フランチャイズに加盟すると、多くの場合、本部に対して「ロイヤリティ」を支払う必要があります。ロイヤリティの金額や計算方法は本部によって異なりますが、場合によってはロイヤリティが経営を圧迫するケースもあるため、加盟前に充分な確認が必要です。今回は、フランチャイズのロイヤリティとはどのようなものなのか、また、ロイヤリティの種類、業種ごとの相場、注意点などを詳しく解説します。

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■フランチャイズの「ロイヤリティ」とは、どんな費用?

ロイヤリティは、直訳すると「忠誠」「忠義」「忠実」といった意味です。しかし、フランチャイズビジネスにおいては、商標やロゴ、経営ノウハウを使用し、指導、教育を継続的に受ける代わりに支払う対価のことを指します。

どのような業種・業態の事業でも、売上を上げるには、売れる商品やノウハウが必要です。しかし、それらを一から自力で構築するには、長い期間や多くの労力を費やさなければなりません。一方、フランチャイズ本部には、長年の経験から得たノウハウが蓄積されています。加盟店は、ロイヤリティの支払いと引き換えに、これらを手にして活用できるのです。

また、人は全く無名の店舗より、広く認知されているブランドや見たことのある看板の店舗を選ぶ傾向にあります。ブランド名や看板を「誰もが知っている」状態にするには、長い年月や企業努力が欠かせません。

加盟店は、ロイヤリティを支払うことで、本部が築き上げた知名度・ブランドを利用して経営できるというメリットもあります。知名度の高いブランドであるほど、開業当初から集客に苦労することがなく事業を始められます。

フランチャイズのロイヤリティというと、「支払いが負担になる」というマイナスのイメージを持つ人も多いですが、ロイヤリティはデメリットばかりではありません。むしろ、ロイヤリティによって経営ノウハウやブランド、本部のサポートが活用できることは、独立・開業のハードルを下げ、ビジネスを軌道に乗せる大きな後押しとなります。

■フランチャイズのロイヤリティは大きく3種に分類される

ロイヤリティの金額や計算方法は本部によってまちまちですが、大きく分けると「定額方式」「売上歩合方式」「粗利分配方式」の3種類があります。

<定額方式>

定額方式は、毎月決まった金額をロイヤリティとして支払う方法です。たとえば、「ロイヤリティは毎月10万円」と決まっている場合、その月の売上に関係なく、毎月10万円を本部に支払います。

定額方式は金額が固定されていますので、売上が多くなれば加盟店の取り分も多くなるというメリットがあります。開業当初は売上が少なくロイヤリティが負担になったとしても、売上が増えるにつれて負担が軽減されていき、「もっと売上を上げていこう」というモチベーションにもつながるでしょう。

ただし、売上が思うように出なかった月も同じ金額のロイヤリティを支払わなければなりませんので、売上低迷が続くと、経営が厳しい状況に追い込まれる可能性もあります。定額方式を採用するフランチャイズに加盟する場合は、固定のロイヤリティを支払えるだけの売上が立つのか、また、赤字が続いても事業を継続できるだけの資本を用意できるのか、しっかりと考えておきましょう。

<売上歩合方式>

売上歩合方式は、「加盟店の売上の⚪︎%を本部に支払う」といった方法で、ロイヤリティの計算方法として最も一般的です。売上が少なければロイヤリティも少なくなりますので、売上が少ない月でもロイヤリティの負担が重くなり過ぎないというメリットがあります。

一方、努力してたくさん売上を上げても、その分ロイヤリティも高くなってしまう点はデメリットでしょう。また、仕入れ額が高くなり利益が減っても、支払うロイヤリティは変わらないというマイナス面もあります。

そのため、売上と仕入れのバランスを考慮したシミュレーションを行っておくことが大切です。ただし、加盟者のモチベーションアップのために、売上が上がるほどロイヤリティの比率が下がるように設定している本部もありますので、こちらもよく確認しておきましょう。

<粗利分配方式>

粗利分配方式は、店舗収益の粗利益から、ロイヤリティを計算する方法です。前出の2つと比べてあまり採用されていない方法ですが、コンビニエンスストアでは多く取り入れられています。

粗利益とは、売上から原価を引いた金額です。たとえば、ロイヤリティが「粗利の10%」と決められている場合、売上が100万円で原価が25万円なら粗利は75万円ですので、粗利の10%である7万5,000円を本部に支払います。

この時、もし売上歩合方式で「売上の10%を支払う」と決められているなら、ロイヤリティは10万円になりますので、ロイヤリティの割合が同じなら、売上歩合方式よりも粗利分配方式のほうが支払う金額は少なくなります。

