第一三共ヘルスケアは2024年4月1日付けで、内田高広氏が新社長に就任する。記者会見の席で、内田社長は「当社が再び成長軌道に乗りつつあるこのタイミングで大役を仰せつかり、幸せに思いますし、胸が躍る気持ちです。この先、当社が10年20年と輝き続けられるように取り組んでまいります」と意気込んだ。

  • 第一三共ヘルスケアが社長人事に関する記者会見を開催。退任する吉田勝彦氏(左)と握手を交わす、新社長の内田高広氏(右)

■コロナ禍の対応に奔走

第一三共日本橋ビルにて3月29日、社長人事に関する記者会見が行われた。

  • 第一三共日本橋ビル

この5年間、第一三共ヘルスケアを率いてきた吉田勝彦氏は「コロナ禍の影響を受けて、その対応に奔走した期間でした。いま、ようやく出口が見え始め、事業環境が大きく変化しつつあります。この転換期にバトンをわたすことで、上昇傾向にある第一三共ヘルスケアの成長スピードを加速できると判断しました」と話す。

  • これまで代表取締役社長 社長執行役員を務めてきた吉田勝彦氏

内田社長について、吉田氏は「第一三共ヘルスケアが発足して以来、長きにわたって経営の中枢に携わっており、よき文化、よき伝統を継承していける人物。人材的には、あらゆる課題に向き合えるバイタリティに溢れており、社員の声に耳を傾けられる、そして迅速に意思決定できる。経営者に求められる多くの資質を兼ね備えている」と評した。

なお吉田勝彦氏は3月31日付けで代表取締役社長を退任し、引き続き取締役の任に当たる。

■成長スピードを加速させる

内田高広氏は1969年2月生まれ、同志社大卒の55歳。田辺製薬から三共に転職し、第一三共ヘルスケアの経営企画部などを経て、2015年からは3年半ほど当社100%子会社のアイムにて取締役副社長なども経験してきた。

  • 代表取締役社長に就任した、内田高広氏

  • 経歴

会見で内田氏は、第一三共ヘルスケアの経営方針について説明する。直近の事業動向については「コロナ禍を経た2022年度は、売上収益が703億円に達するなど大きく成長できました。特に、かぜ薬のルル、解熱鎮痛薬などのロキソニン、スキンケアのミノンやトランシーノ、オーラルケアのクリーンデンタルなど、幅広いブランドが伸びました」と評価。

  • 第一三共ヘルスケアの商品ラインナップ。OTC医薬品、機能性スキンケア、オーラルケア、食品など約50ブランドを展開中

2023年度は、解熱鎮痛薬カロナールAの発売とベトナム進出があり、売上収益は過去最高の746億円を超える見込み。そのうえで「2024年度は成長スピードをさらに加速させ、売上収益800億円を目指していきます」と意欲をみせる。

  • 第一三共ヘルスケアの売上推移

今後の取り組みについて、いくつかの事例も紹介した。たとえば、千寿製薬とは点眼薬「マイティア」について販売提携を締結。4月1日より、「マイティア」ブランド全19品のパッケージデザインを一新してリニューアル発売する。内田氏は「現在のマイティアブランドの売上規模は40億円ですが、我が社の営業力を最大限に活用してプロモーションを強化し、早期に50億円規模に持っていきます」と説明する。

  • OTC医薬品「マイティア」ブランドを販売へ

また通販事業を担ってきたアイムの社名を4月1日より「第一三共ヘルスケアダイレクト」に変更し、これまで以上に通販事業にも注力していく。「保湿系スキンケアのライスフォース、第一三共ヘルスケアで開発したエイジングケアシリーズのブライトエイジ、そしてリゲイン内服シリーズを販売してきた企業です。当社グループの通販事業としての位置づけを明確にするため、社名を変更しました」と内田氏。

  • 通販事業会社「第一三共ヘルスケアダイレクト」の売上増にも期待

そして、これから目指していく経営について、以下の5つのポイントを挙げた。

1. OTC医薬品では圧倒的No.1の企業を目指す
2. 機能性スキンケア・オーラルケアにおいては、さらなる拡大を狙う
3. 持続的成長に向けて、新ブランド、新規事業、新たなアライアンスを創出
4. 科学的根拠に基づいた商品・サービスを提供する、高付加価値のヘルスケアカンパニーにしていく
5. 社員が心の底から誇りに思える会社にする

  • 目指す経営

内田氏は、最後に「健康寿命の延伸が求められるなか、セルフケア、セルフメディケーションの役割は今後、ますます大きくなっていくものと考えられます。第一三共ヘルスケアは生活者の近くで、誰もが健康であり続けられる社会づくりに貢献してまいります」とまとめた。