2022年から2023年にかけて放送された特撮テレビドラマ『仮面ライダーギーツ』の「その後」を描くVシネクスト『仮面ライダーギーツ ジャマト・アウェイキング』。現在全国劇場で期間限定上映中で、7月24日にはBlu-ray&DVDが発売される。
仮面ライダーギーツ/浮世英寿が世界を見守る「神」となり、かつて仮面ライダーだった者たちがそれぞれの「叶えたい願い」のため精一杯生きている中、ふたたび人類の平和を脅かす未曾有の脅威が訪れた。変異種ジャマトの出現をきっかけとして、バッファ、タイクーン、ナーゴたち「仮面ライダー」はふたたび激しい戦いの道を歩み出す……。
Vシネクストでは、現代の英寿とは別に、時空を超えて現れた「白い髪のエース」が登場。金色に輝く「ドゥームズギーツ」に変身するエースは、何の目的でこの世界にやってきたのだろうか。本作で現代の英寿と白い髪のエースの2役を務めた簡秀吉に、『仮面ライダーギーツ』の撮影に明け暮れた1年間を振り返って改めて感じたことや、ファンからもらった嬉しい言葉、そして『仮面ライダーギーツ』を締めくくるにふさわしい濃密内容となった本作にかける熱い思いを語ってもらった。
※本インタビューには作品内容のネタバレを含みます。
簡秀吉、『仮面ライダーギーツ』までは「右も左もわからない新人でした」
――『仮面ライダーギーツ』で1年間、浮世英寿という役を演じ上げた簡さんご自身が、撮影に入る前と後で大きく意識が変化したのは、どんなところでしょうか。
右も左もわからない新人でしたし、毎日いろいろな方に助けていただきながら撮影をしていました。だからこそ、常に周りの方たちへの感謝を忘れないように、と心がけてきましたね。
――2000年前の前世の記憶を持ったまま転生を繰り返している英寿を、最初から簡さんはしっかり咀嚼(そしゃく)して、演じているように思えました。
内心は、どうなんやろう……? と心配はありましたけど(笑)、カメラの前に立つときはいつも堂々としていよう、と決めていました。共演のみんなとの位置関係についても、その回ごとの監督さんと話し合い、意見をうかがいながら決めていった感じです。
――1年間の撮影で何か「厳しかった、つらかった」と思える出来事はありましたか?
体力的にキツいことがまったくなかったといえば嘘になりますが、それでも毎日、すごく楽しかったという記憶しか残っていないんです。毎日楽しかった、なんて言うと「ほんまかいな」と思われるかもしれませんけど(笑)。本当に毎日、撮影現場に行くのが楽しみでした。
撮影の合間にキャスト同士でおしゃべりをしたり、スタッフさんたちとコミュニケーションをとったりしている時間が、僕にとって実りになることばかりでした。どんな環境でも「常に楽しもう」という姿勢で臨んで、『仮面ライダーギーツ』の現場は実際に楽しいことしかありませんでしたね。
――英寿および『仮面ライダーギーツ』という作品をずっと応援してくださったファンのみなさんの存在も、簡さんを元気づけた要素だと思います。ファンの方たちからもらったメッセージで、特に印象に残っているのはどんな言葉でしょう。
今でも忘れられない応援の言葉に「英寿を演じたのが簡くんでよかった」というものがあります。僕は常々「この役はこいつにしかできない」と言われたかったから、すごく喜びました。「この役はこいつ以外にもできる」ではダメなんです。役を演じるにあたっては、自分なりの色を出していきたい。この役なら簡にやらせればいい、簡にしかできないぞ、といった役者になりたいと、いつも考えていましたので、そういった評価をしていただけたのは本当にありがたかったです。
1年間でコミュニケーション能力が向上
――撮影から離れた場所で、ファンの方に見つかって声をかけられた、なんてことはありましたか?
多くはないですが、時々そんなことがありますね。1度、花粉症の薬をもらいに病院へ行ったとき、待合室で小さな男の子と目が合って、隣のお母さんが僕に声をかけてくださいました。風邪を引いたのか、男の子がしんどそうにしていたので、励まそうと思い「おかゆ食べや~」って言いました(笑)
――きっとその子も、英寿に出会ったことで元気になったかもしれませんね! ところで、英寿を1年間演じた簡さんが撮影期間中につかみとることができた「技」があれば、ぜひ教えてください。
何でしょうね? 意識して何かをやりとげた、みたいなことはなくて、いつの間にかこういうことができるようになったかな、というものでは、この1年間でコミュニケーション能力が向上したかもしれないです。キャストのみんなやスタッフさんと話して、自分の意思をうまく伝えられるとか、コミュニケーションの力はついたんじゃないかと思っています。
――特に仲良くされていたスタッフさんはどなたでしたか?
常に撮影現場でご一緒している方とは、知らず知らず打ち解けていった感じです。特に、年齢が近いアシスタント・プロデューサーの吉川(史樹)さんや瀧島(南美)さんたちとは、すごくフレンドリーに接していただきました。カメラマンさんや助監督さんともよくお話しをして、いいチームワークの中で演じさせていただきました。
――最終話の撮影がアップしたときのお気持ちはいかがでしたか。
最終話のストーリーがすごく良くて、台本を読んだときから「いい終わり方だなあ」と感激していました。神様になって「誰もが幸せになれる世界」を作り、みんなの前から姿を消すものの、地上ではツムリ(演:青島心)だけが英寿の存在を忘れないでいる……。英寿としてもこの結末を望んでいたわけで、きれいな締めくくりになりましたね。