■フランチャイズ業種別「ロイヤリティの相場」を紹介

ロイヤリティは、業種によって大まかな相場が決まっています。もちろん、詳細は本部ごとに異なりますが、検討している業種のロイヤリティはどのくらいなのか目安を知っておきましょう。

<飲食店>

カフェなどの飲食店は、人件費や原価率が高いことから、ロイヤリティの相場は3~10%とやや低めに設定されています。ただし、本部によってはロイヤリティが固定されているところもあります。固定の場合、たとえば店舗の座席数で「1席あたり月2,000円」のように決められています。

<学習塾>

学習塾のロイヤリティは、材料費や人件費などが安く済む分、10~30%と比較的高めに設定されています。また、入会金についても、30~50%を本部に支払うところが多いようです。

本部によっては、売上ではなく、生徒の人数でロイヤリティを計算するところもあります。

<コンビニエンスストア>

コンビニの場合、建物や土地をオーナー自身が用意するのか、それとも本部が用意するのかによってロイヤリティが異なります。そのため、コンビニのロイヤリティは30~60%前後と大きな幅がありますが、他のフランチャイズビジネスと比べて高めに設定されているのが特徴です。

また、営業総利益の金額や店舗の規模などによってロイヤリティが変動することもあるようです。

<エステ、マッサージ>

エステやマッサージのロイヤリティの相場は、3~10%です。ロイヤリティが安く設定されている場合、エステ機器を本部から借りることが条件になっていて、別途費用がかかるケースもあります。

なお、エステで使用する美容品の販売代行を行う店舗では、多くの場合、美容品の売上の数%をロイヤリティとして支払う決まりになっています。

<ハウスクリーニング>

ハウスクリーニングのロイヤリティ相場は50%前後、または定額で決まっていることが多いです。掃除用品を本部から借りる場合、その費用が別途かかるため、ロイヤリティが減額されることもあります。

定額の場合、ロイヤリティは月6万円前後が目安となります。

■フランチャイズのロイヤリティに関する4つの注意点

最後に、フランチャイズのロイヤリティに関する注意点を4つご紹介します。ロイヤリティを確認する際は、特に以下の点に気を付けましょう。

1.ロイヤリティがない、または安すぎる

フランチャイズ本部によっては、ロイヤリティが設定されていないところもあります。ロイヤリティの支払いがなければ負担が減りリスクが少ないように感じますが、その分、研修費や材料費、広告費など他の費用に上乗せされ割高になっている可能性もあるため、注意が必要です。

ロイヤリティがない場合、なぜないのか、その理由をしっかりと確認しておかなければなりません。

また、加盟店を増やそうとして、ロイヤリティを非常に安く設定している本部もあります。しかしその分、本部から仕入れる商品や食材などが高くなっていることもありますので、安すぎるロイヤリティにも注意しましょう。

2.ロイヤリティは相場と比べて妥当か

ロイヤリティは本部によって異なりますが、妥当な金額かどうかは業種の相場を見れば大体わかります。不当な金額を要求されないためにも、同じ業種の他のフランチャイズともよく比較し、ロイヤリティの相場から大きく外れていないか確認しましょう。

3.ロイヤリティに見合うサポートが得られるか

ロイヤリティを支払った時、それに見合うサポートが受けられるのかどうかも事前によく確認しましょう。たとえば、ロイヤリティが高額だと「経営が厳しくなる」と考えがちですが、高いロイヤリティを支払っただけのサポートが受けられることで、経営がうまくいく可能性もあります。

また、本部のブランド力が強ければ高い集客効果が望めますので、ロイヤリティが高いからと言って必ずしも失敗するとは限りません。

ただし、フランチャイズに魅力がなければ、売上が伸びず高いロイヤリティが重荷になるでしょう。ロイヤリティそのものだけでなく、本部のサポートやブランド力もあわせて見極めることが大切です。

4.ロイヤリティ以外に支払う費用はあるか

先ほどもあったように、たとえロイヤリティがない、もしくは安くても、他の費用が割高になっているケースもあります。また、ロイヤリティがなくても、顧問料や相談料など他の費用を請求されることもあります。

ロイヤリティがない分、他の費用に上乗せされていないか、ロイヤリティの代わりの費用が発生しないかよく確かめましょう。

■フランチャイズのロイヤリティは総合的に判断しよう

フランチャイズへの加盟を考えるなら、ロイヤリティは厳しい目で確認する必要があります。ロイヤリティは、基本的に毎月支払い続けるものですし、場合によっては大きな負担になり、経営を左右することもあるからです。ロイヤリティは金額や計算方法だけでなく、業種の相場や本部のサポート内容などもあわせて確認し、適切な金額であるか総合的に判断しましょう。