チリNo.1ワイナリーのコンチャ・イ・トロ社と協業を進めているシャトー・メルシャン。日本とチリでワインを造りあう『パシフィック・リンク・プロジェクト』第1弾として、4月2日には『シャトー・メルシャン 岩出甲州 アミシス 2023』を発売する。都内で開催のメディア説明会では、担当者が意気込みを語った。
■プロジェクトの概要
昨年(2023年)初めて売上10億円を達成するなど、業績好調なシャトー・メルシャン。日本ワインの注目の高まりを背景に海外への輸出も増やしており、英国、米国、香港、シンガポールに加えて、昨年よりイタリアにも販路を拡大している。
パシフィック・リンク・プロジェクトでは、そんな同社とコンチャ・イ・トロ社の造り手が互いのワイナリーを行き来し、「よりグローバルに特化したシャトー・メルシャンの日本ワイン」、そして「日本人の好みにアジャストしたコンチャ・イ・トロ社のチリワイン」などを造りあって国内外で販売していく。
メルシャンの長林道生氏は「飲酒人口の減少、ワイン飲用人口の減少、RTDなど他カテゴリの伸長などにより、昨年の国内のワイン市場は前年比3%減と縮小しました。メルシャンではパシフィック・リンク・プロジェクトを通じてワインの高付加価値化をはかり、ワイン市場を活性化していきます」と意欲をみせる。
長林氏によれば、メルシャンがコンチャ・イ・トロ社と取引を開始したのは1978年のこと。「それ以来、両社は約50年にわたり共通する信念のもとで協働を続けてきました」と紹介する。特に、自然環境に配慮し、地域に根ざした持続可能なワイン造り、また高い品質を目指して消費者目線でイノベーションを起こすといった点に、両社の共通要素があると長林氏。
メルシャン マーケティング部の神藤亜矢氏は「日本から見てチリは地球の反対側にあるため、いま現地では季節が秋から冬に移るところです。これを活用すれば、パシフィック・リンク・プロジェクトでは1年に2回、倍速でワインを造ることができます。また日本は高温多湿ですが、チリは晴天が多くて空気が乾燥しています。お互いのワイナリーの知見を活かせば、新たな発想のワインが造れる期待感もあります」と説明する。
実際、すでに2023年秋にチリからコンチャ・イ・トロ社のマックス・ワインラブ氏が来日し、シャトー・メルシャンと新商品を仕込んだ。それが『シャトー・メルシャン 岩出甲州 アミシス 2023』となる。日本固有のブドウ品種である「甲州」の味わいを活かしつつ、コンチャ・イ・トロ社の知見も取り入れたとのこと。神藤氏は「海外の消費者にも親しみやすい酸味と甘みのバランスに仕上がりました」と笑顔を見せる。
ゲストとして招かれたヴィーニャ・コンチャ・イ・トロ社のイサベル・ギリサスティ氏は「今回、私たちが取り扱ったことのない甲州というブドウの品種を使うことができたのはコラボレーションの醍醐味でした。このプロジェクトはとてもイノベーティブで、新たな消費層、新たな世代にアプローチできると感じています」と手応えを口にする。
そして「ワイン市場においてチリワインのプレゼンスをさらに高め、特にハイエンドのプレミアムワインのイメージをしっかり発信していけたら。私どものテロワールから生まれるワインというものを、メルシャンと協働しながら伝えていきます」と話した。
なおパシフィック・リンク・プロジェクトの第2弾として、すでに『コンチャ・イ・トロ「アミシス」』が2024年秋に発売されることが決まっている。チリの銘醸地プエンテ・アルトからエナジーと、シャトー・メルシャンのフィロソフィーからフィネス&エレガンスを融合させたワインになるという。
メルシャンの長林氏は、パシフィック・リンク・プロジェクトによりシャトー・メルシャンの輸出額を約1.4倍まで伸ばしたい、と説明(金額ベース、2023年比)。「コンチャ・イ・トロ社が持つ世界的ネットワークを通じて、シャトー・メルシャンのグローバル化を促進していきます」としている。