日本のクルマや自動車用パーツは世界的に人気だが、ここ最近、取り引きの規模が拡大しつつあるのが「軽トラック」のパーツなのだという。なぜ軽トラのパーツが人気なのか。世界最大級のECサイト「eBay」の日本法人に話を聞いた。
軽トラパーツ需要は想定外! 背景は?
eBay(イーベイ)日本法人のイーベイ・ジャパンが3月7日に発表した「2023年度(1-12月)日本からの「越境EC」取引に関するデータ【カテゴリーランキング】」を見ると、自動車パーツは全体取引額ランキングで第7位。成長率は前年比50.3%アップの第1位となっている。
海外で人気のスポーツカーパーツを中心に需要が高まっているようだが、その中でも前年から大きく売り上げを伸ばしているのが軽トラック関連パーツだ。イーベイ・ジャパンの古谷まゆみさんはこう話す。
「自動車パーツの大半を占めているのは1980年代~1990年代のスポーツカー関連ですが、軽トラック関連は前年比で約3倍の売り上げになっています。正直なところ、ここまで軽トラック関連パーツが伸びるとは全く予想していませんでした」
まさに想定外の結果ということのようだ。
軽トラック関連パーツの需要が伸びた要因として古谷さんがまず挙げたのが「輸入の解禁」だ。
「現在、アメリカでは軽トラックブームがかなりきています。しかし、軽トラックもスポーツカーと同じく、アメリカでは『25年ルール』が適用されるので、製造から25年が経っていないと向こうでは輸入ができません。逆に言えば、25年以上前に製造された軽トラックは輸入できます。ブームになるくらい軽トラックの輸入が増えているわけなので、それに付随して、同じ年代の軽トラック関連パーツの需要が増えているんだと思います」
需要増加のもうひとつの大きな要因は「SNSの影響」だと古谷さんは話す。
「アメリカにも、軽トラックに特化したユーチューバーやインスタグラマーの方は意外と多いんです。やはりSNSの影響はかなり強いので、おそらく、この1年はそういったインフルエンサーの影響も多分にあったのではないかと感じています」
eBayで売れている軽トラ関連パーツは?
中古パーツも伸びているものの、メインで売れているのは新品のパーツだ。中古に比べ、新品は3~4倍ほど売れているという。廃盤になっている部品も多いことから、新品パーツの価値が上がっているらしい。
純正パーツとカスタムパーツでは純正パーツの方がより売れている。これには、アメリカの文化も影響しているのではというのが古谷さんの考えだ。
「性能のいい軽トラックとはいえ古いクルマなので、エンジンがかからないなどのトラブルもよくあるようですが、日本に比べると、アメリカではDIYで修理する方が多いんです。そのため、補修用・修理用としてドライブシャフトやキャブレター、ラジエーターなどの純正パーツが売れているんだと思います。ただ、カスタムの需要ももちろんあります。新品パーツの売り上げ第1位はタイヤですが、こちらはカスタムでも使えるゴツくてオフロード性能の高いアイテムが人気です」
軽トラック関連パーツの今後は?
自動車パーツを取り扱うセラー(販売者)が増えているのも、自動車パーツの成長を支えている要因といえるだろう。
「2年くらい前までは、eBayで自動車パーツが売れるイメージはあまりなかったと思います。それが現在では、ありがたいことに認知が進んだこともあって、個人の方でもちょっとやってみようかと始められる方が増えています」
最後に、今後の軽トラック関連パーツに関する予測を聞いてみた。
「今回は、軽トラック関連パーツがどのくらい売れているかの推移を数字として初めて出しましたが、かなり右肩上がりになっています。今後もインフルエンサーは増えると思いますが、それにより、軽トラックを知らなかった人への認知も広がりますし、それに伴って人気も高まっていくはずです。現状でさえこれだけ需要が高いわけですが、今後の伸びも期待できそうなので、セラー様にとっては引き続き狙い目なのではないでしょうか」
現在は純正パーツに需要が傾いているが、25年前といえば、今ほど軽トラックのカスタムパーツ自体が豊富にそろっていたわけではないはずだ。もしかしたら今後は、古い軽トラにエアロパーツなど装着してカスタムしたり、キャンピングカー仕様にしたりといったようなトレンドが生まれてくるかもしれない。アメリカの軽トラブームがどんな展開を見せるかに要注目だ。