日本最大級のマリンイベント「ジャパンインターナショナルボートショー2024」が3月21日から24日まで開催された。パシフィコ横浜、横浜ベイサイドマリーナ、八景島マリーナの3会場には215社が参加している。掲げるテーマは「あふれる笑顔、この海でずっと…」。本稿では初日のパシフィコ横浜会場で行われた開会セレモニー、また各社ブースの様子をレポートする。

  • 「ジャパンインターナショナルボートショー2024」開会セレモニー、フォトセッションの様子

■マリンライフを彩るアイテムが揃う

パシフィコ横浜では、展示ホールの全館を使用。ボート、ヨット、水上オートバイの最新モデルから、航海計器、マリン用品、アパレルなど、マリンライフを充実するアイテムが勢揃いしている。

  • 3月21日から24日まで開催されたジャパンインターナショナルボートショー2024。各企業が大規模なブースを構える

  • ヤマハのスポーツボート「255XD」に乗船(左上)。トヨタの「TDA+」(トヨタドライブアシストプラス)はVRゴーグルで操船を疑似体験(右上)。こどもボート免許証をもらえるブースも(左下)

ヤマハ発動機のブースでは、マリン事業について説明があった。同社 マリン事業本部の吉田竜也氏は「ここ10数年にわたり、当社のマリン事業は堅調な需要に支えられて成長を続けています」と報告。それによれば2023年の売上高は5,475億円、営業利益は1,137億円に到達した。吉田氏は「3年連続で過去最高の売上高、営業利益を達成しました」と自信をのぞかせる。

  • ヤマハ発動機 マリン事業本部 国内事業推進部長の吉田竜也氏

米国では大型船外機の需要が継続的に伸長している。そこでヤマハ発動機も新モデル「F350B」を投入。このほかアジア市場の堅調な需要も取り込み、2024年もさらなる増収増益を狙っていく構えだ。

  • 2023年の売上高と営業利益

ヤマハ発動機では『マリン版CASE戦略』として、ユーザーのマリンライフをConnected(コネクテッド)、Autonomous(自動運転)、Shared(シェアリングサービス)、Electric(電動化)の側面からサポートしていく。直近の話題としては、日清紡ホールディングスとの提携により2024年5月から、航行支援アプリ「JM-Safety」(ジェイマリン・セーフティ)をヤマハマリンクラブ・シースタイル(レンタルボートサービス)に導入する。JM-Safetyはスマートフォンの航行支援アプリとWebアプリで構成されるもので、危険エリアの設定、進入時の警告、ボートの航跡の記録・共有の一元管理などを可能にする。

  • マリン版CASE戦略から、ConnectedとSharedについて

続いてAutonomousのトピックから。ジョイスティック操作によりボートの離岸・着岸を容易にする次世代のボート制御システム「ヘルムマスターEX」については、ブースに参考展示するニューモデル「YFR330」をはじめ3モデルに搭載する。また自動着岸機能についても鋭意開発中とのことで、吉田氏は「昨年(2023年)2月には、米国マイアミで開催されたボートショーでデモを披露するまで開発が進んでいます」と紹介する。

  • ヘルムマスターEXのジョイスティック。直感的な操作が可能だ

  • 搭載例。ジョイスティックにより直感的に操船できる

Electricの領域では、ドイツのマリン電動推進機メーカーTorqeedo(トルキード)社を買収。吉田氏は「電動船外機、船内機、バッテリー、各種アクセサリーなど豊富な製品群を取り扱う同社の買収により、エレクトリック分野の開発力強化はもちろん、マリン業界におけるカーボンニュートラル対応も加速できます。小型電動ラインナップの構築も充実させていきます」とした。

大型船外機のラインナップについても強化する。同社における最大馬力を発揮するフラッグシップ「F450」の国内販売を開始するなど、意欲的に取り組んでいく。

  • 写真は「F450A」ホワイト(最大出力450馬力)。V型8気筒、排気量は5,559cm3。発売時期は2024年8月、メーカー希望小売価格は6,273,300円

  • F450Aを搭載する「YFR330」

吉田氏は、最後に「マリン事業の長期ビジョンとして『信頼性と豊かなマリンライフ』をキーワードに掲げ、海の価値をさらに高める事業を継続的に行ってまいります」とまとめた。

  • 信頼性と豊かなマリンライフを掲げる

■マリンレジャーの魅力を伝える

このあと、開会セレモニーに登壇した日本マリン事業協会 副会長の日向勇美氏は、ここ数年のマリン市場について「状況は思わしくありません」と切り出す。「ボート、水上オートバイの新規登録者 / 免許取得者の数について、コロナ禍では活況を呈していましたが、昨年はコロナ前の水準も下回る厳しい状況となりました」と日向氏。

  • 日本マリン事業協会 副会長の日向勇美氏

そこで、今回のイベント成功に大きな期待をかける。「会場にお越しの方には、マリンレジャーの魅力を分かりやすく伝えていきたい。すでにマリンレジャーを楽しんでおられる方には、新しい情報、サービス、商品をお届けしていければ。そして高齢化の進んだ業界の若返りをはかるため、子どもたちに向けたコンテンツもたくさん用意しています。地元横浜市内の小学校約90校にも、およそ70万枚の案内チラシを配布しました。多くの方にマリンレジャーに触れていただき、ボートに乗っていただき、体験していただければ」。船のふしぎ発見、ロープワークを学ぼう、手作りヨットでレースに出よう、などたくさんのキッズ向けコンテンツを用意しており、子どもたちの反応に期待を寄せる。

「日本マリン事業協会では『マリンビジョン2026』を掲げております。マリンレジャー人口が2026年に100万人に到達するよう、今後も様々な取り組みを進めていきます」と日向氏。

このあと、ジャパンインターナショナルボートショー2024の開会を宣言。関係者によるテープカットが行われた。

  • 開会セレモニーには、ミス日本「海の日」有馬佳奈さんも参加した

なお「ジャパンインターナショナルボートショー2024」は、3月21日から24日までの本番会期に加えて、5月31日までオンライン会場でも開催中だ。