JR東海は28日、東海道新幹線の営業車両に搭載可能な「軌道材料モニタリングシステム」を開発したと発表した。新幹線の高速走行中、軌道材料(レールやまくらぎ、それらを固定するボルトなど)の状態を把握できる国内初の技術だという。
「軌道材料モニタリングシステム」は、営業車両に搭載したセンサとカメラで高速走行中に取得したデータを用い、形状・材質の異なるさまざまな材料で構成された軌道を点検できるよう開発したシステム。高さの変化を検知する点群データと、軌道材料の状態を詳細に確認できる画像データをもとに、メンテナンスに必要な情報を走行中に自動で抽出し、伝送する。
このシステムは、JR東海が有する新幹線の軌道計測技術と、倉敷紡績が高速道路等の路面調査で培った技術を組み合わせて開発。これまでの試験で、300km/hの走行でも安定して正確に軌道材料の状態を把握できることを確認したという。
現在、軌道材料の点検は、社員が全線を徒歩で移動しながら目視や計測器具を用いて行うため、多くの労力を必要としている。「軌道材料モニタリングシステム」の活用により、徒歩による現地での点検回数を削減できる。得られたデータを今後整備するミリ波方式列車無線で伝送することで、これまで以上にタイムリーな状態把握が可能となり、東海道新幹線の安全性をさらに高められる。
今後、システムの長期耐久性など実用化に向けた検証とさらなる精度向上を行い、ミリ波方式列車無線運用開始後(2027年予定)の導入を見込んでいる。