことに挑戦したい」
――吉岡さん自身の今後の抱負もお聞かせください。
『理想的本箱』がレギュラーになったり、仕事の幅がどんどん広がり、新しいことに挑戦させてもらえるのはありがたいなと思っています。これからも食わず嫌いせず、何でも新しいことに挑戦して、お客さんと一緒に楽しんでいけるような、そういうエンタメを届けられるような役者でいたいです。
――役者として具体的に挑戦したいことはありますか?
舞台がすごく好きで、年に1本出ることを目標に頑張っているのですが、日本の役者さんたちが海外で公演するという話を聞くと、憧れますね。私も海外で舞台上演するというのをいつか叶えたいです。
1993年1月15日生まれ、京都府出身。連続テレビ小説『あさが来た』(15年)、ドラマ『カルテット』(17年)などに出演し、注目を集める。近年の主な出演作はドラマ『レンアイ漫画家』(21年)、『ガンニバル』(22年)、『時をかけるな、恋人たち』(23年)、映画『見えない目撃者』(19年)、『ハケンアニメ!』(22年)、『アイスクリームフィーバー』『ゆとりですがなにか インターナショナル』『怪物の木こり』(23年)など。