JR東日本水戸支社は15日、安全性・メンテナンス性のさらなる向上の実現に向けて2021年に新造した新型砕石輸送気動車(電気式気動車GV-E197系)で、4月2日から水郡線の砕石輸送を開始すると発表した。水郡線西金駅の砕石積込み場から水戸・千葉支社管内へ砕石を輸送する。
砕石の輸送はこれまで、ディーゼル機関車(DE10形)と砕石用貨車(ホキ800形)を連結して運行してきたが、水郡線西金駅の設備改良が完了したことを受け、老朽化した機関車・貨車から電気式気動車GV-E197系に置き換え、水戸支社管内などで運行を開始する。
編成の両端は運転台と動力を有する電気式気動車(GV-E197形)。中間に砕石用貨車(GV-E196形)4両を挟み、砕石を輸送する。GV-E197形は砕石輸送や砕石散布作業用に加え、非電化区間の車両の入換作業や回送車両等の牽引用にも使用される。
新型砕石気動車へ置き換わることで、車両の効率的な運用とメンテナンスを実現するとともに、砕石輸送が大きく変革するという。新型砕石気動車は編成の両端に運転台を有するため、方向転換時の機関車の付替え作業が不要となり、安全性が向上して効率的な砕石輸送が可能となる。GV-E197系はディーゼル機関車の運転に必要な気動車免許が不要で、電車免許のみで運転可能となるため、担い手の幅が広がるとのこと。
メンテナンスの面では、機関車のように多くのメンテナンスを要する複雑な構造ではなく、最新の電車・気動車と同様の構造にすることで省メンテナンス化を実現。腐食に強いステンレス製の車体を採用し、塗装が不要となった。
新型砕石用貨車(GV-E196形)は、現行車両(ホキ800形)よりも軌間内(左右のレールの間)散布がより安全で効率的に実施可能となっている。これにより、軌間外に散布した砕石を軌間内に投入する後追いの人力作業削減効果が期待される。
現在、茨城県、福島県、千葉県の路線の道床砕石を西金産の砕石で補充しており、その輸送を大量運搬が可能で積替え不要な列車で行うことで、トラック輸送に比べ環境負荷が小さくなるとしている。