パナソニックは3月14日、「花粉症による労働力低下の経済損失額2024」を発表した。本推計は、最新の民間給与実態統計調査(国税庁)や労働力調査(総務省統計局)などを元に試算した。

  • 花粉症による労働力低下の経済損失額2024

花粉症に起因する労働力低下の経済損失額は、1日あたり「約2,340億円」

同社が2020年1月17日~1月19日、花粉症の社会人1,324名に行った「社会人の花粉症に関する調査」では、花粉症の症状が自身の仕事のコンディションに影響しているかを聞いたところ、79.0%が「影響がある」と回答した。また、1日のうち花粉症により仕事のパフォーマンスが低下していると感じる時間は平均で約2.8時間となった。これらの花粉症による労働力低下の平均時間と、最新の民間給与実態統計調査(国税庁)や労働力調査(総務省統計)を元に試算した「花粉症による労働力低下の経済損失額2024」は、1日あたり「約2,340億円」と推計された。

  • 花粉症の症状が自身のコンディションに影響を及ぼしていると思うかについて(N=1324)

  • 花粉症の影響による、仕事のパフォーマンス低下を感じる時間について(N=893)

花粉症について専門家が解説

耳鼻科医の坂田英明氏によると、花粉症の主な症状は鼻水、鼻づまり、くしゃみが一般的だが、特に鼻づまりが持続すると口呼吸になりやすく、それが原因で頭痛や咬合の異常、夜間の睡眠などに影響が出てしまい、集中力の低下にも繋がるという。また、アレルギーによって自律神経の変調をきたした結果、生活リズムが崩れ、日常生活のパフォーマンスに影響するとも。すぐできる花粉対策で有効なのは、長い時間を過ごす環境に、外からの花粉をできるだけ持ち込まないこと。窓を開けない、洗濯物を外に干さないといったことに加え、外出から戻る際は、玄関外で衣服についた花粉を手で払ってから入室する、自身もすぐにシャワーを浴びて体や髪についた花粉を落とすなどの対策が有効だという。さらに、花粉を吸いこまない対策として、鼻や喉の粘膜の加湿も有効だという。

医師/睡眠専門家の坪田聡氏は、花粉症と睡眠の関係性について解説。花粉症により、睡眠不足・睡眠の質の悪化→免疫異常がひどくなる→花粉症がさらに悪化という負のスパイラルが起こることも。睡眠と仕事のパフォーマンスの関係も非常に深く、いつも8時間睡眠の人が睡眠を2時間削ると、酒酔いと同じくらい深刻な影響があるといわれてるため、職場よりも長い時間を過ごす家庭での花粉対策、良質な睡眠環境をつくることはとても大切だという。

いますぐ始めたい4つの花粉対策

花粉の侵入経路として最も多いのは玄関。玄関にはハンディサイズのクリーナーや専用のブラシなどを用意して、家の中に入る前に衣類に付着した花粉を取り除くことができる。ウールやフリースなどに比べて、化学繊維やレザーなど表面がツルツルしたものは花粉が付着しにくいので、洋服の選び方でもひと工夫できる。

  • 外出先から花粉を持ち込まない

花粉が洗濯物に付着しないよう、花粉の気になる季節は外干しをやめて部屋干しに切り替えを。洗濯乾燥機、衣類乾燥除湿機、浴室乾燥機のほか、エアコンの衣類乾燥モードを使うのもオススメだという。

  • 洗濯物を外に干さない

花粉のピーク期におこなった実験では、窓を開ける幅を10cm程度にし、レースのカーテンをすることで屋内への花粉の流入をおよそ4分の1に減らすことができるという。

  • 換気は窓の開け幅を10cm程度に、レースカーテンは閉める

掃除の際、掃除機を使うと、床に溜まっていた花粉を排気によって舞い上げてしまうことがあるので、先に水拭きをするのが重要だそう。乾いたときにまた花粉が飛散してしまわないよう、水拭きに使った雑巾はしっかり洗うことも大切。使ったらすぐに捨てられるウェットタイプのシートを使うこともできる。

  • こまめに床掃除を

エアコンと空気清浄機の「併用」テクニック

また、この季節におすすめなのがエアコンと空気清浄機の2台使いだという。エアコンの作り出す気流が空気清浄機の集じん機能をアシストしてくれるから、花粉対策もスムーズにおこなえる。特に部屋が広くなればなるほど、効果は高まるとか。

  • 冬場(暖房運転時)

エアコンの気流に合わせて空気清浄機を置けば、集じん効率がアップ。冬はエアコンの風向きを下に設定し、空気清浄機をエアコンの反対側に置くと、高い位置から下に向かって空気をキレイにする大きな気流ができる。

  • 夏場(冷房運転時)

反対に夏はエアコンの風向きを上にして、天井をつたって下に落ちる大きな気流を作るため、エアコンの下に空気清浄機を配置。この時、気流が家具などで妨げられないよう注意を。