就活シーズンが開始し、そろそろ面接が本格化する。面接で「いい印象」を与えたいと悩む就活生も多いだろう。

面接での印象を左右する髪型だが、カジュアルな普段着と異なり、スーツを着る時には「社会人を意識したヘアスタイル」が必要かもしれない。では一体、社会らしい髪型とは何だろう?

先日、LUXが新社会人向けに「社会人っぽくしかオーダーできない美容室」イベントを実施。ひとつ上の先輩たちはどういう髪型をオーダーし、どのように身だしなみに注意しているのか。

LUX担当者、専門家に「新社会人がどうあるべきか」について話を聞いた。

自信が持てる髪型は就活でもプラスに働く

「社会人っぽくしかオーダーできない美容室」は3月19〜23日の5日間にわたって東京・自由が丘の美容室「W(ダブル)」で開催されたが、これに先駆け、LUXは2024年春に入社を控えた新社会人400人を対象に「新社会人の髪の偏見に関する調査」を実施。

調査の結果、約3人に1人が入社に向けて「自分の髪型/髪色を変えようと思う」もしくは「変えた」という事実が明らかになったという。本企画を担当したLUXの大西朱音さんは、この現状について次のように話す。

「多くの新社会人は『やっぱり暗い髪色にしないといけないのかな』と考えています。本当はもっと自分の好きな髪型、髪色にしたいと思いながら、先輩や上司に忖度してしまう。でも、『社会人らしい』というテンプレートがあること自体がおかしく、個性は人それぞれ自分を表現できるものであるべきです。外見から自信をもって前向きになれれば素晴らしいことなので、典型的な見た目の『社会人らしさ』にとらわれず、自分が最大限のパフォーマンスを発揮できることこそがその人の『社会人らしさ』なんだと思います」

調査によると、「自分の好きなヘアスタイルで勤務したい」と考えている新社会人は全体の約84%を占め、「自分らしい髪でいることが社会人として働く上でのモチベーションアップに繋がる」と回答した人も8割以上にのぼったという。

「好きな髪型でいるということは、自信にも大きな影響を与えます。これから新社会人として頑張っていこうというタイミングで、どういう髪型だったら勇気が出るか、または自信が持てるかというところを一緒に探っていきたいと思い、今回の企画を実施しました」

また、大西さんは就活生について、「最近はダイバーシティも進んでいて、『面接には自由な格好でお越しください』と公言している企業も少なくありません。それでも、多くの就活生は無難にスーツと黒髪を選んでしまいます」と指摘。

「私も企業側からの評価を気にして、本当の自分を押し殺していました。本当はハイライトや明るい髪色が好きだったのに、髪色だけで悪く判断されてしまったらどうしようという不安感から、黒髪で就活していました。今振り返ると、なぜ自分の個性を抑えてしまったのだろうと思います。

ダイバーシティが尊重されるようになった今、自分の強みや個性を外見からも表現することはとても大切。もちろん、周りへの配慮やTPOは弁えることが前提ですが、自分らしさを最大限に活かし、自信が持てる髪型にして就活に臨むのは必ずプラスになると思います」

髪型は「自分の素敵なところを最高に表現できる手段」

「社会人っぽくしかオーダーできない美容室」の最大の特徴は、「コーチ」がいることだ。

利用者は「社会人っぽくお願いします」としかオーダーできないが、事前にコーチとともに自らが思う「社会人の理想像」を導き出し、これに基づいたヘアスタイルを美容師が提供するというシステムが採用されている。

コーチのひとりである田口愛実さんは、「その人にとっての社会人らしさ、自分らしさは十人十色。だからこそ、新社会人のみなさんがそれぞれどういう価値観を持っているのかということを一緒に探っていきたいと思います」と語る。

「その人がどんなことを大事にしていて、それはどんな気持ちから生まれてくるものなのか、色にたとえるとどんな色なのか……そういった感情や比喩の部分を入口に、その人の価値観を探ります。

私から具体的なヘアスタイルのデザインを美容師さんに伝えることはありません。あくまでその人の価値観や、その人が理想とする社会人像のイメージを美容師に共有することで、その人にとっての“社会人っぽいヘアスタイル”になっていただく流れになっています」

  • SNSで今回の企画を知り、応募したというサヤカさん(施術前)

春から新社会人としてメーカーに勤務するサヤカさん(仮名)からは、約30~40分のコーチングの結果、「キャリアウーマン」「内側から滲み出る気品や自信」「昔からの夢を叶えた」「羽ばたく」「空色」といったイメージを抽出。

こういったワードをもとに、美容師の笠井美菜さんが施術を行った。

もともとロングボブだったサヤカさんだが、今回は髪の長さ自体はあまり変えず、軽さを加えることで雰囲気を変える方向でまとまったという。

入社に向けてあまり派手なヘアスタイルではなく、ナチュラルながら自分らしいヘアスタイルを望んでいるようだ。

  • 長さはさほど変わらないが、毛先がかなりエアリーになった印象

施術後のサヤカさんに感想をうかがってみると、「長さは変わっていないけど、かなり軽くなりました。もともとかけていたパーマも活かしやすくなりましたし、社会人らしくなったと思います。入社を前にちょっと緊張していますが、このヘアスタイルなら自信を持って出社できそうです」と笑顔で答えてくれた。

社会人として、節度のある髪型や服装を心がける必要はあるだろう。しかし、社会人らしさを意識するあまり、自分らしさを抑え込んでしまっては、せっかくの新生活も魅力が半減してしまう。これは就活生にも同じようなことが言えるかもしれない。

コーチの田口さんは就活中のヘアスタイルについて、「髪型は、企業に受かるために、悪目立ちしないようにとか、個性を封じ込めるものではなく、ご自身の素敵なところを最高に表現できる手段だといいな、と思います。ぜひ美容師さんに相談して、似合う髪形を提案していただくのはどうでしょうか。まだ見ぬ自分の魅力に気づいてください。業種によって髪色は控えめにしないといけないかもしれませんが、そのあたりも美容師さんと相談しながら、理想のヘアスタイルを追求してみてはいかがでしょうか」と訴えた。

志望する業種や業界、企業によって身だしなみの"正解"は異なるだろう。だからといって、ただ自分らしさを消せばいいという話ではない。

自分たちと近い年齢の先輩たちの意見を参考にして、就活生の皆さんも「自分の良さを引き出せる」ヘアスタイルを探してみてはどうだろう。